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帰還と目撃と男の娘


「――――『神の慈愛ギフトピース』」



 後日談です。

 といってもそこまで語る事もありません。


 ラギ師匠が水の女神ルシフからコピーした回復の『神域』で、街の被害全部を回復させて大体の事は解決しました。 

 亀甲縛りの大人達はインナちゃんの能力を解除したら解決しましたし、外で寝ていた大人達には、最近の夢に関する事件の弊害として処理が出来たそうです。


 …………まぁ、その原因はクーロンの仕業なのですが、全員が全員淫夢を見たという報告は、まぁ私の仕業となってしまうのでしょう。


 こ、これもひと時の甘い夢ってやつですよね! 良い誤算です! サプライズです!


 

「そうですか、あの国でそんな事が」


「はい。大変だったけど、何とかなりました!」



 その翌日。

 ラギ師匠の屋敷の食堂で、私はバロン様と一緒に紅茶を飲みながらお話をしました。


 丁度、『お願い事』もしたかったので、そのついでと言った感じです。



「全く、今回は上手くいったが、今度から慎重に動くんだぞ」


「まぁまぁいいじゃないラギ師匠さん、私達めっちゃ頑張ったんだし悪気はないよ?」


「それはそうだが……」


「菊蘭、あの凶悪なツラの男に襲われそうになったれ言うんですよ。全力で破滅させますから」


「誰が襲うか!」


「でも私の魅力で前かがみだったじゃないですか!」


「生理現象なんだから仕方ないだろ!?」


「仕方ないで責任を取らない男もいますから気をつけるのですよ」


「はい!」


「ラギ師匠さんも女だったら良かったのにね」


「……それは、ヤツの嫌味になるぞ」



 ラギ師匠は、チラと……バロン様の背後に立つ……人を憐れむように見ます。



「……やめろ、そんな目で見るな……!!」 


「似合っていますよ! クーロンちゃん!」


 

 見事なメイド服に身を包んだクーロン君改め、クーロンちゃんは涙目で顔を真っ赤にしていました。


 元々身体も華奢なので、『男の娘』も様になります。



「なんだよ……普通に拘束してくれよ……!! ラギ!!」


「俺に言うな……。俺は無力だった……すまん……」


「これは仕方ないんです! 貴方を放っておけば被害が拡大しますから! だからこうしてお持ち帰りぃいいい! したのです!」


「因みにメイド服は、ラギ師匠さんのポケットマネー! 今回の事件解決のご褒美で買ってもらいました!」


「殺せよぉ……もう殺せよぉ……」


「バロン様。この男の娘をよろしくお願いしますね」


「えぇ。とても良い経済効果を発揮できそうです」


「やめろ! 俺は男だ! こんな格好で何させる気だよ!!」


「ご安心ください。配属先は『メイド喫茶』です。その容姿だと、男よりも両性具有ふたなりの女性に人気が出そうですね」


「ら、ラギぃ……同じ男としてお前なら俺の気持ちわかるよな……? 助けてくれよぉ……!」



 クーロンちゃんはラギ師匠の膝まで行って縋りつきます。


 涙目で訴えます。


 

「これだけで薄い本が厚くなりますねバロン様!」


「えぇ。良い逸材を見つけてきましたね、ぐっじょぶ!」


「ひぃいい! た、助けてくれ! ラギ!」


「…………人気が出ると、いいな」


「ラギぃいいいいいいいいい!!!」



 ガクガクと身体を揺らされるラギ師匠。

 ふふ、あんなにもラギ師匠を求めるなんて……クーロンちゃんは素質アリですね!


 やはり私の見立ては間違いじゃありませんでした、あの街で育った甲斐があったというモノです!



