追尾を振り切る
カナルとの合流地点は、市街地に近い。合流地点に近づくにつれ、メインルートを移動する車両は徐々に増えていった。この状況だと追尾しにくいハズだが、まだ私達の10メーター後方にサバンナ仕様のSUVがいた。
「お兄様、もうすぐ合流地点です。トレーラー4台が交互に2列で並走してますので、前から2台目に入ってください」
『了解』
キャラバンのルートなどの資料が送られた際にカナルと事前に打ち合わせした情報を、再確認のため、もう一度フィリーオ兄様に伝えた。車両の間を次々とすり抜けるように追い越し、カナルのトレーラーが視界に入ってきた。ところが、お兄様はメインルートから外れて建物がひしめく中道へ入った。
「お兄様!?」
『先回りする』
スピードを落とすことなくバイクは弾幕を張るように土埃を撒き散らし、カーブだらけの狭い道を進む。車は入ることができない道幅のため、お兄様はココでいっきに追跡者を引き離すつもりのようだ。さらにドリフトしながら路地裏に入って、そこを抜けると、メインルートに出た。
――うそ! ちょうど2台目のトレーラーの真後ろ!?
目の前にはバックドアが解放されているカナルのトレーラーがあった。車輪つきのスロープレールが降りると、さらにスピードを加速させてバイクを横向きに変え、そのままスロープレールをスライドしながらトレーラー内に進入する。だいぶ中に入ったところで、やっとバイクが止まった。
――もう、ムリ……恐すぎ
スロープレールが収納され、バックドアがゆっくり閉まり、トレーラー内がだんだん暗闇へ包まれていく。力が抜けた私は、『ルナ!?』というフィリーオ兄様の声を最後に聞き、意識を失った。




