にー1
コンッコンッと軽くドアをノックする音が聞こえ、50代くらいの男性が入ってきた。
「あのー、依頼を聞いて貰えるのはこちらであってますか?」
タモンさんが休憩に行っていないのでいろはがしぶしぶ立ち上がり、「こちらのソファーでお伺いします。どうぞ。」
男性は促されるままにソファーに座った。
「はじめまして、私は尾末町に住んでる鈴木ともうします。」
「調査員の松木いろはともうします。調査員は私と休憩に出ているもう一人で行っております。ご依頼の内容をお伺いします。」
「実は私は引っ越してきて、古民家のような家に住んでるんですが、その家の屋根裏の修理をしていた時に一枚の絵が出てきまして。左側が青色、右側がピンク、緑、赤と黄色、そして白に塗り分けられたよくわからないものなんです。
前に住んでおられた方のお子さんが書いた物かと思ったんですが、紙の質が古くここ数年で書いたようには見えなかったんです。近くの古美術品のお店に行ったら、特に価値のあるものではないから買い取る程ではないが紙の質で言うなら相当古い物だと言ってました。何もなければそれで良いし何かあるならもったいないなと思い調べて貰えないかと思いまして。」
「なるほど、現物または写真はありますか?」
「ああ、こちらに写真をお持ちしました。どうぞ。」
いろはが写真を受け取り、見てみるとたしかに左側が青色1色で右側が上からピンク色、緑、赤と黄色が混在しているところ、そして白色になっている。良く見ると消えかけではあるが左上の隅に上向きの矢印のようなものが見える。
「鈴木さん、こちらの矢印は何かわかりますか?」
「あっ本当だ、そんな所にあるとは気がつきませんでした。」
鈴木さんは改めてジーッと見て、
「これってあれじゃないですか?あの……方位とかを表すやつ?」
いろはも言われてみるとたしかに横向きの線や斜めの部分もあるようにも見える。
「じゃあ青色が西の方向で色んな色の方が東とかそんな感じなんですかね。何かを表してる地図なのかもしれませんが、現状では調べようがないですね。知人に考古学の先生がおられるのでその人にとりあえずこの紙の年代だけでも特定して貰えば糸口にはなりそうですね。現物を直接お持ちいただけますか?」
「わかりました。いやー宝の地図とかだとロマンがありますね。おっと期待しすぎるのもダメですね。ではまた後日お持ちしますね。」
鈴木さんはそう言って帰っていった。