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謎のおっさんオンライン(改)  作者: 焼月 豕
Legend of the Tyrant
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ギルド結成!破壊と創造の使者達!

 城塞都市ダナンの南西側にある、鍛冶屋や木工所、製粉所や石切り場などの様々な工房が立ち並ぶ大通りは、職人通りと呼ばれている。

 それらの工房の中には冒険者、すなわちプレイヤーが自由に使用できる共同工房も存在しており、生産スキルを使って生産や商売をメインに活動している職人プレイヤーにとって、無くてはならない大切な場所である。


 その共同工房の一室に、複数のプレイヤーが集まっていた。その部屋は窓が無く、およそ十畳程度の広さで、中央に円卓が置かれた会議室であった。防音もバッチリされており、この部屋の中でされた会話が外部に漏れる事は無いだろう。

 その集まった者達の中には、あの男の姿もあった。


「さて……それじゃあ用件を聞こうじゃねえか」


 促されるまでもなく最も上座の席に腰を下ろし、口に咥えた煙草に火を点けながら、ふんぞり返ってそう言い放ったのは、筋肉モリモリの中年男性だ。体もでかいが、それ以上に態度がでかい。ついでに地獄の鬼もビビッて逃げ出すレベルで目つきと人相と言葉遣いが悪い。

 謎のおっさん。それがこの男の、ゲーム内での名前だ。まさしくこの人物を的確に表現した冗談のような狂ったネーミングである。


 そんなおっさんに相対するのは、三人のプレイヤーだ。

 一人は褐色の肌に短い髪、厚手の作業服を着た体格の良い大男、テツヲ。

 二人目は白衣を着て眼鏡をかけた、一見クールで知的そうに見える魔導技師の男、ジーク。

 最後に長い金髪をドリルのような巨大な縦ロールの髪型にして、豪奢なドレスを身に纏ったスタイル抜群の美女、アンゼリカ。


 彼らはそれぞれ鍛冶、魔法工学、裁縫を極めたエキスパートであり、それぞれの得意分野ではおっさんをも上回るほどの腕前を誇る、超一流の職人プレイヤーである。

 そして同時に、頻繁に暴走して問題を巻き起こす、おっさんと同レベルの問題児トリオでもあった。


 彼らを代表して、アンゼリカが一歩前に出て、口を開く。


「先日の大型アップデートで、ギルドが実装されたのはご存じですわよね?」


 ギルド。彼女が述べた通り、先日行われたアップデートで実装されたそれは、複数のプレイヤーが集まって結成するグループである。

 パーティーよりも大規模かつ多機能で、ギルドメンバー全員が恩恵を受ける事が出来るギルドスキル、メンバー同士が協力して挑む高難易度のギルドミッションや、巨大ボスと戦うギルドレイドといったコンテンツを内包しており、将来的には大規模ギルドは領地を持ち、街を作って運営する事も出来る予定となっている。

 そのギルド機能が実装された事で、さっそく大小様々なギルドが設立されていた。


「そりゃあ勿論知ってるが、そいつがどうした」


 おっさんも、当然それは把握している。

 それが一体どうして自分を呼び出した事に繋がるのかと、おっさんは訝しんだ。


「ギルドの勧誘が鬱陶しいんですわよ……次から次へと自分のギルドへ来いと、中には作業中だと言うのに、長々と勧誘だかギルド自慢だかわからないような話を長々としてくる輩もおりますし、中には悪質なナンパ紛いの勧誘をしつこく受けている娘もいて、迷惑しているのですわ」


 彼女の言葉に、テツヲとジークもうんうんと頷いた。

 生産スキルを一流と呼べるレベルにまで上げるのは、非常に労力とコストがかかるものだ。ゆえに優秀な職人プレイヤーは貴重であり、そんな彼らを是が非でも自分のギルドへと迎え入れたいと思う者は多かった。