「ラギー? 私のポテイチ知らない? 買い置きがあった筈……びゃあああああああああ!! 禁断の花園ォ!!」


「「何が花園だ!!」」



 レーネさんは、ぷるぷると壁によりかかり涙目です。


 良いタイミングでしたね、あの角度的に、クーロンちゃんがラギ師匠の息子を口で処理しているように見えていることでしょう。



「ヤヴァイんですけど……英雄色を好むというし……かの偉人や英雄も、男色を好んだ人もいるらしいし……でもちょっと! それは駄目よ飛ばし過ぎよ!」


「違うぞレーネ! 俺には、そんな趣味はねぇよ!!」


「俺にもねぇよ!!?」


「え?」


「なんだよお前も敵かよ畜生!! 味方だと思ってた!」


「ラギと男の娘の修羅場!? なに!? 修羅場!? 修羅場なの!? お酒持ってくるわね! こりゃ見物よ!」


「レーネ。私はワインで宜しくお願いするわ」


「私は豆乳がいいです!」


「私リンゴジュースがいい!」


「俺は水でいいぞレーネ」


「やめてくれ! お前がそっち側に行くな! 俺じゃ捌き切れねぇよ!」


「この時ぐらいツッコミを放棄したいんだよ俺は!!」


「ラギ師匠」


「なんだよ」


「今、俺は突っ込みたくない。つまり突っ込まれるのはアリっていいました?」


「曲解って言葉を物理で脳に叩き込んでやろうか」



 言葉を物理で叩き込むって初めて言われました。


 たぶん、辞書かなんかを物理的に脳に突っ込まれるのでしょう。こわっ。



「そういえば、貴方はルシフに会ったのですよね。順調に能力は回収出来ていますか?」


「あぁ。今回は特に何もしなくとも入手できたな。……先行はしたが、菊蘭とインナのお陰だ。よくやったよ」



 ぶっきらぼうでしたけど、素直なその言葉は。

 じんわりと温かく、私の胸に溶け出します。


 えへへ、嬉しいですね……。



「しかし、それがどうしたんだ?」

 

「いえ、貴方に良い情報をお持ちしたので、お教えしようかと」


「良い情報だと?」


「『雷の女神』が最近新たな催しを始めるというのですが……出場しますか?」



 バロン様は懐から一枚のチラシを師匠に手渡します。


 師匠はそれを一読すると、眉間にしわを寄せて顔を曇らせました。


 

「…………なるほどな。だが、これは本当に」


「真偽のほどは直接その国に出向くのがよろしいかと」


「ねぇねぇラギ師匠。一体なにが書かれてたんですか?」


「『大会』だ。最強を決めるらしい」


「いいじゃないですか! 最初から戦闘なら、能力もコピーしやすそうですし!」


「あぁ。それだけならな」



 師匠は渋い顔でチラシとにらめっこです。


 …………一体、なにが書いてあったのでしょう?



【あとがき】


ここまで見てくださりありがとうございます。作者です。


皆さんは最近起こった悲しい事件、ありますか? 私はあります。


ある日、中々思うように新作が伸びず、どうしたもんかと気分転換に散歩していたところ、大学生しきカップルの痴話げんかを目撃してしまい、道に迷った人を装い会話を終始聞いていたのですが


彼氏の方が誰かと浮気している、という話からだんだんと盛り上がっていき、最終的に


彼氏『ごめん、本当にごめん』

彼女『本当にごめんって思ってたらごめんって言わないから!』

彼氏『じゃ何だったら許してくれるの(半ギレ)』

彼女『私の話聞いてよ! ちゃんと謝ってよ! ねぇ!』


と、会話が混沌としていました。


会話に終わりが見えなかったし寒かったので途中で聞くのを止めましたが、果たして何と言って謝ればよかったのか、いまだにわかりません。


ただ二人の仲は引き裂かれたようなので、少し悲しい気分になりました。以上です。



さて、最近息抜きにジャンプの読み切りみたいな作品を書こうという企画にチャレンジしていた訳ですが、意外と硬派に仕上がりましたね。


なんと下ネタが、『ドスケベ淫乱ビッチ』しか出てきません、クリーンです。


今現在、ちゃんとした作品の方を練っていますが、そちらの方はいつもの通りグレーゾーンを責める感じに仕上げる予定です。


真面目成分大目の作品を書いて息抜きも出来たので、心機一転、この作品のタイトルも作者の名前も変えてみました。すぐ思い付きでこういう事するから後々痛い目みるのに学習しませんね私は。


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