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コーンと女神と基礎講座 【あとがきでお知らせアリ】


「ですから、私は貴方と行動を共にするつもりもございません」


「あぁ? いいじゃねぇかちょっとくらいよ。なにただの親切心だって」



 色んな店があるんだなぁ。防具を売っている露店もあればスタンダードにフルーツを売る店もある。


 いやはや目移りしてしまうな。



「そもそも行動を共にする理屈が見出せません、貴方がたは私に何のメリットを提示できますか」


「固いな、この国はもっとフランクに行こうぜ。なぁ」


「私は興味がありません」



 お! あの屋台の『バクダンコーン』めっちゃうまそうだ!


 じゅくりと焼き醤油が垂らされて、もうそれだけで空腹を刺激される。

 ただコーンに醤油塗って焼いただけなのに……どうしてこうも食欲をそそられるのだろう。



「いい加減にしてください。何度言われても同行しません」


「あぁ? つれない事言ってんじゃねぇよ。いいから来いよ」



 俺は何やらもめている人を通り過ぎ、屋台の方へ引き寄せられるように辿り着く。



「お、兄ちゃんコーン買ってくかい!」


「あぁ。一つくれ」


「おう待ってな! ちょうど焼き立てが仕上がるからよ!」



 頭に白いタオルを巻いたオッサンは爽やかに笑うと、目の前で焼かれたコーンに醤油と……まさか、バターも!?


 バターも塗るのか!? バカ野郎!! そんなん旨いに決まってるだろうが!!


 

「そういや兄ちゃん。さっきからあの綺麗な嬢ちゃんが兄ちゃん見てるが知り合いかい?」



 俺は後方、通り過ぎた集団に振り向く。


 そこには一人の紫髪の女性と一人の男がなにやらやんやと口論していた。


 俗に言うナンパだろう。確かに、紫髪の女性は俺の方をちらちら見ていた、なんなら目が合った。



「いや、全くこれっぽっちも知らない。多分俺じゃなくてそのコーン見てるんだろう」


「そうか? だったら……持ってってやんな。サービスするから」



 オッサンはそう言って出来上がったコーン一本を俺に手渡す。


 …………オッサン、粋な事しやがるじゃねぇか


 俺は面倒だし心底関わりたくなかったが、快男児なオッサンの粋な取り計らいと、素晴らしく旨そうなコーンの為。

 二人に割って入る。


 女性に話しかける男に見覚えは無く、ならず者のように目つきだけの奴だった。



「おいテメェら」


「あぁ? なんだお前」


「そいつは俺の……」



 あれ、コイツは俺にとって何だ……?

 知り合い……? いや……違うな、一応命のやりとりしたし……なんというか……。


 助けに行くような間柄でもないし……そもそも助ける必要性も見いだせないが……なんて言えば良いのだろう。



「俺の……なんだと思う?」


「知るかよ!!」


「きゃー、たすけてラーくん」



 ラー君!? 



「アァ? なんだテメェのツレかよ」


「いや違」


「そうよ。はやくたすけてー」



 ……なんて棒読み。設定つけて演技するならもう少し真面目にやれよ……。


 だが、コーンのオッサンの心意気を無駄には出来ない。

 

 

「人のツレにちょっかいかけるとはいい度胸だな、痛い思いしたくなかったら失せろ」


「おいおい威勢がいいなテメェ。冒険者か? 言っとくが俺は冒険者なんてグガッ!?」



 男は空中でダイナミックな回転をしながら地面にドサリと倒れる。


 

「俺が失せろと言ったんだ。2秒以上かけてんじゃねぇよ」


「く、っく、テメェ顔覚えたからな!!」


 

 男は這い這いの体で情けない声を上げながら人込みに消える。


 この国の警備どうなってんだ、あんな輩ぐらい取り締まってほしいんだがな。



「ご協力感謝します。助かりました」



 無表情に、女神バロンは頭を軽く下げる。

 純白の衣装はその清廉さを際立たせ、何も言わずとも人を寄せ付けるような美貌を惜しげもなく放っていた。


 これならまぁ絡まれるのも無理はない。 



「お礼ならあの屋台のオッサンに言え。このコーンと共にな」


「ありがとうございます。屋台、ですか。ふむ……そこな店主」


「おぉ無事でなによりだ。兄ちゃんもご苦労様。ホレ、約束のコーンを受け取ってくれ」


「いや金は払うさ」


「何言ってんだよ。これは気持ちのいいモン見せてくれた礼だ」


「だが……」


「だったらこの屋台の評判を広めてくれよ! それでお代はチャラにするからよ」



 なんと気持ちの良いオッサンなんだろうか。


 人間的に出来ているといえばそれまでだが、嫌味も無く情に熱い……この世もまだ捨てたもんじゃんない。



「店主よ。貴方の行いは静かながらも想う心に溢れています。その素晴らしき徳を認め、女神の祝福を授けましょう」


「あっはっは! 確かにねぇちゃんは女神さまみてぇに綺麗だな!」



 バロンは屋台の前で祈るように手の平を組んだ。

 正真正銘の女神の加護だ。その効果は計り知れない。


 その後、俺とバロンはアツアツのバクダンコーンを美味しく平らげ、途中まで共に歩く事になった。


 女神は国王との会談を終え、城下町たるこの場所をお忍びで散策していたらしい。

 

