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あー15

「どのような目的があったとしても、この騒動は犯罪行為になる可能性もあります。

その覚悟はできていますか?」

タモンが聞くと後藤・岡本は頷いたが前田だけがうろたえて

「そんな・・・、この場合は何罪になるんですか?」

いろはが

「軽犯罪法、器物損壊、文化財保護法、偽計業務妨害などが当てはまりますね。今回の騒動でいえばですが。

例えば公園とか道路とかに落書きした場合も同じような罪になりますが誹謗中傷があれば侮辱罪や名誉毀損なども加わります。

今回の場合は、反射テープを張り付けてライトを当て不特定多数の方に直接的、または間接的に人に恐怖を与える行為でした。

先の三つ、軽犯罪法・器物損壊・文化財保護法に関しては、イタズラの悪質性やその除去ができるかどうかで適用が決まります。

軽犯罪法1条のイタズラ行為を取り締まる場合は簡単な処置で除去できる場合に適用され、成立しても刑事施設に1日以上30日以内の拘留、または千円以上一万円以下の科料。

刑法第261条 器物損壊罪は、故意に他人の所有物を損壊または傷害した場合に適用される罪ですが、今後使用できない状態にしたりきれいに落とせない状態にすれば損壊扱いになります。

こちらは成立したら、三年以下の懲役または30万円以下の罰金または科料になります。

文化財保護法196・197条では重要文化財や史跡名勝天然記念物であとをたたず起っています。

こちらも成立したら最大で5年以下の懲役もしくは禁錮、100万円以下の罰金です。

今回の件から考えると観光の名所とはなり得るかもしれませんが重要文化財でも史跡でもない直政像に対して文化財保護法は適用されません。また、シールは取り外すのが容易でその素材ならきれいに剥がせるでしょうから器物損壊にもならず、軽犯罪法による処罰になるでしょう。

厄介になるのは偽計業務妨害ですかね。

刑法第233条 偽計業務妨害罪は落書きなどのイタズラにより会社や個人の正常な業務に悪影響を及ぼした場合に適用され、成立すれば三年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。

駅前の像が怖がられるようになれば駅の利用者が減る可能性があります。ただ、電車の利用が減る理由なんて色々ありますから、明確にどれだけの人がこの騒動で利用を控えているのかを立証できないため、偽計業務妨害罪で訴追される事もないと思います。

よって、皆さんがとわれるのは軽犯罪法違反容疑ですね。」

前田は色々な法律の説明に追い付けずにあたふたしていると後藤が

「前田さん、落ち着いてください。

軽犯罪法違反容疑ですから捕まっても1ヶ月以内には出てこれますし、誰かが特別迷惑を被ったわけではないので一万円以下の科料が妥当だと思います。」

「えっ?そうなの?」

「程度が低いし、周りから擁護するような声が出れば警察署で厳重注意だけで終わるレベルだと思います。」

タモンが言うと前田はやっと落ち着いた。

「今回の騒動に至った経緯はお聞きしてもいいですか?」

タモンの問いに岡本が

「私は色々な観光地を周り、その土地が観光資源を活かすためにはどうすれば良いのかという取り組みを様々見てきました。

彦根は観光名所になり得る場所が彦根城以外にもたくさんあるのに彦根城を含めて何も上手く活用できていない。

ただ、城を見て貰うのではなく工夫が必要です。

常に話題を作り、シーズン毎に何度も訪れたいと思って貰えるような工夫をしなければいけない。

お城に行って帰るだけの30分観光地だから市内の道は渋滞しやすいし、1ヶ所に集まった観光地では地域経済が活性化しない。

だから、話題作りのために何かしようと思いました。」

「まぁ、捉え方は人それぞれですけど、頑張って盛り上げようとしてる人もいるわけじゃないですか。ねえ、後藤さん?」

「市役所の人間は異動がありその分野のプロと呼べる人間がいない。大きなプロジェクトを考えたところで実現する頃には異動かと思うと熱意もなく働いているだけの人間も中にはいる。

かといって、観光協会では資金面や人員的な問題で大がかりなイベントを主導するのも難しい。

プロがいないと成長も進化もありえないと私は思います。

そう言った変化への起爆剤に私はなりたかったわけです。」

後藤はうつむいた。

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