逆襲・モヒカンズ!おっさん怒りの必殺拳!
髑髏の王を倒した次の日、再び廃坑の最深部へと足を踏み入れたおっさんを待っていたのは、五人の男達だった。
「よう……ノコノコ来やがったな、おっさんよ!」
モヒカンがゆっくりと立ち上がりながら、おっさんを睨んで言う。
「”待”ってたぜェ!この“瞬間”ををよぉ!」
背景に「!?」という文字が浮かびそうな程の凄味を効かせた形相で、リーゼントが叫ぶ。
「あんたがここに来るのは分かってた……だから罠を張らせてもらったぜぇ……?」
ニヤリと厭らしい笑みを浮かべて、アフロが長銃型の魔導銃を構える。
「生きて帰れると思うんじゃねえぞ!」
傾奇髷がそう言いながら、おっさんに向かって中指を立てる。
「今こそ復讐の時!覚悟しやがれ!」
おっさんを指差して、逆毛が宣戦布告する。
そして彼ら五人は集まると、それぞれ自分の髪型を誇示するようなポーズを取った。
「「「「「俺達、チーム【世威奇抹喪非漢頭】!夜・露・死・苦!」」」」」
決めポーズと共に名乗りを上げる彼らに向かって、おっさんは魔導銃を向けると一切躊躇う事無く、連続で発砲した。
「うおっ、危ねぇっ!」
「てめっ何しやがるコラ!ざけんなオラ!」
「ヒーローの変身中や口上中、ロボットの変形合体中は攻撃しちゃダメだって日本国憲法にも書いてあんだろーが!」
「おうそうだ、ジョーシキだぞジョーシキ!」
「ナメてんのかエーコラァ!」
怒りの表情を浮かべて口々に文句を言う彼らに、おっさんが軽くキレた。
「クソガキ共、てめえらの何処がヒーローだ馬鹿野郎が!大体だな、そのふざけた恰好で常識を語ってるんじゃねえよ!説得力って言葉を知らねえのか!」
「うるせえ!非常識な事に関しちゃアンタにだけは言われる筋合いは無ぇよ!」
「そうだそうだ!理不尽がツナギ着て歩いてるようなモンじゃねえか!」
おっさんが罵倒すれば、モヒカン達も負けじと言い返す。口汚い言葉でお互いを罵りあう、罵倒合戦はそれから十分以上もの間続いた。
*
「……で、何の用だてめえら。俺はこれから此処でやる事があって忙しいんだ。てめえらの用事は後にしやがれ」
大声で罵声を飛ばし続けて、流石のおっさんもお疲れのようだ。その場に座って水筒の水を飲みながら、顔に疲れを滲ませておっさんが言う。
「その用事ってのは、ダークメタル・ゴーレムを倒す事かよ?」
モヒカンがそう口にすると、おっさんは
「何故わかった」
と、驚きを浮かべる。それを見て、モヒカンは満足げに笑った。
「あのゴーレムなら、俺らが昨日倒した。当分は出て来ねえぜ」
「何だと……?」
モヒカンの口から出た言葉に、おっさんが更に驚く。だがおっさんの意外と明晰な頭脳は、すぐに真相を導き出した。
「そうか、カズ坊の仕業だな?」
おっさんがモヒカン達を見る限り、以前と比べれば格段に強くなってはいるが、この五人だけでボスモンスターを倒すには少々力不足であると言わざるを得ない。
いや、今の彼等でも始まりの草原で戦ったフューリー・ボア・ロードや、迷いの森のジェノサイド・キングベアーくらいの相手であれば、連携次第では倒せるかもしれない。それだけでも元βテスターではない、初心者プレイヤーにとっては十分な快挙ではあるが。
