表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/73

作戦を立てる

 何とか首の皮一枚で繋がった生徒会補佐の座を完全なものにするために双子の攻略のための作戦を考える。

ロチャードやグリファンは好みのお菓子を口実に徐々に距離を縮めた。

好意は持っているが恋愛感情は持っていないように見せたことが功を奏して、親しい令嬢という立ち位置にまでなった。

二人とも婚約者はいるが、仲が良くないのと政略なので卒業までは自由にするという暗黙の了解らしいものがある。


「あの二人は、一卵性の双子なのに似ていないということに不満があるのよね」


 似ているのだが、身長の差と表情が違うため似ていないと言われることが多い。。

出会ったときに、そっくりだねと言って会話が弾み、少しずつ打ち解けていく。

どちらを選ぶのかは最後の告白を受けたときに待ち合わせ場所に指定されたところに行くことで決まる。


「でも子爵家はないわ」


 このまま結婚しなくても伯爵家の令嬢としての生活は保障されていた。

しかもマリエルが狙っているのは、すでに学院にいないニーリアンだ。


「少しずつ距離を詰めるとして、今度の交流会でルシーダに会えば生徒会は完了よね。次は王族の二人だけど、フーリオンよりもオーリエンの方が近づきやすいわよね?」


 オーリエンに婚約者はいないと普段から令嬢たちは噂しており、あわよくばを狙っている者は多い。

だが、ゲームの設定を知っているマリエルからすれば、本当は婚約者がいて、ある事情から公表していないということを知っていた。


「たしか公にするには身分に問題があるだっけ?」


 ニーリアンはすでに婚約者を正式に諸外国へ発表しており、立場は公爵令嬢だ。

次期王妃という呼び声も高く、ニーリアンとともに次代は安泰だと言われていた。

そこにフーリオンが五歳下の伯爵令嬢を選んだことに大きな反発が生まれた。

試験は満点だが、爵位が伯爵家というところにフーリオンと釣り合いのとれる年齢の令嬢がいる家から進言があった。


「さらに下の男爵家とか? それならあり得るわよね」


 それでもフーリオンは意見を変えることなく、アンネワークを選んだ。

アンネワーク支持の筆頭は王妃であり、ニーリアンの婚約者の公爵令嬢であることで次第に声が小さくなる。

完全に上がる声が無くなったわけではないが、試験で満点を自分の娘が出せない以上は黙るしかなかった。


「とりあえず同じクラスになれたから会話も増えるわよね」


 本来のゲームの流れなら最初から同じクラスになっているはずなのだが、ようやく同じクラスになった。

このことからすでにゲームの流れとは異なっていると気づいてもいいのだが、少しだけ選択するタイミングを間違えただけと思っている。

まだ修正は可能で許容範囲だと書きだしたノートを見返す。


「少しだけ気になるのは交流会よね。たしかに留学生を迎えるイベントはあるけど、それはヒロインが攻略対象者と一度、短期留学して戻ってくるというイベントだもの。私はまだ留学してないし」


 攻略対象者を好きに選べる貴重なイベントのため、マリエルは迷わずにフーリオンを選んでいた。

そして留学先にたまたま外交に来ていたニーリアンと顔見知りになるという流れだ。

誰を選んでもニーリアンに会えるので、フーリオンである必要はないが、ニーリアンの好感度を上げるためにには、フーリオンかオーリエンである必要はあった。

最初はそれを知らなくて恋人気分を味わうために生徒会の中で一番好感度の高い人物を適当に選んで周回していた。


「マナー講習もなぜか調理実習に変わってたし、あれは二年生になったときのイベントでしょ」


 攻略対象者の好感度の上げ方によって、婚約破棄イベントが起きる時期が違う。

一年目でもできるし、じっくり楽しんで三年目の卒業でもできる。

そこのさじ加減は難しいが、イベントを楽しみたいというプレーヤーには好評だった。


「できたら一年目の終わりに婚約破棄して欲しいんだけどなぁ」


 残り二年も机に座って勉強するなど考えられない。

最短でニーリアンの妻になって、王妃となって傅かれたい。


「でも、あと半年しかないし、ニーリアンに会わないと他のイベントが発生しないのよね」


 短期留学をしないという選択肢もあるため、ニーリアンに会うのは難しかった。


「さすがシークレットキャラルートの激ムズだわ。でも勝つのは私よ」


 一番、直近である交流会に向けて、ルシーダ攻略のための方法を読み返す。

本人が気にしているのは、ルシーダという女性名だ。

男ばかりの末っ子で、次こそは女の子を、と願った父親が女性の名前しか考えておらず、そのまま付けられたという経緯がある。

そのせいで周りからは揶揄われたりと、かなりのコンプレックスになっていた。

そこを優しく話してあげると心を開いて、好感度が上がるということになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