 

「やはり、この国は安泰ですね。善と悪のバランスがとれています。……すぐに助けなかった貴方以外は」


「あれくらい女神のお前ならなんとか出来ただろう」


「女神という身分を隠しているのですから、能力も実力行使もできません」


「そういうもんか。まぁ俺も殴るんじゃなくて、『神の宣誓オラクル』でなんとかすればもっと話は早かったな」


「なにを言っているんですか、貴方に使える訳がないじゃないですか」


「いや、お前はあの遊郭で何を見たんだよ……」


「それは私の神殿だったからでしょう? 国王から聞きましたが、貴方は光の女神と共にいるのですから説明聞いていないのですか?」


「は? 待てそれ今初めて聞いたぞ、というか光の女神ってなんだよ」



 ピタリ、バロンの足が止まる。


 ギギギと音が鳴りそうな風に、頭だけコッチを向けた。



「……女神について、貴方が知る情報。なにがありますか」


「女神連盟と、女神は信仰が必要」


「それと?」


「以上だ」


「…………」


「おい何でそんな眉間を抑えるんだ、待て、そんなレベルか?」


「……ここでは駄目ですね。一度、どこか店に入りましょう



 真剣……いや、呆れたように女神は近場のカフェへ移動し、珈琲を二つ注文してテーブルで対面する。


 

「……本来なら光の女神の仕事なのですが、代わりに私が説明しましょう。いえ、説明が必要なのです。基本情報以下の情報で女神と接触するなど非常識にもほどがあります」


「それは有難いが、こんな場所で女神について話してていいのか?」


「ここに小規模の結界を発生させました。私達の会話は聞こえるようで聞こえません」



 なんとも便利な結界だな。


 俺が神の能力だけコレクションすると決めていなければ、今すぐにでも複製コピーしたい能力だ。



「なら早速話を聞きたいんだが……お前はどの程度まで話せるんだ?」


「私も他の女神を深くは知らないので、基本情報のみです。憶測で不要な情報を与える訳にもいきませんから」


「そうやってきっちりしてくれると助かる……うちの女神バカは、そういうの全くないからな……」


「……でしょうね。私も彼女にはほとほと呆れています」



 俺たちはふたり深くため息をつく。


 そうか……女神の間でも……アイツはまんまか……。



「では、女神の属性について、お話しましょう」



 店員の差し出したコーヒーを受け取り、女神バロンは話し出す。


 ……女神に属性ってあったんだなと漏らすと、可哀そうな人を見るような目で……一部界隈に人気が出そうな目で見られた。



「女神にはそれぞれに属性があり。『火』『雷』『水』『風』『土』『光』『闇』の計7属性、つまり7人の女神が居るのです。私が『土』、貴方の元に居るのが『光』をつかさどる女神です」


「その七人の集団が『女神連盟』?」


「はい。この世界の平定を目的とした集団です。ですが……ある程度安定したこの世界ではその役目を鳴りを潜めているのが現状でしょう」


「世界崩壊を未然に塞ぐとか、そういうのか」


「そのレベルになれば確かにそうなのですが、それは現時点では発生しておらず、今は各々で信仰を集めている状態ですね」


「俺の能力が危険だからと、女神連盟kらマークされてるって話を聞いたんだが、それはどうなんだ?」


「私は、あの街に専念していたのでそういった情報は入ってはこなかったので……なんとも。しかし、能力を手に入れる程度のものなのですよね?」


「あぁ。おおむねそうだ」


「神の能力さえ手に入るのは前代未聞ですが、コレクション目的ならば問題ありません」



 ……なんだ、肩透かしだ。


 