だが、それよりも更に数段強いであろう、この廃坑のボスを倒すにはまだまだ力不足な筈だ。であれば協力者、それもボスモンスターを単騎で葬れるほどの強力な者が居るはずだ。おっさんはそう判断した。
そして犯罪者プレイヤーであるモヒカン達と繋がりがある、或いはあると考えられる者で、その条件に該当する者は二人。
ただしその内の一人はモヒカン達に協力するとは思えない為、実質候補はカズヤ一人に絞られる。
「ああ、その通りさ!ダークメタル・ゴーレムはカズヤさんがコテンパンにノしてやった!報酬のダークメタルも、大半はあの人が持っていったぜ!残念だったなぁ!」
「チッ……だったらここに用は無ぇ。じゃあなクソガキ共」
勝ち誇るモヒカンのドヤ顔に気分を害したおっさんは、舌打ちを一つして彼らに背中を向けた。
「おぉっと待ちなァ!こいつを見ても同じ事を言えるかな!」
おっさんが首を回して顔だけで振り返ると、その視線の先にはアイテムストレージから、黒い金属の延べ棒を取り出して掲げるモヒカンの姿があった。
「こいつが欲しけりゃ、俺達を倒して奪うんだな!」
目的のアイテムを目にして、おっさんがニヤリと笑い、その手に力が籠もる。
「フン……確かにそいつを餌にしたのは、なかなか目の付け所が良いと褒めてやる。だが無意味だ。どうせすぐに、そいつは俺に奪われる事になる」
「クックック……こいつを見ても同じ事を言えるかな!」
モヒカンはそう言うと、武器を実体化させて装備した。それは前回と同じ、二振りの両刃の戦斧であったが、一つだけ違う点があった。その斧の刃は漆黒に染まっていたのだ。
その黒い刃はまさしく、先程彼が取り出した金属、ダークメタルと同じ物に違いない。すなわち、それが意味する事は……
「どうだ!これがダークメタル製のバトルアックスだ!このゲームでダークメタルを使って武器を作った最初の男はアンタじゃねえ!このモヒカン皇帝様だァーッ!!」
黒光りする斧を両手に持ち、それを振り回しながらモヒカンが勝ち誇る。そう、彼は以前からこの場所で鉱石を掘り続けて得たブラックストーンを加工し、おっさんと同じようにダークメタルを集めていた。それに先日カズヤから譲られた物を加えて、おっさんよりも一足先にダークメタル製の武器を完成させていたのだった!
「どうだ悔しいか!この俺に先を越されてよぉ!ワハハハハハハ!」
調子に乗って勝ち誇るモヒカンに、おっさんが近付く。その表情は優しかった。
「フン……まさかこの俺が、てめえなんぞに先を越されるとはな。……大した奴だ。その斧も、なかなか良い出来じゃあねえか。いや全く大したもんだ」
「お、おう……?」
突然モヒカンを認めるような事を言い、優しい言葉をかけるおっさんに戸惑うモヒカンだったが、次の瞬間、おっさんが本性を現した。
「だから俺にくれ」
おっさんがモヒカンの持つ斧に手を伸ばし、アビリティ【ぬすむ】を発動する。プレイヤーやNPCを相手に使えば悪名値が上がる事を代償に、実体化されているアイテムを一つ奪う事が出来る極悪アビリティだ!
