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53 追憶

 高次元の世界。真っ白な世界に、一人の少女アマリリスがいた。

 彼女は何かを創っていた。まるでスノードームのようなそれには、無数の光がある。それは、銀河であり、星であり、世界である。

 少女は神であったのだ。


「ねえ、見てよ。カルヴェイユ、新しい世界を創ったわ。誰も死ななくて、悲しまなくて苦しまない、完全なる世界よ」


 カエルの姿をした神、また神の使者でもあるカルヴェイユが答える。


「アマリリス様、それでは駄目です」

「何が?」


 創造主としてアマリリスは未熟、神の見習いであった。


「それでは変化は生まれません。変化がない世界というのは退屈なものです」


 カルヴェイユが何かを詠唱すると、少女と同じものが創造された。


「あーずるい! 私の知らない力!」

「これは、アマリリス様の創造した世界と99%同一の世界。この1%のずれが世界に変化をもたらします」


 カルヴェイユは、少女の創った世界と、複製した世界を重ねた。それは、影と影がぶつからないように、光と光がぶつからないように、一つに重なった。

 少女がその世界を覗くと、世界は少し違っていた。


「少し、違う?」

「ええ、その差異が世界に変化をもたらします」

「なるほど、つまり、たくさん創ればいいのね」


 世界はこのようにして造られた。複数の世界の重ね合わせ。その世界の住人から見れば複数の世界が重なっているが、感知できない並行世界となる。


 だが、少女が世界を重ねたことで世界は不完全なものとなってしまった。変化がある世界とは、誰かが死に、誰かが悲しみ、誰かが苦しむ世界であった。


「どうしよう? カルヴェイユ。完全なる世界なのに不完全な世界になってしまったわ」


 少女は自分の創造した世界を想ってしまった。創造主である神たちは、創造されたものに情を抱いてはいけない。それが、少女の原罪となった。


「アマリリス様。その世界へいき、世界を導くのです。そして完全なる世界を創りだしてくださいまし」

「私がこの世界へ?」

「この力を授けましょう」


 少女に黄金に輝く光が渡された。それは《想いの力》と呼ばれるもの。

 世界を創造、改変、観測する創造主の力だ。

 世界の住人からしたら、この力は並行世界を操る力に見えるだろう。


 そして、少女は世界を完全なる世界にすべく、世界に降臨した。


 ただ、少女は高次元の存在だったために、世界へ降臨する際、二人に分裂し三つの欠片が飛来した。

 一人はアマリリスとなり、もう一人はアルストロメリアとなった。


 アマリリスが世界に降臨した。

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