にー3
「古民家ってなんだ?」
タモンがいろはに聞いた。鈴木さんの家を訪れた二人は家の前で立ち尽くす事になった。
「一般的には古い家を指す言葉になりますが、改装などをして再利用したりするブームがあったので古くて汚い家をかなりきれいにして活用しているのだと思ってましたよ。ここに来るまでは。」
いろはが言うとタモンも同感だと思ったので黙ってうなずいておいた。
「ああ、お待たせしました。どうかされましたか?」
家の中から出てきた鈴木さんが首をかしげていった。
正直に家を見てがっかりしたとかは言えなかったので、
「いえ何でもないです。」
しっかりと思い出せば、依頼をしに来た時に屋根裏の修理をしていた時に例の紙を見つけたという話だったので家がそのままの古い家だと気づくべきで勝手にリノベーションされた古民家を想像していた自分たちが悪かったわけだから鈴木さんに文句を言うのもおかしい。
家の中に入れてもらうと外見はかなり古い感じだったが中はきれいに片付けられているし所々に最新の家電やキッチンなどが見えた。
「すみませんね、古い家を買って自分であれこれいじって改装とかもしている感じなんですよ。まずは自分の住みやすいように直しているんですよ。」
「改装とかをやる仕事をされていたんですか?」
「そうですね、大工とか内装業みたいな事をしてました。一人では難しい所は昔の仲間にもお願いしてます。自分の生活スペースから気になった所をどんどんやってるんですけどまさか雨漏りしてくるとは思ってなかったですね。」
「その雨漏りを直すときにあの絵を見つけたんですね?」
「そうですね、屋根裏に上って直してた時に古い箱みたいなのがあったので開けてみたら入ってました。」
「なるほど、その箱には他には何も入ってなかったですか?」
「なかったですね。あの紙一枚だけでした。」
「そうですか、あの紙を見て何か気づいた事はありますか?」
「私は何もなかったですね。どうですかお二人は?」
「特にはないですね。」
その後家の中の色々な場所を探してみたが他には何も見つからなかった。