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超絶魔法!!

「魔王さま、はい」

「おう、サンキュー」

これがソフトクリームというものか


オレはチョコ、側近はバニラだ


「うまいな!」

「おいしいですね!」


うーむ人間どもめ、こんなうまいものを食らっておるとは・・


ねえねえ、あのカレシめっちゃカッコよくない?

彼女の方もすごい可愛い!モデルさんみたい!


なんだなんだ、どうも目立っているようだぞ、

これではお忍びの意味がないのではなかろうか

しかもなんだか誤解されているし・・


しかし側近のやつは全く気にしていないようだ

職務のことしか頭にないやつだからな


今日の視察先はどこだっけ?

あ、あそこですよ!


うむむ、これがネットカフェというものか・・


「あれれ、店員がいないぞ?」

「自動チェックインですよ」

「ほう!」

「会員証も自分で作るんです」


側近は軽快にタッチパネルを操作してみせる

「お前、こんなところ、よく来ているのか?」

「いえ、テキストで読んだことがあるだけです、お渡ししたでしょ?」

「そうだっけ?」

「もお!そんなことだろうと思った!」


側近はオレの分まで作ってくれた


さて、今度はルームを選べという


目の前にはPCとキーボート、しかしこれはどうやって操作するのだ?

側近がテキパキとセッティングする

オレはスマホしか使わないからわからないのだ


それにしても・・なんだこの「カップルシート」というのは!?


2人で入れるのはここしかないから仕方がないとはいえ

側近との距離が近すぎるではないか


い、いや、別に嫌だというわけではないのだが、ドキドキするではないか!


「魔王さま、どうしたんですか?お顔が赤いですよ、お熱ですか?」

そういって額に手を当ててくる側近

「お風邪というわけではないようですね?」

「パ・・パソコンの熱だよ!」


「ちょっとオレにもやらせてくれ」

「どうぞ」

「あは~ん・・!」

「きゃっ!どこクリックしてるんですか!」


突然AVが始まったのである


「ち・・ちがう!オレは」


トントントン!ドアがノックされる

「失礼しまーす!」

店員のやつがフードを届けに来やがった


「うわあああ!」

「ちょっ、魔王さま落ち着いて」

音量を大きくしてしまった


マウスを持って振り回すオレを止めようと側近がしがみついてくる

ちょっと待て、当たってるのは手だけじゃないぞ!