それによっておっさんは、モヒカンが稀少な素材を使って丹精込めて作った武器を盗もうとする。とても主人公の所業とは思えぬ暴挙だが、その窃盗行為は未遂に終わった。
おっさんが斧に触れ、それを盗もうとした瞬間、バチッ!という音と共に火花が散り、おっさんの手が弾かれる。
『対象アイテムは専用化されている為、盗む事が出来ません。アビリティの使用に失敗しました。窃盗に失敗したペナルティにより、ディレイタイムが発生します』
同時にその原因を示すシステムメッセージが表示され、おっさんの動きが止まる。【専用化】とは、文字通りそのアイテムを特定の人物専用にする事だ。
専用化する事によって、その装備品は一切の取引が出来なくなり、売却や譲渡、廃棄する事も不可能になる。だがその代わりに性能が上昇し、窃盗や紛失のリスクが一切無くなるという利点が存在する。ちなみに専用化を行なう為には、課金アイテムが必要である
「かかったな間抜けがァーッ!」
盗みに失敗した事で、おっさんに致命的な隙が出来る。それを見逃すモヒカンではなかった。素早く左手の斧を振るい、モヒカンがおっさんに斬りかかる。斧の重い一撃が、おっさんの頭を割る。そして間髪入れずに、今度は右手の斧が襲い掛かった。
「モヒカァァァァァン、スマアアアアアアッシュ!」
斜め下から豪快に振り上げられた斧のアーツ【スマッシュ】が、無防備なおっさんの胸を深く切り裂いた。
おっさんが吹き飛ばされ、仰向けに倒れる。ダークメタル製の非常に攻撃力が高い斧による、これまた高威力のアーツが直撃した事で、間違いなくおっさんは重傷を負った。
「ヒャッハー!トドメだ!」
倒れたおっさんに追撃を仕掛けながら、モヒカンは昨日の事を思い出していた。
(全く、恐ろしい人だぜ、カズヤさんは……)
つい昨日の事だ。ダークメタル・ゴーレムを倒してカズヤと別れた後、モヒカンは自分で集めたダークメタルと、カズヤから貰った物を合わせて、鍛冶スキルで斧を作成した。
その事と、再度おっさんに挑む事をメールでカズヤに報告したモヒカンは、彼からアドバイスを受けたのだった。
「おっさんは基本的に、最初は遊ぶ。格下を相手に、いきなり本気を出すような事は絶対に無い」
カズヤがそう断言する。彼はおっさんの、その舐めプ癖とでも言うべき悪癖をよく知っていた。おっさんの頭の中には、自分が絶対強者であるという自負と驕りが存在する。
実際におっさんは桁外れに強く、油断・慢心した状態であろうと生半可な相手ならば簡単に蹴散らす事が出来るため、これまでは問題にならなかったが……
「だからこそ最初が肝心だ。おっさんに勝ちたいなら慢心している間に、初手で殺せ。おっさんの油断を誘い、誘導して隙を作るんだ」
カズヤが、おっさんを殺すための、必殺の刃をモヒカンに渡した。そしてその刃は、確かにおっさんの喉元へと届いたのだった。
「勝てる……勝てるんだ!」
モヒカンがトドメの一撃を放とうと、振りかぶった斧をおっさんの頭に振り下ろそうとする。だがその寸前に、おっさんが動く。
「ふんっ!」
掛け声と共に、おっさんは背中の力だけで跳躍し、空中で回転しながら体勢を立て直すと共に、モヒカンの頭上を取った。
「何だと!?」
「遅ぇッ!」
そのままおっさんはモヒカンの体を飛び越えて、一気に背後に回る。モヒカンにとってはトドメを刺すチャンスの筈が、一転して後ろを取られて大ピンチへと変わった形だ。
(しまった!トドメを焦ったか!)
いくら油断していた所に不意討ちが決まったからと言っても、相手はあのおっさんだ。決して気を抜いて良い相手ではないというのに、モヒカンは目先の勝利に目が眩んでしまい、冷静さを失っていた。その結果がこれだ。
「【封技点穴】!」
一瞬でモヒカンの背後を取ったおっさんは、右手の人差し指でモヒカンの背中を突き指した。
「うおおお!【アックストルネード】!」
それに対してモヒカンは、回転しながら斧を振り回して周囲を薙ぎ払うアーツを発動させようとしたが……
「馬鹿な!?な、何で発動しねえ!?」
モヒカンが使おうとしたアーツが、どういう訳か発動しない。何故だ?アーツの動作を間違えたのか?それともMPが切れたせいか?
