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 屋台のクレープを食べて、それから、同じような屋台のホットサンドを食べる。秋晴れの公園で食べるものはとてもおいしかった。並んで公園のベンチに座って食休み。ポカポカの陽気でいつまでもここにいられそう。そんな、穏やかな時間だった。


「……気持ちいいね……」

「……そうだな……」


涼君は目を細めて空を見上げる。いつまでもこんな穏やかな時間が続けばいいのに。そう思わずにはいられない。こうやって、二人でいられること。でも、いつまでもいられるわけじゃない。今まで、当たり前だと思っていたけれど、本当は当たり前なんかじゃなかったこと。久しぶりに言った美術館が思ったよりも楽しかったのと同じように、私たちも変わっていたように。


「ねぇ、涼君」

「なに?」


私は思い切って聞いてみることにした。


「はるちゃんこと、好き?」

「は?いきなりどうしたんだ?」

「いいから、答えて?」


もし、はるちゃんのことが好きだって答えたら、どうしよう。ううん。違う。私たちは今のままのじゃあいられない。私はずっと涼君といられるように考えないといけない。涼君に守られていたばかりの私から変わらないと。涼君に好きだと言ってもらえるように。


「……そうだな。好きか嫌いかで言えば、好きだな」


涼君は少し考えてから答える。そして、でもと言葉を続けた。


「でも、俺ははるが怖い」

「え?」


私は聞き返さずにはいられなかった。はるちゃんが怖い?よくわからない。


「ああ。全部わかっているというか、すべて計算して動いている気がする」

「……よくわからない」

「そうだな。俺も上手く説明できないんだけど、こう言えば、どういう反応するのかわかっているって感じかな。それを考えているって」


なんとなくだけど言いたいことはわかった。


「私もはるちゃんに見透かされてるって思うときあるよ」


つまりはこういうことなんだと思う。


「ああ。だから、一緒にいると楽なんだけど、ずっと一緒にいるとしんどくなる」

「じゃあ、私は?私と一緒にいるのはどう?」

「は?」


今度は涼君が聞き返す。これを聞いておかないと、次の話には進めない。


「だから、私と一緒にいてしんどいとかない?」

「いや、それはないな。ずっと一緒にいるのが当たり前で、むしろ、いなくなると不安になりそうだ」


涼君は苦笑しながら言った。その言葉に勇気をもらう。


「私は涼君とずっと一緒にいたい」

「は?」


涼君はとぼけた声を上げた。それに、怯えていたらダメ。きちんと、伝えないと。


「……側にいることが当たり前の関係じゃ嫌なの。側にいることを約束した関係がいいの」


私はバックからプレゼントの包みを出す。そして、涼君を見ないで、その包みを差し出した。


「これが私の気持ち。私……涼君が好き……小さい頃から、ずっと好きなの」


私は涼君の顔を見れなかった。俯いたまま、包みを受け取ってもらえるのを待つ。ためらった様な間が開いた後、涼君はそれを受け取ってくれた。


「……葉那……これ……」


シュッとリボンがほどかれる音がする。そして、呆けたような涼君の声が聞こえてきた。


「……皐月の間違いじゃないのか……?」

「……どうして……皐月君は、関係ないじゃない……」


私にはどうして涼君がそんなことを言うのかわからない。もちろん、皐月君もずっと一緒にいたい幼馴染。でも、涼君に向ける気持ちとは全然違う。


「……だって、あの時、二人で抱き合っていたじゃないか……」

「……あの時って……」


私が皐月君と抱き合っていた?そんなの、いつあったっけ?覚えていない。


「……はるが怪我したとき……」


涼君が絞り出した声に私は考えた。はるちゃんが怪我したときのことを思い出すと、ズキッと胸が痛む。でも、思い出さないと。私が皐月君と抱き合っていたなんて……。


「あ……あれは、慰めてもらっていただけ……」


あったかもしれない。私たちにはそんなつもりがなくても、そう見えたかもしれない。


「……だから……皐月君は関係ないよ……私が好きなのは涼君だよ……」


私はうつむいたまま言った。それが、私の間違うことのない気持ちだから、涼君にわかってもらいたかった。


「葉那、ごめん」


聞こえた声に私は泣きたくなる。やっぱり、迷惑だったよね。私はやっぱり、はるちゃんにはかなわない。言うんじゃなかった。後悔しかけた時だった。


「葉那にそこまで言わせるなんて、男として失格だな」


涼君の苦笑交じりの声が聞こえた。


「えっ?」


私は思わず涼君を見た。涼君は優しい顔で私を見ている。


「葉那、変な顔」


涼君はそんな私を見て笑った。


「俺、葉那はずっと皐月が好きなんだと思っていた」

「皐月君のことももちろん好きよ。でも、涼君の好きとは違うの」

「うん。わかったから」


涼君は手の中でパズルリングを転がす。なにか、言葉を考えているようだった。




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