表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
238/264

◇20 島での探索:入口2

「あの……」


 どうせ間もなく閉店するんだから、聞いてしまおう。簡単な質問を1つだけするなら、時間もかからない。店の奥にある自動演奏中のポジティフ・パイプオルガンに目を向け、「このオルガンに足りない部品ってありませんか?」と店の主に聞いてみた。


「なぜだ?」


「え?」


「おまえさん、なぜそんなことを聞く?」


 店主が纏うオーラが変わる。逆鱗に触れるようなことをしただろうか? 突然の殺気だった様子に意味がわからず、よそ行き用の笑顔が凍った。


「持っているなら、置いていけ……」


 カウンター内でカタンと金属と床とが接触する音が聞こえた。それからお爺さんが笑いながら顔を片手で覆うと、グニャリと顔面が変形する。シワがなくなり、所々にあった黒いシミもスッ消え、どこか見覚えのある顔になった。


「ホーラ・アルカード……」


 お兄様は一言も言葉を発することなく、そう呟いた私の腕を強引に引いて店の扉を押し、外に出てしまった。


「兄さん!?」


 『雑貨店は入りづらい』と店の外で待っていたカナルが、足早にメインストリートへと急ぐお兄様を呼ぶ。


「分が悪い。こうも外から丸見えだと、強行手段には出られない」


 パイプオルガンの雑貨店は壁で囲まれておらず、外から店内が丸見えのショーウィンドウとなっている。何か暴力沙汰が起きれば、大騒ぎになってしまう。人通りが少ない路地裏とは言え、他の観光客が通らないとは限らない。


「何かあったんですか?」


「あの店に『ホーラ・アルカード』がいた。おそらくアリマス医院長のメタルディンプルパーツは、あの店に置いてあるパイプオルガンの譜面ロールに関連する部品だ」


「一旦、この島から離れますか?」


「ああ」


 せっかく繋がりを見つけたのに、私達は先に進むことができなかった。


*****


 先ほど離れた島から1番近くのショッピングモールに入る。私達はココでも観光客のフリをして、テーブルにガイドマップを広げた。


「お兄様、さらに変装するしかないです。そして、狙い目は観光客が店内にたくさんいるときです」


「まさか……人前で堂々とあのパイプオルガンをいじるんですか!?」


「ええ、その『まさか』です。パイプオルガンの修理職人風で訪ねるのはどうでしょう」


「兄さんならいけるかもしれませんが、子どものボク達は厳しいですよ?」


「いや、君たちは店に入らずに外に居てくれた方がいいな。ルナは見られているから変装が必要かもしれないが、カナルはそのままでいいだろ」


「では、私は男の子の格好になります。性別を偽えば、気づきにくいと思いますので」


 週明けに、改めて行動することになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