やー4
数日間ともに探索という名の散歩をしていた。
その事について事務所でいろはとタモンはお互いに思った事を報告する事にした。二人一緒に同行する事もあったが、どちらかが別の仕事で抜けていた時もあったからだ。
「正直に言うと何が書かれてるかわからない地図をながめながら歩き回ってるだけで、本当に何かを探してる雰囲気はないな。」
「あっそうなんですか?タモンさんが来られなかった日に一回だけ金属探知機みたいなの持ってきた事がありましたよ。」
「何か見つかったのか?」
タモンの問いにいろはがため息混じりに
「何にもないですよ。高精度ってわけでもなかったんで、落ちてる鉄屑みたいなのにも反応してたくらいです。」
「それを見た小窪さんの反応は?」
「特に気を落とすでもなくこんな事もありますねって笑ってました。何も見つからない事より怪しい機械を持った人間が歩いてるみたいな感じの視線が怖かったですね。」
「それはしんどいな。どう対応したんだ?」
「途中から少し大きめの紙に『歴史・地質調査中』って書いて見やすいように私が持って歩いてました。」
「俺と一緒の時は高齢者に積極的に話しかける感じだったな。昔から住んでる人に話を聞いてみたいって感じだった。
なんか自分の存在を印象付けしようとしてる感じがしたな。」
「目立とうとしてましたね。そこに真の目的に繋がるヒントがあるかもしれないですね。」
「あの辺を歩き回っていても不審に思われないように準備している。または俺達と一緒に行動している事を不特定多数の人に目撃させるためとかだな。」
タモンは可能性の話をしたが、確証がないだけでそんな気がした。
「未だに目的は謎ですね。目撃させておく事が第一段階なら私達をアリバイの証人にしようとしている可能性もありますね。」
「とりあえず、目的も含めていろんな可能性は確かめておくとしよう。」
「そうですね。しばらくは様子を見ましょうか。」
二人で未だに目的もわからない依頼主を当分見張る事が決まった。