あー11
「それでは他の目撃者の方はどうだったんですか?」
お互いに別々で捜査して数日が経ったので現状報告をするために事務所に集まると早速いろはが聞いてきた。
「仮にEさんとするがこの人は駅の近くのビルの清掃員をしている人で掃除をしていた時に外を見たら直政像の目が光っているのを目撃したようだ。かなり遠い場所だから本当に見えたのかと聞いたら、光ったように見えただけかもしれないと自信はなさげだった。」
「あいまいな感じですね。見たかもってだけなんですね。」
「そうだな、一瞬だけだったらしいからな。外をふらっと見たら光ったように見えたって感じだし、噂をすでに聞いてたから話がつながった部分があったんだとは思うな。」
「その人が嘘をついている可能性とかはあるんですか?」
「ないな。嘘をつくにしても、もっとそれらしい事が言えたはずなのに言ってない部分とかあるからな。
逆に嘘っぽく聞こえるくらい驚いたって話なんだろう。」
「うーん、タモンさんの主観が強そうですけどそうなんですかね。」
「最後にFさんなんだけど、駅のバスターミナルのところにあるビルで働く人なんだが、少し怪しいな。」
「職場で判断はいけないんじゃないですか?」
「職場で判断するわけないだろ。まず、目撃した時間が完全に就業時間外でなんでビルにいたのかという点がうまく説明できなかった。Fさんの仕事に残業はないからな。」
「どんないいわけだったんですか?」
「忘れ物を取りに来た、だったな。でも、基本的に物を持ち出すのには厳しい業務内容だからそもそも私物の持ち込み自体がないらしい。きわめつけはFさんは一度退社したあとに誰かはわからないが二人でビルに入っていく所を交番の警官が目撃してる。」
「職場で不倫してたとかじゃないですか?」
「Fさんは独身だし、入っていった人影はFさんと似た感じのシルエットだったから男性だろう。」
「二人で良からぬ企みをしていたと考える怪しいですね。
それで問い詰められたんですか?」
「いや、仕事中だったしあまり知られたくないって感じがしたからまた後日お話しくださいと言って帰ってきた。彼にも生活があるし、職場で変な噂でもたつと大変だからな。」
「タモンさんってそんな配慮もできたんですね、新発見です。」
タモンはイラッとしたが言い返すものも馬鹿らしくなって言うのをやめた。