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aa 以心伝心

 プエルマの反応があったため、この場所から立ち去っても良さそうだけど、念のため残りの2部屋も入ってみた。やはりプエルマの反応はない。


「これ以上、ココにいても意味がないですから、戻りましょうか」


「ルナ、探険、終わり?」


「ええ。不思議な雰囲気の場所でしたね。プエルマさんの生まれた場所を見ることができて良かったです」


 私はプエルマの手をとり、笑顔を見せた。プエルマも微笑み返す。私とプエルマは手を繋いだまま、カナルと共にエレベーターに乗り、上へと上がった。


「ああ! 見つかって良かったぁ……。フィリーオ・ロークス、あなたがこの子たちの面倒をしっかり見てて貰わないと困りますよ。2度とこういうことが起きないようにしてください。たまたま使用予定がなかったから良かったもの、危うく大騒ぎになるところです」


「はい」


 エレベーターの扉が開き、私達の姿を目にした途端、ホールにお兄様とLISUのヒトが1人いた。


「では自分は戻りますが、きちんとこの子達に指導してください。立ち入り禁止区域のことも含めて」


 LISUのヒトは、いかにも迷惑だと言わんばかりに怒ってる様子で私達を残したまま別館から出て行ってしまった。


「お兄様、あの方……とてもお怒りのようです」


 突然、私達ではなく、お兄様が怒りをぶつけられている状況を目の当たりにした。その滅多にない光景に、カナルとプエルマは目を白黒させて固まっている。


「気にしなくていい。それより、どうだった?」


「エレベーター乗降口の正面の部屋より時計回りで4つ目の部屋が、『プエルマさんの生まれた場所』とのことです」


「そうか……」


「あの場所は被験者専用の出入口なんですね? だから、被験者として生体データがLISUのデータベースに登録されている者しかロック解除ができない」


 あの部屋で感じた違和感。それは、部屋の中に施術のための道具や備品がまったくなかったからだ。たぶん、あの部屋とは別に前室やバックヤードがあるハズだけれど、それらをあの6つの部屋のいづれからも見ることができなかった。ワザとそういう作りにしているのかもしれない。


「ああ、その通りだ。実は、暗に仄めかすだけでハッキリ言えなかったから、ルナに気がついてもらえないかと思ってた。予想以上に伝わっていて驚いてる」


「お兄様、言ったハズですよ? 『3度も言わなくて大丈夫です』と」


「そうだな」


 私とお兄様は、お互いに目を細めて微笑んだ。

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