にー5
「尾末町って彦根城の内堀の近くで有力な武士とか家臣が住んでいたと思うんですよ。
それならあの古民家もどこかの有力家臣の一族の家だった可能性もありますよね?」
「その可能性はあるが有力家臣が住んでいたとは思えないような家だろ?家の大きさとかも考えたらな。」
「確かに有名な武将さんの家にしては小さいですね。その家臣の人の家臣とかならあのくらいの家ですかね。」
「お手伝いさんの家とかならありそうだな。まあ、区画整理をされたりとかもあっただろうから全部が全部有家臣の家の場所とかもわからないからな。」
「でも、あの落書きだけでは意味がないですよね?あれが例えば地図とかなら目的の場所を示す何かが必要なわけですよね。そう考えると何かもう一つ部品とかそういうものがあるかもしれませんね。」
「例えばガラスとかの板とかに目的の場所を示したりとかして重ねたら場所がわかるみたいな事もあり得るよな。」
タモンが言うといろはがため息をついて
「ガラスとかだと割れてもうない可能性がありますよね?それにこれが書かれた時代にガラスが普及しているのかっていう話にもなってきますよ。」
「そうなると見つけるのは不可能だからな。どうする、諦めるか?」
「私たちは諦められても依頼人はそうはいかないですよね。」
「確かにな。それに社長も納得しなさそうだな。」
「どうします?他に何をしたら二人を説得できると思いますか?」
「とりあえずあの家の持ち主を遡ってどういう家だったのかを調べて、探す物が何なのかを特定しないと探しようもないよな。」
「特定できない感じが難しい話ですよね。っていうか、今回の依頼に関して全く何も進まない感じが嫌だなと思うんですけど、どうですか?」
「着地地点がなさ過ぎてグダってる感じが否めないな。社長に遠回しにヒントをくれるように頼んだ方が良いんじゃないか?」
「今回は社長の悪ふざけ感がありますもんね。」
「とりあえず報告書に諦めそうだって書いておけ。」
「了解です。」
出口のあるかもわからない依頼のためモチベーションが下がる二人だった。