 その結果起きたのが、職人プレイヤーに対する熾烈な勧誘合戦である。


「中にはギルド外のプレイヤーとの取引を禁止して、職人を囲い込もうとする輩もおりましたわね」


 アンゼリカの話によると、優秀な職人が作るアイテムを独占する為に、囲い込みを企てようとする者も一定数いたらしい。

 その話を聞いて、おっさんの機嫌が急激に悪化する。他のプレイヤーに制限を課し、自由な取引を阻害するそのような行為は、おっさんにとっては非常に気に入らない行為であった。


「そいつらはどうした?タダで帰したのか?」


「ご心配なく。当然、叩きのめした後に出入り禁止にいたしましたわ」


 その言葉を聞いて、おっさんの機嫌が治る。


「そうか、よくやった」


「とにかく、そういった次第で迷惑な勧誘が多くて、辟易しておりますの。全くどいつもこいつも、クソ食らえですわ!」


「そいつぁ大変だったな。ところでお嬢様、言葉遣いが汚くてよ」


「おウンコ召し上がりやがれですわ」


「余計に汚くなりやがった。……それで、だ。その状況で、この俺にどうして欲しいんだ?まさか勧誘しに来た奴、全員ブン殴って追い出せって訳でもねえんだろう?」


 おっさんが話の軌道を修正すると、アンゼリカは改めておっさんに本題を述べた。


「ギルドを、作ろうと思いますの。職人の、職人による、職人の為のギルドを」


 アンゼリカが提唱したのは、職人同士が助け合い、物作りや商売をする為のギルドだ。


「成る程、こっちもギルドを組んで、ギルド対個人ではなく、ギルド同士でのやり取りに持っていこうって事かい。それなら、今まで出来なかった大規模な取引も出来るだろうな」


「理解が早くて助かりますわ。職人が自由に生産や商売が出来、そして更に活躍できる環境を作るために、おっさんの力を貸してほしいのです」


 そう言ってアンゼリカが差し出した右手を、おっさんは握った。


「そういう事なら嫌とは言えねえな……乗ってやらあ。ギルドマスターはお前さんがやるのかい?」


 おっさんの質問に、アンゼリカは首を横に振った。


「いいえ、ギルドマスターですが……貴方にやっていただこうと思いますわ。後ろの二人や、他に参加予定の方々も同じ意見です」


 おっさんが視線を向けると、テツヲとジークは二人揃って頷いた。


「俺がギルドマスターね……別に構わねえが、お前らはそれでいいのか?」


 ギルド設立の為に話し合いや根回しで苦労をした彼らを差し置いて、ギルドマスターに就任する事に対して、ほんの少しばかり躊躇いがあったおっさんだったが、


「ああ。アクの強い職人共を一つに纏めるには、おっさんの有無を言わさない強引さが必要なんだ」

「それに他の大手ギルドと対等に張り合う為には、おっさんの豪胆さと押しの強さも必要不可欠だ」

「そもそも貴方、大人しく人の下について言う事聞くような人じゃないでしょう?制御出来ない部下とかいりませんわよ」


 という、彼らの説得によって、ギルドマスターに就任する事を決意した。


「イマイチ褒められてる気がしねえが……そういう事なら仕方がねえ。ギルドマスターの大任、この俺が引き受けたぜ!」


 こうして、彼らはギルドを結成した。

 ギルド名は【Clash(クラッシュ)&(アンド)Create(クリエイト)】。略してC&C。

 職人の、職人による、職人のためのギルドである。

 後にアルカディアにおいて四大ギルドと呼ばれるうちの一つにして、ゲーム内の流通と経済を支配した伝説のギルドは、こうして誕生したのだった。



 ―ギルド情報―


 【ギルド名】

 Clash&Create


 【分類】

 生産・商売系ギルド


 【ギルドマスター】

 謎のおっさん


 【サブマスター(5名)】

 アンゼリカ(裁縫部門代表 兼 ギルドマスター補佐)

 テツヲ(鍛冶部門代表 兼 品質管理担当)

 ジーク(工学部門代表 兼 販売管理担当)

 テツヲ(料理部門代表 兼 外交担当)

 ゲンジロウ(木工部門代表 兼 相談役)


 【ギルドメンバー】

 24名


 【所属NPC】

 《創世の女神》イリア

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― 新着の感想 ―
[一言] ちゃんと?女神も在住(笑)
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