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ブロークンハーツ  作者: 橘光
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第5話 風がやってくる

夏休みの宿題と、部誌に追われていました。あとネタ切れにも…(汗)

「じゃーん!豚肉とにんにくの芽の炒め物ー!」

智子がキッチンから大皿を持ってきた。もともと智子の料理の腕は確かだ。だが、嘔吐物による精神的なダメージを与えるため、遥達がまともに完食できたのは数えるほどだ。

「……あのさ、なんで赤ワインな訳?」

遥が指摘した。実際、智子の座る席にはワインのボトルとグラスが置かれていた。

「え?おいしいから。」

「…ビールにしてほしいんだけど……」

「同じく。」

遥は鮎の意見に賛同した。

「大丈夫だっておいしいから!」

「意味分かってるかな……?」

「分かってもやめなさそうだがな…」

ここはどうしても吐かせたくない2人である。アルコール度数の低いビールだと、智子の吐く確率は大幅に低くなる。とはいえ、90%が40%の確率になるだけだが、吐く量も少なくなるので遥達にとっては助かるのだ。

「せめて、薄めたらどうだ?」

「そうそう、赤ワインの水割りとか。」

「えぇ…結構高いやつなんだよ…?」

そう言うと智子は、料理と赤ワインを交互に口に運んだ。すると酔いが回ったのか、智子は苦しそうにに立ち上がった。


※例によって不快感を与える可能性があるので、文章表現を省略します。


「「…………」」

2人は智子の介抱を済ませた後、何も言わずにその場を去った。明日、部屋の臭いがひどくなっていないのを祈るばかりだった。



ミストランスプレーが振動したのは、部屋に戻ってすぐ後のことだった。腹こそ満たされていないが、次人種が出たのなら行かない理由にはならない。遥はベランダに出て構えた。

「ミストアップ!」

『Stand up! to protect! Fight! Fight! Fight!』

壁にスプレーからの光を当てると『北840m:1体』と表示された。屋根に上ってから、足に力を込める。屋根を蹴って遥は一気にスピードを持ち、あっという間に北へと距離を詰めていく。住宅街の屋根を飛び移っていく、その時だった。

「えっ…」

下から急に次人種が飛び出してきた。空中で急に止まれず、次人種の体を貫通する。

「っとと、びっくりしたあ…!」

もし次人種の体が気体でなければ思いっきり頭突きをお見舞いしていたことになる。そうなっていないのは、まだこの次人種が敵意を見せていないからということ。

「うし、いっちょやりますか!」

気合を入れてライトニングを構える遥。次の瞬間、何故か遥の足元から爆風が発生し、遥の体は大きく空に投げ出される。

「は!?なんだこれ!?」

空中で身動きがとれなくなっていた遥に、次人種の右ストレートが炸裂する。遥は勢いよく飛ばされ、一軒家の屋根に落ちて転がった。

「くそ…なんだってんだ…」

殴られた左半身を気にかけながら立ち上がる。そうしている間にも次人種は走ってこちらを目指していた。どうやってかは分からなかったが、さっきは風に体を持ち上げられて攻撃された。きっとあの次人種がやっているのだろう、だとするならば、

「同じ轍は踏まない!」

『Radiation!』

気体をライトニングに噴射させ、左前方を目指して跳ぶ。別の家の屋根に着地すると、次は右前方の家の屋根を目指した。この蛇行しながらの移動なら、先ほどのように風に邪魔されることもない。それが遥の作戦だった。次人種の目の前まで来た時、次人種は遥に対して拳をくり出した。

『Rightning Attack!』

ライトニングを大きく振り、光る斬撃が次人種の腕を斬った。遥は大きく跳び上がり、次人種を頭から一刀両断した。

「はあああ!!」

遥のライトニングは、次人種を引き裂いてコアを破壊した。次人種は悲痛な呻き声を上げて煙と化した。

『Absorption』

辺りに滞留する気体を回収すると、半透明の作業服を着た男性が次人種の中から出てきた。あたかも作業中かのように歩き回ると粒子となり空に昇って行き、ミストランスプレーの表示も消えた。

「はぁ……」

「やあお見事、実に見事な機転だ。」

後ろから声がして、思わず振り返る。後ろには、家の屋根に座って笑みを浮かべながらこちらを見ている次人種の姿があった。しかし、明らかに他の次人種とは違かった。顔こそ化け物そのものだが、体つきは人間そっくりだ。大きさこそ桁違いだが、人間から皮を剥いで骨と筋肉の状態にした体を次人種の色にしたら、この体に限りなく近づくのではないだろうか。そして何より、今こいつは言葉を発した。本能的に分かる、こいつは他の次人種より強い。

「おいおい、そう身構えんなよ。」

ライトニングを持った遥を見た次人種が言った。そして続ける。

「ちょっとお話しようぜ?……楽しくさ。」

【次回予告】

「……喋る奴は初めてだな。」

「よく言うぜ、どうせお前がやったんだろ?」

「否定はしないな。」

「お前……何なんだ?」

「ガスト……」


第6話 ガスト

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