否、そのどちらでもない。その原因は、直前におっさんがモヒカンに対して使用したアーツの効果であった。
先程おっさんがモヒカンの背中を指で突いた時に使用したのは、点穴術というカテゴリの格闘アーツの一種だ。その効果は……
『エラー。【戦技封じ】の状態異常にかかっている為、アーツを発動できません』
モヒカンの視界に表示された、そのシステムメッセージが表す通りだ。おっさんが使用したアーツ【封技点穴】は一定時間、戦技封じというアーツが使用不可能になる恐ろしい状態異常を相手に与える効果を持っていた。
「クソがっ!だったら普通にブン殴るまでだ!」
モヒカンが破れかぶれで斧を振り回しながら、おっさんに突撃を敢行する。だがその程度の、何の工夫も無い攻撃がおっさんに通じる訳もなく。
「踏み込みが甘ぇッ!」
おっさんは左右の斧による重い斬撃を左手であっさりと受け流し、残った右手の拳をモヒカンの顔面に叩き付けた。
渾身の振り下ろしの右が直撃し、モヒカンが倒れる。おっさんはそれを見下ろして言った。
「なかなか悪くねえ作戦だったぜ。この俺に一杯食わせやがってくれた事は褒めてやる」
モヒカンが素早く地面を転がりながらおっさんから距離を取り、立ち上がって斧を構える。警戒を強くするモヒカンは次の瞬間、驚くべき光景を目にした。
「よって、褒美をやろう」
おっさんはその言葉と共に、自分の胸に指を突き入れてアーツを使用した。
「【修羅点穴】!」
モヒカンの攻撃によって半分以下になっていたおっさんのHPが、自身のアーツの効果によって更に減っていき、レッドゾーンへと突入する。
「な、何やってんだテメエ!」
まさかの自殺行為にモヒカンも困惑するが、おっさんが使ったアーツの効果はそれだけではなかった。
「はああああああああああッ!」
おっさんが自分の胸から指を抜き、力を込める。すると、元々ガタイの良いおっさんの肉体が、更に筋骨隆々に膨らんでいく。腕は丸太のように太くなり、ツナギの袖がビリビリと音を立てて破れ、同時におっさんの足元の地面がひび割れて陥没する。そして髪が逆立ち、凶悪な人相が更に悪化して鬼のような形相と化した。
「これが【修羅点穴】の効果だ。HPが1になって効果時間中は回復も出来ねえが、その分大幅なパワーアップが出来る」
何と恐ろしい効果だろうか。自らを瀕死に追い込む事を代償に、消費した生命力に比例してその攻撃力が増大する、まさにハイリスク・ハイリターンの極致。
「俺はこれから、全力でてめえをブン殴る。だが見ての通り、俺のHPは残り1。その前に俺に攻撃を当てられれば、てめえの勝ちだ」
「……てめえ、褒美とか抜かしやがったな。それはハンデのつもりか!?」
モヒカンが激昂する。何故ならおっさんは、わざわざそのようなハイリスクな技を使わずに普通に戦うだけで、モヒカンに勝てた筈だからだ。
この期に及んでまだ舐めプに徹するつもりかと、怒りを露わにするモヒカンだったが……
「何勘違いしてんだ。俺はただ、味な真似をしてくれたてめえを全力でブッ飛ばしたいだけだぜ。褒美ってのは、俺の全力を見せてやるって意味だ」
だがそれはモヒカンの思い違いだ。確かにおっさんはモヒカンを格下と見ている事は間違い無いが、その格下の雑魚から慢心を突かれ、HPを半分以下にまで減らされた事で、おっさんは目の前の相手を敵と認め、手加減を止めたのだ。
「来やがれクソガキ!遊びは終わりだ、お前を殺す!」
おっさんが両手を前に突き出した構えを取り、殺意を剥き出しにする。
「上等だクソ中年!その前に俺がてめえを殺す!」
モヒカンが二つの斧を大上段に構え、アビリティ【ハイジャンプ】を使って天井まで届くほどの大跳躍をする。
おっさんに向かって急降下しながら、モヒカンが奥義を発動させた。
「うおおおおおお!【喪非漢剛双飛斧撃】ッ!」
意外ッ!それは投擲ッ!モヒカンは斧を大きく振りかぶり、それを二つ同時におっさんに向かって投げつけた!
