やー2
『へぇー、未知の遺跡の発掘ですか?
面白そうで興味は引かれますが、お二人に頼むことじゃないですね。しかし、気になりますね。』
何事も楽しそうな社長は電話越しに言った。報告書をメールで送ったら確認してからなのか直接電話してきたのだ。
「そんなに気になるんですか?あるわけがないじゃないですか?」
いろははとにかく気が乗らないようだ。自分の知らない事は頭がおかしいんじゃないかと思うほど調べるが、あくまで既に解明されている知識に限るようだ。だから、冒険とか幽霊とかにはまったく興味がない。つまり、彼女が持っているパソコンで答えのでないものは存在しないものとして興味がないという事である。
『おやおや、いろはちゃんの悪い癖が出てますね。
タモン君も同じ意見かな?』
「未知の遺跡発掘に素人を随行しようとする時点で怪しいです。
貴重な発掘物を傷つける可能性もありますし、大がかりな発掘に行くなら専門家と作業に慣れた者が必須です。
広大な範囲をするのに学者が一人しかいないという時点で裏があると思います。」
『正直、私もその方が未知の遺跡を発掘しようとしてるとは思いません。では、彼は何を目的にしているのでしょうか?
いろはちゃん、彼は本当に学者でしたか?』
「依頼人の素性は念のために調べてます。
あまり聞いた事のない大学でしたが、小窪さんは准教授でした。
主に郷土の歴史や生活に関する発掘物の鑑定を行っているようです。授業はわかりやすく丁寧ですが面白味が足りない所もあり人気の授業というわけでもなく、注目される論文もないから教授になりきれないといった立場のようです。」
『なるほど、教授になるためにも発見が欲しいと焦っているのですかね。西今のあたりは歴史的にも面白い発見が眠ってそうではありますからね。でも、弥生の地層まで発掘するのは確実に重機が必要ですしそんなに掘り返せる場所もありません。
そんな事は彼が一番わかっているでしょう。
つまり、彼には大規模な発掘をするつもりはなくピンポイントで発掘したい場所があるまたは探している物が違う可能性もありますね。その意味で私はとても気になりますね。』
「発掘にではなく小窪さんに興味がわいたということですね。」
いろはが言い、タモンが
「同行して彼を監視すれば目的も知れて社長の興味も満たされるって事か。それで調べるんですか?」
『フフフ、よろしくお願いします。』
社長の意味ありげな笑いが気になったが小窪からの依頼を受けることになってしまった。




