w 騒ぎと本音
お兄様は私の話が終わると、「事情は分かった」と言うだけで、反省会の延長はなかった。私の手を引き、ベッドルームまで連れて行って、もう少し寝るように言ってくれた。お兄様は私がベッドに入ると迎賓室からすぐに出て行こうとしたので「お兄様」と呼び止めた。
「勝手に調べしたこと、ごめんなさい」
「本当は『やってはいけないことだ』って言うべきなんだろうけど……」
ベッドに入る私の側に来て、声を潜める。
「知りたかった情報だった」
お兄様は「おやすみ」と私の頭を撫でると、部屋から出て行ってしまった。
私の行動が原因の『LISU司令室のシステムダウンからの復旧』のためだけにココに来たみたいで、ただでさえ忙しいときに、お兄様を煩わせてしまった。でも、最後に本音が聞けたので、少し気持ちが軽くなった。お兄様は組織の中での規律を守る義務があるから、今回の件は『お兄様の見ていないときに』動くことができる私しかできなかった。
*****
翌朝、お兄様がいつこの部屋に迎えに来ても良いように準備をして待っていると、すでに準備万端な格好でリビングのソファに座って寛いでいるカナルが「一定時間、経過すると内装が元通りになるんですね。本当に良かったです。兄さんやLISUの皆さんにバレたら目も当てられないですからね」と言う。
LISUの皆さんにバレたかどうかは知らないけど、お兄様にはバレている。でも、そのことをカナルに知られると大騒ぎになるし、ずっとこれから先も言われることになりそうなので、訂正せずに黙っていた。