モヒカンの手から放たれた二つの斧が、高速旋回しながらおっさんを狙う。
「【円空掌】!」
それに対しておっさんは、突き出した両手を円を描くように動かして、斧を弾き飛ばした。
これこそがおっさんの十八番にしてメイン防御アビリティ【円空掌】だ。円を描く掌の動きであらゆる攻撃を受け流す、格闘と武器防御の二つのスキルを極めた者のみが使える絶対防御の構え。
その効果は単純にして明快。このアビリティを使用してジャストパリィに成功した場合、あらゆるダメージが0になるという物だ。
ただし、そのタイミングは非常にシビアである。ジャストパリィ判定が出る時間はほんの一瞬であり、また素手でしか使えないため射程距離も非常に短いという、非常に扱いが難しい技だ。
だが、おっさんはこのアビリティを使ってダメージを受けた事は今まで一度も無かった。
βテスト時代、とあるプレイヤーとの決闘を行なった際に、その相手が放った奥義……双剣による高速十六連撃アーツを全てジャストパリィで切って落とし、カウンターで鮮やかな勝利を決めたおっさんの勇姿は、今なおβテスターの間では語り草になっている。
「俺の奥義をあっさり防ぎやがったか……流石はおっさんだ」
モヒカンが呟く。渾身の奥義を防がれた少年の顔には、諦めや絶望の色は一切無い。
「だが、それくらいは想定内だ!これが正真正銘、俺の最後の一撃だ!」
モヒカンは急降下しながら空中で宙返りをした。上下逆さまになった体勢で、おっさんにそのモヒカンヘアーを向けて突っ込んでいく。
「ヒャッハアアアアアア!モヒカン・ヘッドバーット!」
落下しながら自慢のモヒカン頭を叩き付ける、頭突きによる特攻。それがモヒカンの最後の切り札だった。おっさんはそれを、突き出した両手を広げて迎え撃つ。
「【気功壁】!」
広げた両手の先に気で壁を形成し、おっさんはモヒカンの突撃を受け止めた。それによってモヒカンの動きが止まった。
「チッ……届かなかったか……」
おっさんが右拳を全力で握る。それを見て、モヒカンは敗北を悟った。
「こいつで終わりだ!」
おっさんの震脚によって彼の足元に地割れが発生し、廃坑が縦に揺れる。おっさんはその力を右拳へと集約し、真上に向かって振り上げた。
格闘スキルの奥義アーツ【破鳳拳】。攻撃範囲が真上にしか存在しないため対空以外には使えないが、その威力は絶大である。
「ぐあああああああああ!」
モヒカンが打ち上げられ、廃坑の天井を突き刺さる。いや、モヒカンはそのまま固い岩盤を突き破って、最下層から地上に向かって進んでいった。
「さーて、今日もレア鉱石を目指して採掘するか……ん?何だ、地震か?」
丁度その時、廃坑に入ろうとしたプレイヤーは突然地面が揺れた事に驚く。だが次の瞬間、その程度の揺れなど比較にならない程の、驚くべき光景が彼を襲った。
突然、目の前の地面が割れると同時に、モヒカン頭で鋲付きの革ジャンに革パン、棘付き肩パッドを着用した男が飛び出して来たのだ。そしてそのモヒカンはそのまま、空の上まで飛んでいった。
「……俺、疲れてんのかなぁ。今日はもう寝るか……」
目の前で起こったショッキングな出来事から目を逸らし、彼はログアウトボタンを押した。
一方、廃坑内のおっさんは、モヒカンが落としていったダークメタルを拾ってアイテムストレージへと放り込んでいた。
それと同時に筋肉で肥大化していたおっさんの体が元に戻っていく。どうやら【修羅点穴】の効果が切れたようだ。
「でかい穴が開いたな。こいつは地上との行き来が楽になりそうだ」
天井に開いた穴を見上げながら、おっさんがそう呟いた。




