肉〇器とセ〇レと超淫魔 (挿絵あり)【あとがきにお知らせアリ】
「お前、淫魔だったのか!?」
「あ、ち、違いますよ!? サキュバスに中まで挿れてみませんかって言ってないです!!」
「普通の会話してぇなぁ……え、お前サキュバスだったのか?」
「はい。正真正銘、サキュバスです!」
淫魔なら……女神バロンの言っていた、呪いの身体というのにも説明がつくが……。
魔性……魅了は確かに淫魔の特徴だと聞きもするが……いや、それにしても、その魅了にも限度があるだろう……。
俺はクルイスと魔王のおかげで経験値を消費しレベルアップして耐性もついているから大丈夫だが……もしそうでないなら、普通だったら一瞬で陥落し心ごと溶かされていた。
「ただのサキュバスで……片づけられるのか……?」
「ほう、これは珍しい淫魔だな。あ、ダーリンおはよう! 今日も男前だぞ」
「おはよう、俺の背後から抱きしめるのはやめろ。あやうく攻撃しそうになった」
「防衛本能が染みついておるのだな、良き哉良き哉」
俺はべたべたとひっつく魔王を引き剥がし、菊蘭に紹介する。
「コイツは……」
あ、いや待て。魔王なんて言ってもいいのか?
今更気づいたが、魔王魔王と今までは冗談だと流されたが、普通に説明しても変な誤解、或いは本当に魔王が居ると噂になってしまわないだろうか。
……呼び名はそろそろ考えておく必要がありそうだ。
「我は名をミザレという。ダーリンの肉便器だ」
気を利かすなら、肉便器の部分も我慢してほしかった。
「あ、ミザレさんですね。私は菊蘭です! それで、私が珍しい淫魔だっていうのは?」
「うむ。まず貴様には角と翼、それに尾が無い。これは純粋な淫魔にはない特徴であろう、恐らくハーフだ」
「確かに……街のみんなは不思議がってました」
「それに貴様に宿る尋常ならざる魔性……貴様、親は」
「あ、私捨て子で……」
「ほう。ならば貴様は親に感謝するがいい」
「待てよ。コイツは親に棄てられてどんな目にあったか」
「ダーリンは愛らしいな、深く優しい。だが、コレばかりはこやつの親の……そう親心というものであろうよ」
魔王は慈しむように菊蘭を見た。
「その魔性とこやつが淫魔である事になんら関係性はない。これは生まれ持った『呪い』だ、唾棄され忌み畏れられ災厄を呼ぶ存在ともいおう。それが淫魔の特性とマッチして、いうなれば『超サキュバス』なのだな」
超サキュバス……。
ネーミングアはさておいて、サキュバスを超えたサキュバスという事だろう。
「菊蘭とやら、貴様は生まれた頃より人目につかぬ場所におったのではないか?」
「は、はい。遊郭の地下に……」
「自分が親から棄てられた際の記憶は、ないであろう? それは誰かから聞いたものだ。そしてその人物から教養や作法、時には戦闘に関することまで教え込まれているだろう」
「そ、そうです! 裁縫が上手くて糸を使うのが物凄い太夫がいるんですけど、その人に!」
あぁ、あの糸使いの……。
しかし、魔王は何故こんなことを知っている?