「失礼しましたー!」

店員がフードをセットするとニコニコしながら去っていった

いやはや参った


「で?何を調べるんだっけ?」

「もお!」

それもテキストに書いてあったらしい


「日本経済とな・・」

この日本とかいう国はかつて経済大国であったらしいが

今ではそうでもないらしい


我が魔界と風情が似ているとのことで視察対象に選ばれているのだ


「この国がダメになった原因を探れば、我が魔界がダメになるのを

防げるということだな?」

「さすが魔王さま!」

「フフフハハハ!オレにわからぬことはないわ」

「って当てずっぽうで言っただけじゃないですか!」

まったくツッコミの鋭いやつめ、ロクな嫁にならんな


はてさて・・


「なになに・・国の借金が・・それで?」

「このままではハイパーインフレーションになる」


側近は熱心にメモをとっている

「どういうことだ?」

「政府が中央銀行から実質ファイナンスしているようですね」

「なんだそれは?」

「一種の資本取引ですね」

「資本取引だと?」

「タコが自分の足をかじるなんて言われます」

「ダメなのか?」

「全てがダメというわけではありませんが・・・」

「これはダメな資本取引なのか?」

「意見がわかれているようですね」

「最悪どうなるんだよ?」

「通貨への信任が失われて抑制できないインフレーションになります」

「配給制度も通用しないってか?」

「地下経済化します」

「闇市の世界ってことか」

「マフィアが発行する独自通貨が価値を持ち始めたり・・」

「暴力の世界ということか?」

「もお!嬉しそうにしないでくださいよ」

・・・そういえば我が魔界が我が政府の通貨を使っているのは

オレの魔力と武力を信用してのことだと、あの勇者は言っていたな

「しかし日本国内で日本政府以上の暴力装置など存在するのか?」

「そこは不明です、現時点では」

「んん?このヘリコプターマネーとはなんだ?」

「永久債ですね」

「永久とな?」

「ええ、永久に償還というか、トリタテせずに、

要するに実質的に借り換えし続けるんです」

「ほう、使い放題ということか」

「そうなりますね」

「万事解決ではないか!!」

「どうでしょう?これも意見が分かれているようです」

「ふむふむ?」

「ええ、つまりは通貨が無限に増えることになるのと同じだから、

通貨の価値が下がってしまうという意見ですね」

「さっきのソフトクリームは何円だった?」

「150円です」

「通貨の価値が下がってしまったら」

オレはそういって財布から100円玉を出した

「これが1円の価値しかないとなれば、ソフトクリームは」

「1万5000円ですね」

「なんてこった!!おい側近!これはソフトクリーム屋を始めるしか無いぞ!」

「いえ、そういう問題ではなくて・・」


魔王と側近がわいわいやっているうちにすっかり夜になっていた


「いやいや、側近よ、今日は楽しかったな!!」

「もお!魔王さま!遊びじゃないんですよ!」

「フハハハハ、これが大阪名物たこ焼きというものか!」

「ほんとにもお!」

「ほれ、側近も食せ」

「ちょっと、もう・・、うーん、おいしい!」

「フハハハハ!おお、あそこがNMBシアターか!ヒョウ柄だな!

おい側近、こんどは博多へ行ってみようぞ、あそこも食べ物がおいしいらしいぞ」

「もおー魔王さまっ!」


おいおいニーチャンよお!!

チンピラ風の男たちに絡まれた

「ずいぶんと可愛いねーちゃんつれとるやないか」

「俺らにも貸してくれや!」

「おいねーちゃーん、もう☓☓☓したんかー!?」


「きゃっ!」

男の1人が側近に手を伸ばしてきた

オレはそれを手刀で叩き落とすと男たちと向かい合い側近を背中に庇う

「魔王さま・・」


「痛っ、なにしよんじゃオドレ?」

「魔王さまー、だってよー!」

「なんやこいつら!」

「あひゃひゃひゃー!」

「わからしたらなアカンなあ」


やがてチンピラの仲間たちが20人ほど集まってきて

オレたちを囲んでいた


オレは言った

「死にたくないなら失せろ」

『魔王さま、相手はただの人間ですよ!勇者でもない」

「わかっているよ」


オレは魔闘気を指先に集めて

ふっと空中に弾けさせた

「うわっ!!」

奴らにはほとばしる閃光に見えたであろう


奴らが怯む足元に軽い雷撃を加えてやると

全員が筋力を失い、その場にひれ伏してしまった

まじめに働けるくらいの筋力は残してある


フハハハハ!


オレは側近の手をとって空へ舞い上がった

「わあ!」

「夜景も大阪名物だったな」

通天閣のイルミネーションに側近も笑顔だ

それが見たかった

「あっ魔王さま、あれは・・」

何かまた視察対象を発見してしまったようだ

まったくこやつは・・


地表に降り立った

「これはなんだ?」

「ゴミ屋敷ですね」

「中に人はおらんのか?」

「生体反応はありますが・・」


「よう!」

オレは住民に声をかけてみた

「ちょっと魔王さま!そこまでは・・」

ドアも何もない、積み重なったゴミが家になっている

これも大阪名物というのか?

「なんじゃーわれ!」

中の人が空き缶を投げつけてきた

「いや、すまない、少し話を・・」

「よしましょう魔王様、すいませんこんな時間に!

失礼しました!」

ペコリと頭を下げてオレをひっぱる側近

「な・・なんや、えらいべっぴんのねーちゃんやないか」

住民の頬が緩むと

「ほれ入って入って」

ゴミ屋敷内部に通されると、そこには昼間ネットで観た

経済学で使われるグラフがあたり一面に貼り巡らされてあった

「こ・・これはすごいですね」

勉強家の側近も感心している

「ときにご主人、なにゆえこのようなゴミ・・いや、

骨董品・・、うーむ、オールディーズに囲まれて暮らしておられるのだ?」

「おう!周りの奴らはヤイノヤイノ言いよるけどな、

政府やら日銀がワヤし腐っとるからな、

もうすぐ日本円が使えなくなって、代わりにモノの価値が数千倍にアップしよるんや!

そんときにな、これらの品々がものすごい値段になるんや!

あんたら知っとるけ?偉い先生たちが言いよるんやぞ!

『はいぱあいんふれえしょん』ってな!!すごい魔法やろ!!」


オレと側近は顔を見合わせた

「確かにすごい魔法だな」

「魔界にも使い手がいませんよ」

「誰が買うんだろうな?」

「偉い先生たちじゃないですか?」

「勉強になったな」

「はい、やっぱり街を歩いてみなきゃダメですね」

「次は博多な!」

「もお・・!検討しておきます」


オレと側近は主人に丁重に礼を言ってからゴミ屋敷を後にした

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