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ブロークンハーツ  作者: 橘光
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第7話 準備と影と

なかなか投稿ペースが安定せずにすみません。投げ出すことは無いので、お待ちいただけると幸いです。

「いいか…遥?」

遥の目の前には一人の男が座っている。椅子に座っている男は、コーヒーを片手に遥に話を始める。

「一人でいるってことはそう悪いことじゃない。だが、絶対に誰かの力を借りないといけない時っていうのがある。だが、もしそんなときに誰もいなかったら……すぐに力を貸すことが出来るやつがいなかったら。遥はどうする?」

うまく答えられない…。答えが見つからない。

「そんな時にはだ。」

椅子に座っていた男は、口ごもる遥を見て立ち上がり、コーヒーを机に置いた。

「逃げてもいいと思う。そんでもって、誰かに託しちまえばいい。遥がやらずとも、代わりになってくれるやつはきっと見つかる。遥に似た想いを持つ人が、どんなことにも限らずいるから。世界にゃ70億人いるんだぜ?」

そう言って、遥の頭を撫でる。ほんのりと、コーヒーの匂いがした……。


アラーム音がスマホから小さく鳴る。遥は、ゆっくりと体を起こした。自分がベッドの上にいることを把握すると、たちまち理解した。いまのは夢だったと。

「はあ……最悪かよ……」

そう呟くと、もう一度ベッドに体を倒した。気分のいい目覚めかどうかと問われると、大変微妙だ。十分睡眠はとれたと思うが、まぶたが少々重い。そんな中途半端な眠気が遥を襲っているのだ。なにより、未だにあの夢を見てしまうのが少々キツイところだ。

「……父さん。」

天井を仰いで呟いた。どこにも届かない音エネルギーは、静かに上へ昇って消えた。


学校の予鈴が曇り空に響く。1回目の予鈴は始業15分前を意味する。まだまだ生徒達には余裕がある時間帯だ。そんな時でも、遥の頭の中はガストとかいう次人種でいっぱいだった。あの異端すぎる次人種はについては、どう考えても結論が出せない。敵か味方かを分けるなら敵だろう。だが、不明点が多すぎる。なぜガストは感知できないのか、なぜ敵意がないのか、そもそも本当に頭首なのかも定かではない。18年間で初めて出会った喋る次人種、目的は一体なんなのか…。答えが出るわけがない。不明点に対して、情報量が少なすぎる。もう1度会わないことには答えが出ることは無いだろう。


『俺が話したくなったら、また質問に答えてやるよ。』


昨日のガストの言葉を思い出した。あの言葉から、自分から会いに行くのはほぼ不可能なのだろう。全てはガストの気紛れなのだろうか……。そんな思考を遮るように、1人の声が聞こえてくる。

「…遥?」

それは、心配そうな晴之の声だった。右側から聞こえた声に釣られるように顔を向けると、なんだか困ったような表情をしていた。

「何度も呼び掛けたんだけど……また寝不足?」

「いや、ちょっと考え事でな…で、どうした?」

「ほら、もうすぐ修学旅行でしょ?…それで、僕達のテーマもそろそろ決めないと…」

「あー……」 

遥は完全に忘れていた。修学旅行での行先は沖縄、その沖縄で戦争のことについて自由に学ぶのだが、その肝心な学ぶテーマがまだ決まっていない。

「えーっと……それもうちょい後でもいいかな?…ほら、放課後とか。」

「放課後?まぁ、いいけど……それ皆に伝えてよ?」

「あ、ああ…もちろん。」

「じゃあ、また後でね。」

晴之はそう言って席に戻った。時計を見ると、始業まであと2分だった。晴之が席につくのが遅れる前で、遥は心底ホッとした。自分の所為で始業のチャイムに遅れる親友など見たくなかったためだ。今日は寝不足というわけでもないので、1日集中できそうだ。


同時刻の別の場所……。曇り空の街中の、至って目立たない場所。そこは『川辺』だった。そんな場所に歩いてきたのは、もし視認できたら目立つであろうガストだ。しかし、ガスト以外にも『次人種と思われる者』がその川辺にいた。

「よう、今戻った。」

ガストは川辺に座り込んでいる次人種に対して、声をかける。

「……接触したのか…」

並ぶように座り込んだガストに対して、次人種は口を開いた。

「いつかはバレるんだ。どんなタイミングでも同じだろ。」

「…いや、成長というのは大事だ。まあ、頃合いは近かったがな。」

「反応はお前の予想通りだった。すぐに切りかかってきたよ。」

「…なら、俺の筋書き通りの結果を辿るかもな……」

そう言うと、もう1人の次人種は黒色に染まって溶けるような消え方をした。それを見たガストも、自分を風で包んでこの場を後にした。

【次回予告】

「はあ…最悪かよ…」

「うん、ここの美味しいよね。」

「…こりゃ…相当まずいな…」

「はあ…はあ…」

「潰すしかねーか…」


第8話 逃したものは

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