「であれば確定だな。貴様は捨てられたのではない、預けられたのだ。治療でな。いや、矯正というべきか」
「矯正、ですか?」
「その魔性はコントロール可能ではあるが、しかしそれには訓練が必要になる。心技体、それぞれがバランスよく育ち、かつ人の為に何かを成せるような者に育たねばならないのだ」
人の為に何かを成す。
これは今まで菊蘭がやろうとしてきた事、恩返し。自らの幸せにすら願いすら放棄して行った美しき自己犠牲。
「恐らく、貴様の親は自身らでその矯正が行える環境におらず、最も信用できる者として選んだのが、その太夫なのであろう。来るべき日、その魔性を完全にコントロールできるようになるまでよろしく頼むと、そういう事なのであろうな」
「そう……か。そうだったんですね」
「そして貴様を棄てたというのも、親は自分の子供を自らの手で育てられなかった戒めなのだろうな。親の資格が無いと判断し自ら縁を切ったのだ」
「私……捨てられてなんか、なかったんですね」
「だからこそ親に感謝をするがいい。常識的に合理的に動くのであれば、その魔性が発覚した時点で殺すのがセオリーである」
菊蘭は、下を向いて。
しかし次の瞬間には顔をあげて。
「でも、それならそうと。教えてくれればよかったのに」
と、笑った。
目元に光る光沢は見ないふりをして、俺は言葉を投げかける。
「こうして外出歩けてるって事は、ある程度コントロールできてるって事だもな。よくぞ頑張った褒めてやる」
「ラギさん偉そうですね、ふふっ」
「だがダーリン。こやつは完全ではない。未熟でコントロールには不安が残る、有り体に言えば経験値が足りぬ」
「ラギさん、あの……」
菊蘭は不安そうに俺を見上げる。
その澄んだ瞳は、長いまつげの奥で俺を映す。
「……死人なら突き返したが、そこまで血色のいい死体もいねぇか」
「ら、らぎさん! 私も一緒に行っても良いんですか!」
「そんな期待した顔で見るなよ。ったく、ほんとに死んでも文句言うんじゃねぇぞ」
「あ、ありがとうございます!!」
菊蘭は嬉しそうに声をワントーン上げて元気に一礼する。
……肉便器魔王、セフレ女神に追加して、魔性を持った超サキュバス。
旅のパーティにしては、パンチが効きすぎだな。
「おはよーラギ! そこの淫魔はどうしたの?」
「あ、女神だ」
「お、女神でないか」
「ばかさん?」
「朝一で罵倒される人の気持ち考えた事ある!?」
俺は事の経緯を、簡単に女神に説明した。
すると女神は、まるで聖母のような微笑を浮かべ。
「菊蘭。私は心より歓迎いたしましょう。貴方の行く末に希望があらんことを」
後光を発して女神モードを炸裂させていた。
久しぶりの登場である。
そして、何かを閃いたようにニコリと俺に微笑んで、トンと俺の肩に手を置いた。
「さぁラギ。少し屈みなさい」
「? まぁいいが」
「そして菊蘭は、そのジーンズの特性を惜しみなく使ってラギを誘惑してみなさい」
「はぁ!?」
「わ、分かりました!」
しかし、俺が何かを言う前に菊蘭は行動に移ってしまう。
ドンと効果音がつきそうなほど、程よく大きくそして鷲掴みにしたくなる衝動に駆られるジーンズのヒップが眼前に躍り出た。
菊蘭は恥ずかしそうに、しかしどこかノリノリで、その細く繊細な指先をどっぷりと肉に食い込ませ、その先の何かを広げるように滑らかに、そしてどこまでも甘く淫靡に見せつける。
超サキュバスと、馬鹿には出来なかった。
レベルのお陰で体制のある俺だからこそ、凝視してしまうだけで済んではいるが、この魅力に一般人は抗えないのだろう。
流石は……遊郭の高嶺の華にして、極上の太夫に教育されただけはある。
その一つ一つ、匂いでさえも男をぐずぐずにしてしまう淫靡さがあった。
「「ぐっじょぶ!」」
慌てるおれを、女神と魔王は親指を突き立て、合格だといわんばかりの満足そうな顔をしていた。
朝からやる冗談にしては、俺を試し過ぎだろう……。
ったく……これから、俺の生活どうなるんだろうか。
【あとがき】
いつもご愛読と感想ありがとうございます、作者です。
前回のあとがきが好評で、味をしめました。
よくキチ○イとは言われますが、天才とはあまり言われないので嬉しかったです。
でも、昨日『お前は世が世ならさらし首』と言われました。
世の中には色んな人がいますね。
さて、これから三章が始まります。
下ネタ、コメディ、それぞれ好きなようにやりたいように書けたので、満足しました。
なので次からは戦いがメインになるかもしれません。
まだ書いてないのでわかりませんが、いくら美味しいお菓子でも食べ続けると胃もたれですものね、書いている側も同じなのです。
感想、ブックマーク、評価、とても励みになっていますので、今後ともよろしくお願い致します。
あと、なろう運営ちゃんが
運営ちゃん「ふぇぇ……あれじゃダメだよぅ……殺すぞ」
って言ってきたので、素直にタイトル変えようと思います、いつだって権力が一番です。
(旧)
【魔王が肉〇器】&【女神がセ〇レ】になったので【神狩り】始めました~【能力複製】で最強の異能コレクション(超サキュバスを添えて)~
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(新)
魔王が【専属ビッチ】&女神が【都合の良い女】になったし【神狩り】始めました~【能力複製】で最強の異能コレクション(超サキュバスを添えて)~
略し方も、肉便器から専属ビッチへと早変わりです。とても健全ですね。