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あー17

いろはが三人と改めて話しているのを見てタモンは直政像の周りを歩きながら像を見ていた。トリックも難しいものではなかったから特に気になった事もなかったが、しっかりと見た事がなかったから見ていただけだった。

馬に乗っている直政の像。徳川家康の元で数多くの戦を経験し先鋒として最前線を駆け巡った勇将は戦のたびに傷を負い、関ヶ原の戦いでの傷により命を落としたと言われている。

この像も戦に向かう勇猛な姿を表しているのかもしれない。

近寄ってみた時に馬の腹の部分を見ると何かが張り付いていた。

タモンはそれを手に取り見てから、

「岡本さん!」

もう既に打ち解けていろはと談笑していた岡本がビックリして、

「えっ、はい・・なんですか?」

「直政像の周りを最後に掃除したのはいつですか?」

「え~と、3日前です。周期的にやってるんで間違いないです。」

「その時に何かを仕掛けたりとか準備はしましたか?」

「いいえ、掃除だけです。」

「掃除はどんな事をするんですか?」

「えっ、周りのごみを拾ったり花壇の手入れもしますし、直政像もたまには拭いたりしないと鳥のふんとかついたりもありますから拭いてました。」

「その時はお一人で?」

「高い所を拭くのに警察官に脚立を貸して貰ったりしたので一人は側にいて貰いました。」

「なるほど・・」

タモンが何かを考え始めたのでいろはが

「何かあったんですか?」

「馬の腹の部分にこれが貼ってあった」

タモンは掌に収まるサイズの紙を見せた。

「彦根カルタの絵札ですか?」

岡本が聞き、タモンが

「そうです。これは『赤備え 直政武勇の 関ヶ原』という句の絵札です。掃除された時にありましたか?」

「いいえ、なかったです。」

「汚れとかを見てもつけられてから日が経ってない感じなので嘘ではないと思います。」

「えっ?じゃあ誰がつけたんですか?」

「今日、皆さんがここに来る事を知っていた人物であり、かつ今回の騒動の真相を知っている人物であり、そして俺達が謎解きをしに来る事も予想できた人物って事になるな。」

「いやいや、今日になったのは天気がちょうど良かったからだし我々以外に仲間もいませんよ?」

後藤が言い、いろはも

「そうですね、私達も誰にも言ってなかったわけですから合わせられるわけないですね。」

「今回の仕組みを考えた経緯とかって覚えてますか?」

タモンが聞くと前田が

「そうだ!三人で飲んでた時に若いに―ちゃんが近くの席でどっかの石像をライトアップする時に反射材を使えば石像自体をキラキラ光らせる事ができるんじゃないかみたいな話をしてて、これは使えるって話になったんですよ。」

「そうでしたね、別の席に座ってたんで顔とかもわからなかったですけどインスタでばえる演出になるって話してました。」

後藤が言い岡本が

「反射材を使えば光を当てるだけで光ってるように見えるなら話題作りには良いかなってなったんです。」

タモンは黙って考えた。

もし若い男が岡本さん達の思想を知っていて、実行に移す手段のヒントを与えたのなら今回の騒動は何者かによって仕組まれたものの可能性がある。そして、その人物は自分と合う存在がいる事を見せびらかすかのように彦根カルタの絵札を残していったのだ。

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