表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/264

キメラ研究へのフラグ ペガサスα

「せっかくもう一度キャンパスを案内していただけるのでしたら、今度のお休みの日にフィリーオ兄様の元に泊まって、ゆっくり見たいです」


 先日の迷惑をかけたことへの謝罪とお礼の電話をしている私は、図々しくも、そうお願いした。


「ルナ、僕は学生寮で暮らしてるから、この場ですぐに返事はできないよ」


「ええ、わかっています」


「家族室の申請はするけど、今からだと……今度の休みっていうのは難しいと思う」


「はい、構いませんのでお願いします」


 緊張したけれど、フィリーオ兄様の許可は取れた。お兄様の反応は予想の範囲内だし、学校の方はロークスのツテで根回し済み。通常、申請してもすぐに許可が下りることはないが、そこはロークス直系のチカラを使わせてもらった。

 

「ふふふ……これでお兄様の部屋に侵入し、情報収集ができるわ! 急いでお泊まりの準備を始めなきゃ!」


 私は自分のベッドの上に、次々と持っていく物を並べ始めた。




*****




 休みの日――

 フィリーオ兄様に迎えに来ていただき、キャンパスへ出かけた。

 荷物があるため、すぐに寮の中にある家族室へ向かう。そして、宿泊手続きを済ませた私たちは、家族室で紅茶を飲み、ゆっくり休むことにした。

 本当は、すぐにでもお兄様の部屋に行き、キメラ研究に繋がる物品や本、資料などの有無を調べたいけど、そこはグッとガマンする。こういうときに、焦ってはイケナイ。

 今日と明日のお兄様の細かい行動予定を聞くことにする。誰にも邪魔されずに、じっくり探し物を見つけたい。


「フィリーオ兄様、夜はご自分の部屋で休まれるんですか?」


「いや、小さな子どもを一人にはできないから、僕もココに泊まるよ」


「私は小さくないです!」


「はいはい」


 私がムキになって反論したら、ニッコリ笑って聞き流された。腑に落ちない。


 ――ということは、プランAはダメね。


【プランA】

 フィリーオ兄様と別れて家族室へ行くフリをし、部屋の中に隠れたまま、お兄様が熟睡するまで待つ。そして、寝ている間に探しだし、キメラ研究に繋がる物を排除する。


 ――では、プランBでいきます。


【プランB】

 寮の部屋に案内してもらったところで、忘れ物をしたと言って家族室へフィリーオ兄様に忘れ物を取りに行かせ、自分は留守番。その間にキメラ研究に繋がる物を抹殺する。


 不慮の事態に備えるため、複数のプランを練った私に死角はない!


「お兄様、そろそろ出かけませんか?」


「ああ、そうだね」


「では、お兄様の部屋へ」


「明日は天気が悪いらしいから、今日は外を案内するよ」


「…………」


 ――ま、まだあるわよ! プランCがあるわ!


【プランC】

 フィリーオ兄様が寝ている間に家族室を抜け出し、学生寮の部屋へ! キメラ研究に繋がる物を抹殺した後、家族室へ戻る。


 食事をし、外から寮の家族室に帰ってきた。


「ルナ、シャワー、先に使って」


「ありがとうございます」


 ――まだまだ余裕、夜は長いのだから焦ってはダメ!


 シャワーを終えると、部屋着の私をフィリーオ兄様が手招きで「こっちにおいで」と、呼ぶ。


「髪を乾かすから」


 そう言って、私をカウチに座らせ、優しい手つきで私の髪に触れた。仕上げにブラッシングもしてくれて、気持ちいい。


「ルナの髪は、滑らかだね。艶があって……ほら、天使の輪ができてる」


 お兄様は、ロークス直系の特徴であるダークブラウンの緩やかな巻き髪を褒めてくれる。


「フィリーオ兄様の髪の方が、ずっとステキです」


「……ありがとう」


 私が振り向いて言うと、困った笑顔でお礼を言われた。

 フィリーオ兄様には、ロークスの血が流れていない。養子なのだ。それが、のちのキメラ研究に繋がっているのかどうかは、わかない。『フルフルちだまり☆』には、そういうエピソードはなかった。


「前を向いて」と促され、顔をもとの位置に戻した私は、心地良いフィリーオ兄様の優しいブラッシングに耐えられず……寝てしまった。起こして貰えず、そのままフィリーオ兄様にベッドまで運ばれた。


 プランCも実行できない結果に……。不覚!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