表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブロークンハーツ  作者: 橘光
14/14

第13話 決断の決戦日

コロナがまだまだ大変ですね。もう少し書くモチベーションがあればいいのですが(言い訳)

「…………」

学校からそう離れてはいない距離、敷地内の外に図書館が建っている。その上にシャドウは座っていた。いや、座っているとはまた違う表現になる。日陰となる部分に溶け込んでいた…の方が正しいだろう。ここからなら、学校までの視線を遮るものも無い。

「…今日で全てが決まる……遥…」

授業参観をしながら呟く。その手には…次人種の入った黒い球があった。


夜21時20分、辺りが影に染まる頃。スプレーが振動する、表記は1。

「……あいつだろうな…」

一度戦ったあいつ、一度戦って逃がしたあいつ。そして、あの時のように生まれて……生まれ変わってしまったあいつ。いろんな思いが交差する…。半端な覚悟では死ぬ。そんな緊張感がそうさせるのだろう。

「…いくか。」

ミストランスプレーを握ってベランダに立つ。少し風が強い。服やカーテンが棚引くなか、スプレーのボタンを押しながら振り下ろす。

『Stand up! to protect! Fight! Fight! Fight!』

煙は風にあおられ、勢いよく遥にまとわりついた。鎧が完成した時についた決心は、いつかの敗戦を思い出すようだった。

「…やってやる……!」

その言葉は、震える自分に言い聞かせるかのようだった。相手がどれだけ強大で、恐ろしいかはよく分かっている。助けてくれる仲間なんていない、武器も一つしかない、次負ければ……思い出してくれる人もいない。それでも、守る為だけに命を張らなきゃ、犠牲者が増えるだけだ。その方がよっぽど辛い、その方が俺が胸を張れない。

「覚悟しとけよ!」

ベランダから響いたその声を追いかけるように、ベランダから飛び出した。そして、またあの鉄塔に登るのだ。


鉄塔に登って3分程度経った時だった。遠くに次人種らしき影を見つけることができた。

「見つけ…!?」

その瞬間だった。その次人種が遥めがけてとんでもない速度で飛んできていた。

「まずいまずいまずい!!」

慌てて鉄塔から跳び下りた。それから2秒も経たない内に次人種は鉄塔に直撃していた。鉄塔からは、プラスチックのように折れてしまうのではないかと思わせるような悲鳴が聞こえた。

「くそっ…やっぱり…!」

前より数段強くなってるのが明らかだった。一回りでかくなった体長、鋭くなった爪、煙でできているとは思えないほど硬そうに見える肌。しかし、あの時煙を回収できなかった次人種であることは断言できる。どうやって戦うかを考えるにしても、落下していく中で考えがまとまるハズもなく…。地面に着地してから、距離を置こうと考えた。しかし、着地したところを見計らったかのように、次人種は球を投げてきた。

「…嘘だろ……!?」

淡く白い光に覆われていて、こちらにとんでもない速度で向かってくるそれは、誰がどう見ても高威力な遠距離攻撃と理解できるだろう。遥はそれに対し防衛本能のようにライトニングを構えて、決死の思いで弾いた。

「はあ…はあ…」

次人種のこんな強化の仕方は初めてだった。記憶にも、記録にも無い。それでも立ち向かわなきゃ…。こういう時、未知な攻撃に対してもビビッてちゃ駄目だ。どうにか出来るか考えるより、どうにかすると考えるべきだ。ゲームでも、テストでも、今まで全部そうだった。逃げ腰になったやつが負ける!!

「来やがれ!」

その声に呼応するかのように、次人種が突っ込んでくる。遥はライトニングを構えて衝撃に備える。次人種の拳は一直線に遥に向かい、遥はその拳をライトニングで受けた。まさに金属を相手にしているかのような硬さで、衝撃に耐え切れず遥の体は大きく飛ばされた。


投げ出された先は住宅街。色鮮やかな家々が建ち並び、車の通りも少なくない場所。遥が着地したのは、一軒の家の屋根だった。分かっていたことだが、あいつはいつもの奴らとは桁違いだ。硬いんじゃカウンターも通用しない。それでも奴を倒す術を探す。なら、俺に出来ることは何だ…?という考えをしている内に、次人種が遥を追いかけてくるのが見えてきた。

