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むー10ぶ

彦根市を流れる芹川の近くに七曲りと呼ばれていた仏壇街がある。今では仏壇店も減ってしまったが職人が集まっていた場所の一角に彫刻師のヤスさんは住んでいた。

訪ねるとヤスさんが出てきた。60代後半から70代くらいの小太りのヤスさんは

「何か用ですか?」

「単刀直入に言わせてもらうとスーパーでの仏壇破壊事件について、何かご存じではないかと思いまして。」

「ああ、そういう事ですか。私は事件当日にあのスーパーにいましたよ。だからって私が犯人だってことにはならないですよね。私はあのスーパーにはよく行きますから。」

「それはそうですね。防犯カメラの映像を見させてもらうと何回も確認できたので常連だというのはわかってました。ただ、頻繁に倉庫に入っていくのも確認できてます。それについてはどう答えますか?」

いろはが聞いたのでヤスさんは落ち着いた様子で

「倉庫の近くには園芸用品などのコーナーもありますし、倉庫の近くにはトイレもありますから倉庫の近くにいてもおかしくはないです。」

「お客にヤスさんが犯人じゃないのかと言ってる人がいましてね。これは俺がお客同士の会話を盗み聞きして得た情報だったのでそのお客が悪いってことはないんですけど。あとその会話の中で自分の作品を気に入らなかったから壊したエピソードなんかも出てきたのでその辺から特定させてもらいました。」

「まあ、そんな話を持ってる職人は私くらいですからね。ただ、その情報だけでも私が犯人だというのは無理でしょう。」

「それはそうですね。犯人として特定できる事は何もないわけですし、あなたが犯人だとも思ってなかったりしますから。」

「それではなぜ私のところに来たんですか?」

「破壊された仏壇や残っていた彦根仏壇もしっかりときれいに掃除されてたり、傷んだ部分が整備されていたりした跡があったわけですよ。でも、あそこのスーパーに仏壇の整備ができる人も小まめに掃除する人間もいないわけですよ。では誰がそんな事をしているのかを考えたらヤスさんがあやしいなと思ったわけです。」

ヤスさんは頭をかいて、

「ああ、そんな所から私の所に来るとは予想外すぎましたね。私が整備とか掃除してましたよ。あそこは誰もしてませんから状態も悪くなるわけです。あれではいつまでたっても売れないし、悪循環になるわけですよ。いい状態にしとけば売れる可能性もありますからね。」

「ちなみにあの仏壇の製作にかかわったという事はありますか?」

「知り合いが作ったというのはありますが製作にはかかわってないです。」

「今回の事件の犯人に心当たりとかはないんですか?」

「まあ、何人かいますが確実にこの人ってのはないですね。」

その後も色々と話を聞いて、ヤスさんの心当たりのある人物を教えてもらってヤスさんの家を後にした。

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