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キメラ研究へのフラグ グリフォンβ

「あの……お兄様、やはり今度の遊びに行く場所ですが、別のところにしませんか?」


 ゲームシナリオにおける「グリフォンフラグ」は、フィリーオ兄様の男友達『桐谷(きりたに)』と女友達『奈月(なつき)』が、学生時代に3人でサバンナ地域を旅したときに、その雄大な自然の感銘を受け、野鳥や獣系専門のカメラマンになる。そして、学生時代に訪れた場所に再び訪れ、フラグに繋がる写真を撮影し、その地より、お兄様へ2枚のアノ写真を送るのだ。

 目の前にいる二人を学生時代にサバンナ地域に行かせなければ、『グリフォン』に繋がる写真がお兄様の手に渡ることはない。


「なんで? ルナの引っ越し先のエリアなら、遊びに行ったついでに、僕も荷ほどきぐらい手伝えるよ?」


 ――ヤメテェ! こういうときに気が利きすぎるのは困ります!!


 慌てて顔を左右に勢いよく振り、「いいえ、お手伝いはイラナイです!」と、力強く思いっきり遠慮の言葉を口にした。


「今回は前と違って、ホテルではなくロークスの邸宅なので、持って行くものはあまりないのです」


「そう」


「ええ、それに家の窓からライオンやヒョウが近くで見えるらしくて、お兄様を招待するには危険過ぎる場所ですので」


 これで諦めて貰えると、自信を持って旅先の変更理由を言った。


「ルナ、あの家なら危険じゃないよ? 確かあそこは……家と動物達の生息地の間に深い谷があるし、川も流れてるから、人間の生活圏に侵入してくることはない」


「へ?」


「安全は確保されてるから、問題ない」


 ――えぇっ!? お母様……説明不足デス


 ガックリと肩をおとし、お母様の言葉をそのまま鵜呑みにして言い訳に使い、失敗してしまった自分に反省する。

 しかし、このままではホラグロワールドに近づいてしまうので、何としてでもフラグをネジ曲げたい。


 ――そうだ! サバンナ地域に行く前に、同じぐらい雄大な海を二人に見せれば良いんだわ!!


――あの二人を、動物ではなく、海の風景写真を撮る道に進ませる!



「わかりました、せっかくですから目的地まで船で行きませんか? 船への乗船は私に手配させてください、お兄様」


 これだけは譲れない。お兄様の後ろにいる二人も「船旅、いいね!」と盛り上がっている。


「わかった、本当は全部僕が計画を立てる予定だったんだけど……いいの?」


「ええ、みなさんと楽しい旅にしましょうね? お兄様」


 お兄様に笑顔を見せながら、心の中で「船旅中にフラグを何とかしてやる!」と闘志を燃やした。


「早速ですが、皆さんのスケジュールを……」


 旅行の日程が決まると、その場で私は執事に連絡し、両親の許可をとって、大型客船の乗船チケットも手配した。

 1週間後には、このメンバーで船旅が始まる。


 フィリーオ兄様に対する私の両親からの信頼は厚い。フィリーオ兄様が一緒に行くことを条件に許可してくれた。その信頼のワケは、「フィリーオ兄様がシッカリした大人だからだ」って、この時は思っていた。

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