やー14
『小窪さんは結局、佐々木家の財宝からの視点で新遺跡の存在の可能性を大学側に認めさせられたようです。学会としてもほっておく事ができなくなり、小窪さんをリーダーとした研究チームが発足したようですよ。』
「そうですか。新しい依頼はありましたか?」
社長からの電話にタモンが聞くと社長は笑いながら
『専門家のチームができるのなら我々の出番はないでしょう。
まぁ、彦根で本格的に発掘ともなれば挨拶くらい来てくれるかもしれませんけどね。』
「なるほど。それでこの前お話しした件はどうお思いですか?」
『ああ、現場に残された彦根かるたですか。
興味深くはありますが探りようがないわけですよ。
彦根市内の住民はだいたい10万人から11万人くらい、観光や仕事などで来る人の正確な数なんて把握する事も難しい。
さらに人が何を考えているのか何てわかるはずもない。
何者かが意図的にしている事は確かでしょうが、それ以上を知る事は現時点では無理ですね。
まぁ、彦根に注目が集まり人が来てくれるなら私は大歓迎ですけどね。ああ、そうだ。小窪さんとは別に少し厄介な事件の捜査依頼が来てましたよ。犬を探したり、あるのかもわからない遺跡を探したりではない。ちゃんとした事件です。
場合によっては手を引いて貰うかもしれない危ない依頼なので、慎重にお願いしますね。
詳細はいろは君にメールしておくよ。
それじゃあ、よろしくね』
社長はそう言い残して電話を一方的にきってしまった。