むー1ぶ
「で?なんでスーパーに来てるんだ?」
佐和タモンは松木いろはに聞いた。そもそもが事件の解決依頼という事で現場に向かっているはずだった。
「社長からの情報だとこのスーパーの倉庫で事件があったみたいです。大型の家具も扱ってるスーパーですから捜索範囲も広そうですね。人の出入りも多いらしいですよ。」
「で?具体的には何があったんだ?」
「器物損壊事件です。」
話ながら歩いていると倉庫についた。スーパーの店員さんが来て
「あっ、探偵の方ですか?」
「はい、事件について詳しく教えて貰えますか?」
いろはが言い、歩きながら店員さんが
「実はこの店では仏壇の販売もしていたんです。もう長いあいだ売れる事もなくて、表にはパンフレットを置くだけになっていたんですが、仕入れた仏壇はそのまま倉庫の奥に置いてありました。最近、倉庫の整理をかねて掃除をした時にその仏壇が壊されてるのが見つかったんです。
警察の人の調べでは壊されたのも最近だろうとの事でしたが、ぶっちゃけた話をするなら倉庫の場所をとるだけで全く売れなかったので、そろそろ廃棄にしようかと店長は思っていたそうです。
でも、誰かが壊したのは事実ですしあまり世間に知れ渡ると商品管理が悪いとか印象を持たれそうで、警察の方には手を引いて貰いました。犯人がわかって訴える気になったらまた連絡をするという事でなんとか。」
「ああ、なるほど。倉庫に入ったのが部外者なら簡単に侵入できる倉庫とか思われて泥棒とかの二次被害がでる。
かといって、内部犯なら違う商品が狙われるかもしれないというんで犯人捜しを依頼されたというわけですね。」
タモンがいうと店員は頷いた。店員が
「あっ、あそこの角です。木片が散乱してる所です。」
店員が指差した先には無惨に破壊された仏壇だったであろう物が落ちている。いくつか壊されたのだろうが壊されてない物もあった。それを不思議に思ったいろはが
「壊されてない物もあるようですが、何か違いがあったんですか?」
「我々もわからないんです。ただ、あの壊されてない仏壇が一番高価だったという事はわかってます。あの仏壇は前の前くらいの店長が仕入れた物らしくて詳しくはわかってない感じです。
我々も仏壇に詳しくないので専門家に見て貰えば何かわかるかもしれないですね。」
「なるほど。いろは、写真を撮っておけ。七曲りにでも言って写真を見せれば何かわかるかもしれないからな。」
「了解です」
いろはが写真を撮っているあいだに周りを確認した。壊し方が雑でバール等の鈍器で殴ったような感じだノコギリなどは使われていない。わざわざ苦労してまで仏壇を壊したのはなぜだろう?とわからない事が多かったが久しぶりに面白そうな事件だと思った。