表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/264

乗船

1週間後――


「フィリーオ兄様と船旅……フフッ」


 思わずニヤけてしまう顔を両手で挟み、真顔にもどそうとするが、表情が戻らない。これから「グリフォンフラグ」の攻防戦が船上で繰り広げられるのだがら、気を引き締める必要がある。にも関わらず、浮き足たった状態だ。


「もう、こんな時間! 早くしないとお兄様が迎えにくる時間になってしまう」


 私は両親とは別行動でお兄様達と船で旅行し、そのまま転居先に行く予定になっていて、お兄様がこれから住む家まで私を送り届けてくれる。


「琉梛お嬢様、フィリーオ様がいらっしゃいましたよ」


 お手伝いの佐藤さんが、いつもの通りに私の部屋まで呼びに来てくれた。


「ありがとうございます……佐藤さん、お世話になりました」


「いえいえ……船旅、お気をつけて行って来てください」


「はい、佐藤さんもお元気で」



 お手伝いの佐藤さんは、引き続きこの家に住み込みで働くため、今日で暫くの間お別れだ。


「お兄様、お待たせしました」


「挨拶は終わったの?」


「はい」


「じゃあ、行こうか」


 私たちは、乗船予定の港に向かった。





*****




 クルーズは、堅苦しいのが苦手という桐谷さんと奈月さんの二人に合わせてカジュアルクラスの船にした。ドレスコードでフォーマルになるのは、ウェルカムパーティーのときだけなので、船上でのカメラによる撮影活動にも支障はないと思う。

 私とフィリーオ兄様はセキュリティチェックを終え、パスポートと乗船チケットを船内スタッフに預けて、ロイヤルスイートキャビンのルームキーを受け取った。

 桐谷さんと奈月さんは既に乗船している気配はあったが、私たちの隣の部屋にはいなかった。おそらく早速2人は、良さそうな写真撮影場所を探すために船内を回っているのだろう。夕食は同じテーブルで合流するので、今は2人を探さずにフィリーオ兄様と行動することになった。


「お兄様、出港まで時間があるので、ラウンジに行きませんか?」


 私の提案に頷いたお兄様が手を差しのべてくれたので、手を繋いでラウンジに向かう。ラウンジでウェルカムドリンクを受け取ると、出港の合図の汽笛がなった。


 船上での戦いが始まる――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