「あいつのスピードが速いなら……こっちも全力で加速すればいい!…そのためには…!」

遥は隣の家に跳び移った。その速度は、一般人には肉眼で認識できないようなくらいだった。常に速いスピードを保っていれば、奴のスピードにも追いつき反応できる。家を跳び回りながら助走をつけていく遥に、次人種がまたも攻撃をくり出した。

「はあっ!」

次人種の低めにくり出されたローキックは、大きく跳んだ遥には当たらず空振りとなった。遥は、拳を構える次人種の胸の高さまで跳び、スプレーのボタンを押した。

『Radiation! Rightning Attack!』

次人種の拳が遥に向かう、その拳を遥が迎えうつ。

「オラァ!!」

鋼鉄のような次人種の拳から肘までが、遥の渾身の一撃によって断裂した。

「よっし!これで……な…!?」

その5秒後だった。断裂された次人種の右腕が再生したのだ。

「か…回復時間も強化されて……」

そして着地した遥を襲ったのは、腕が治った次人種が出してきた先ほどのエネルギー弾だった。それも、大量に放たれた…遠距離攻撃だった。

「くっ…!」

遥は急いでその場から離れた。移動中も、絶えず拡散されたエネルギー弾が放たれている。考えろ…こういうときは思考を逆転させるんだ…。俺に出来ることは何だ!?客観的に考えろ。走りながら、あいつの攻撃を避けながら……。

「ちっ!」

大きく舌打ちをして路地に隠れた。走りながら思考がまとまるわけがない。あいつの遠距離攻撃を避けながら、あいつを倒す方法は何だ…。…いや、あれを……そうだ。やってみる価値はある!


遥を見失った次人種は、家の上をさまよい歩いていた。

「うおおお!!」

勇ましい咆哮が聞こえた方から遥が走ってくる。すかさず遥に拡散したエネルギー弾を放った。

「来たっ!」

遥は、拡散されたエネルギー弾を避け、そのうちの一つをライトニングで弾いた。その方向は、エネルギー弾が放たれた方向…すなわち次人種の方向だった。次人種は、その跳ね返された弾に当てるようにエネルギー弾を当て、2つの球は爆発して消滅した。

「やっぱり…あれはあいつにとっても当たれば害だ!」

球が当たるのを防ぐように撃ったことから、遥は確信した。拡散されたエネルギー弾を全て跳ね返すことは無理でも、少しづつ跳ね返していければ必ず距離を詰められ、必ず隙が生まれる。

「見つけた、あいつを倒す方法!」

再びエネルギー弾が来る、それを少しずつ跳ね返しながら走る。そうして距離を詰めていき、次人種まで120mというところまで来た。そこで放たれたエネルギー弾を跳ね返すと…すぐに爆発し、その後ろからまたエネルギー弾が来た。

「なっ…!」

跳ね返したあとの体では、すぐにその弾を跳ね返すことは出来ず……遥に直撃した。そのまま道路の真ん中に飛ばされた遥は、車が走っていないことに感謝の意を示す。だが、その一瞬で次人種は、遥に近づき拳をくらわせた。何も抵抗できなかった遥に、トラックがぶつかって来たかのような衝撃が襲った。

「かはっ……!!」

そのまま遥は大きく飛ばされ、ずいぶんと離れた家の壁に激突した。

「ぐ…ああ…!!」

推進力が無くなった体は、そのまま自由落下して地面に伏す。傷んだ鎧は、ダメージの残る体を癒し、消滅した。意識が薄れゆく…だが、次人種は迫ってくる…。

「くそ…最悪かよ…」

家族に対して謝罪と感謝の感情を浮かべた。そして、次の次人種の攻撃を覚悟した。

「そいつは、まだ早いな。」

その言葉と、すぐ後の爆発音に似た音だけは覚えていた…。

【次回予告】

『大丈夫じゃないよ!そもそも、お父さんが……』

『マジか…一人であんなの相手にしてんのか…』

『……うーん…分かんないな…』

『あー、今のは俺が悪かったな…忘れていいぞ。』

「これは…!?」


第14話 夢物語

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