「だが、俺はその能力も今後使用する機会もあると思うんだが、本当に問題ないのか? 神の力だぞ?」


「持っていても使用できなければ意味がないではないですか。……まさか、その力を完全に仕えるとお思いですか?」


「違うのか? 昨日はお前の能力を使ってみせたじゃないか」


「あれは、私の神殿内だったから・・・・・・・・です。女神は信仰がそのまま力になりますよね、ならばその力は信仰なくしては発動ができません」



 ……そうか。


 確かにあの時発動したのは……というか、俺が神の力を発動したのは……神殿内だけだった。



「私は信仰対象そのものなので、神殿内でなくとも力は振るえますが、貴方はそうではありません。能力を発動する為の信仰がないので、宝の持ち腐れなのです」


「……つまり、俺が能力を使うには……それぞれ別の信仰が必要だと?」


「はい」 


「くっ……そう、か」



 俺はコーヒーを口に含んで、動揺をなんとか抑える。


 これは……この情報は……聞いていて本当に良かったが、同時に……これから先の不安を暗示いや予言しているようなものだった。


 俺は神の能力のみコレクションすると決めた。

 しかしその能力は、その女神の神殿内でしか発動できないのだ。


 これから女神の能力のみを奪っていくと決めたのに、その奪った能力無しで女神と渡り合えるとは到底思えなかった。


 今までは偶然、どれもが神殿内だったが……毎回毎回そういった好条件とは限らないだろう。



「貴方が神の能力へ固執する理由は問いませんが。更なる力を求めたいのであれば、より多くの能力を得れば良いのでは?」


「それで最強になったらお前らは全力で俺を屠りにくるだろうが」


「持つだけならば何も干渉しませんよ。ただ、その使用用途によります。なんにせよ、今の貴方は身の振りようで女神連盟わたしたちを敵に回す危険さえあるという点だけ留意していただければ」


「……分かっている」



 神の能力のコレクション。

 その目標を掲げる限り、女神との衝突は避けられないだろう。


 今までのは運が良かった。それだけ、それだけだ。


 

「ですが、貴方は不思議ですね。その瞳は地獄の生き写しだというのに、あの場では菊蘭を呪縛から解いた。神の能力を使用できなかったとはいえ、あの神殿で『神の断罪ジャッジメント』の行使をしなかったのは、他の人を巻き込みたくなかったからでしょう?」


「不思議でもなんでもねぇよ。ただの気まぐれだ」


「私は、貴方のような不器用な方は非効率的であり正直嫌いですが……貴方本人は救い難いとは言い切れません」


「素直な誉め言葉として受け取っとくな」


「お好きなように」

 


 澄ました顔で女神は珈琲を口にする。


 そして、ふと思い出したようにカップから口を離す。



「そういえば、女神についてもう一つ。光の女神から『八人目の女神』の存在は聞いていますか?」




【あとがき】


みなさんサウジアラビア。作者です。


ご愛読ありがとうございます、あとがきの時間です。


今回のお知らせはちょっと重要なので、一応マイページから見られるアレでも書こうと思います。


さて、私の夢は小説を書籍として本を出すことだ、というのは、広辞苑に載るレベルで有名だといいなとふと思いますが

何を隠そう、その夢にむけてこの度新シリーズがめでたく生まれました。元気な新生児です、流産は避けられたようです。


その名も


世界滅亡するけど【ツンデレ破壊神】と【ヤンデレ性奴隷】でほのぼの【最強ヒモ】ライフ!~【脳筋ロリお姫様】付きでお店始めました~


です。

 

世界滅亡するけど、美少女とのんびりヒモライフを送る破壊属性持ちの主人公の話です。


なんてわかりやすく面白そうなタイトルなんでしょう。



え、まさかこの肉便器改め、専属ビッチがエタるんじゃないかって?


愚かですね、人間とはなんと愚かなのでしょう。可哀そうだからベルマークあげます。


この専属ビッチは【趣味】です、需要も供給もちょっとしか関係ありません。


対して、ヒモは真面目なタイプです。本気で書いているんですね。

本気なので、人気が無くなれば即刻打ち切りエンドです。厳しい世の中です。


コイツが死ねばまた次の新作が、そいつが死ねば、と無限に夢がかなうまでエンドレスです。

無間地獄ならぬ無冠地獄です、上手い事言いました褒めましょう。



ビッチは趣味なので更新は止まりません、どこぞの止まった団長より有能ですね。


しかし敬虔な読者の方なら気付いているでしょう。



『おいおい、これじゃエロくなくてノクターンに行けって言えないじゃないか』と。



まったく、だから人間は愚かなのです。ひとし君人形とベルマークは没収です。


並大抵の作者であれば、安易なエロシーンで下ネタを量産しますが、珍しい事にこの小説の作者はある程度絵が描けます。


この唯一無二の能力を使い


文がそんなエロくなくても、挿絵がエロい。という妙技を繰り出すことができるのです。

または

シーンもエロけりゃ、挿絵もエロい、なんて相乗効果も期待できます。


これには思わず読者もニッコリですね。


なので、まぁ、なにが言いたいのかといえば。


新作のブックマークと感想お願いします、なんと作者はTwitterやっているのでフォローもお願いします。


やっぱりこういうのは、言葉を濁さず直球で言いたいものですね。


素直が凶器と言われた事もある作者ですが、素直なのは相手に直接気持ちが伝わるので素敵だと思います。


最近めっちゃ寒いし乾燥しています。


なので、作者の新作をMAXで評価をして、フォローも欠かさずしましょう。


そうすれば彼女は出来るわ宝くじは当たるわ、もうえらいことになるといいですね。



それでは、お体に気を付けて今後とも応援よろしくお願いします。


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