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むー11ぶ

「まったく、警察が来てあんな騒ぎになるなんて。

ただでさえ、最近は人手不足で店がうまく回ってなくて本社からあれこれ言われだしてめんどくさいって言うのに。」

男は一人で愚痴を言った。

「やっぱり犯人はあなたでしたか、店長。」

誰もいないと思っていた後ろから声をかけられてスーパーの店長は驚いて振り返った。そこには探偵の二人組が立っていた。

「これはこれは探偵さん達。私が犯人とは何の事ですか?」

「色々と調べさせて貰いましたが、あなたは普段からあそこにあった仏壇を殴ったり蹴ったりしていたそうですね。

【誰も買わないガラクタ】と呼びながら。」

「えっ!?あっ、それはその……」

「ちなみに彦根仏壇の方は貴重で高値で取引される物だから丁寧に扱えと言ってきたお客がいたために比較的安い量産品の方ばかり殴ったりしてたそうですね。」

女の方の探偵が言った事にビクッと体が反応した。

「ちなみにあなたに忠告した人の話では、邪魔だから処分しようと思ってるなんて話もしてたらしいですね。

仏壇は芸術品だから粗末に扱うなと口ずっぱく言っていたと聞きましたよ。」

「くそ、あのジジイ余計なことを。」

「あなたがヤスさんを疎ましく思っていたのも店員さん達から聞いてます。ヤスさんが仏壇の手入れをしてるのもあなたは知っていたんですよね?」

「うぐっ…………」

「それでヤスさんが手入れを終えて出ていったタイミングで倉庫に入り仏壇を壊したんじゃないですか?

邪魔な仏壇も減らせるし、あれこれうるさいヤスさんに罪を着せれば店長にとって邪魔なものを2つも排除できる。

店長が倉庫に入るのは通常業務だから怪しまれる事はないけど部外者のヤスさんが入るのは異常な事だから捜査はそっちに行くと思ったんでしょう。でも、予想外に警察が犯人の特定をしなかったから焦った。事件だけが大きく扱われるようになると例え部外者が倉庫に侵入して起こした事件と言う事にできたとしても管理責任を問われる事になる。だから、警察への捜査を止めた。」

ヘッドホン男が言った事に間違いはなくだんだんと店長のおでこには汗が出てきた。更にヘッドホン男は続けて

「でも、事件があったのに解決しないままにしておけば不信感がつのり本社の方に今までの経緯を説明する社員が出てくるかもしれない。そのため探偵を雇ってでもヤスさんを犯人に仕立て上げようとした。」

「フン、あんな老害ジジイがいなくなればそれで良かったんだ。

何が芸術品だ。無名の芸術家が作った物なんて芸術品とは言えないんだよ。」

「無知とは罪なりですよ。

名を残している芸術家の多くは死後にその功績を認められている場合が多い。宗教的な意味合いに関しては私もわかりませんが、少なくとも素人が作った程度の物を芸術品とは言わないでしょう。だからこそ職人は自分達の仕事に責任を持つし、誇りを持つんですよ。職場を私利私欲で汚してるあなたには理解できないでしょうけどね。」

「うるさい、私の店だ!お前らに何も言われる筋合いはない!」

タモンの横で途中から黙っていたいろはが

「残念ですが、このお店はあなたのものでもなくなりましたよ。それとあなたの職場は明日から無くなりそうですから早く就職活動を始められた方が良いですね。あっ、でも会社のお金の横領と職場の人間に対するパワハラ、セクハラ、モラハラするような人は雇って貰えませんね。刑務作業でも頑張られたらどうですか?」

「えっ?なんで?そんなことに?」

「さぁ?職員の誰かが社長のパソコンに直接不正の証拠やパワハラとかの映像を送りつけたんじゃないですか?ちなみにあなたのバックについてた人達も失脚して助けて貰えないみたいですよ。」

店長は膝から崩れ落ちて何かをブツブツと唱えるだけだった。 

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