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s ターゲット2

「美に対する価値観は、それぞれヒトによって違うのは分かりますよね? 今までのループだと、『例のコレクター』は完成された美を求めていた。でも今回は未完成の中の美しさを……ってルナさん? 聞いてます?」


「ちゃんと聞いてますよ? カナルさんの話を聞いて、私の中から未完成の美を引き出したのは、お兄様のせいかもしれないって考えてたんです」


「ルナさん、どさくさに紛れてノロケるのはやめてください。話が進まないです。それにこういうとき、ルナさんはもう少し謙遜したらどうですか?」


「私の美に関する賛辞は、昔からお兄様に一通りいただいていますので、聞きなれてるんです。ですから、その度に謙遜するのは時間のムダです。おかげで、お兄様以外の方に賛辞をいただいても、聞き流すようになりましたし、反応するにしても言葉では返さずニッコリと笑顔を見せて終わらせるぐらいです」


 私の話を聞いたカナルは「兄さん……対策しすぎだ」と、ゲンナリしている。


「でもカナルさん、ミドナス・アルカードとプエルマさんの件は別にして、私も『例のコレクター』と会いましたよ?」


 カナルのボヤキは無視し、ふと思った疑問を口に出した。


「いえ、『例のコレクター』はルナさんの姿を見てないですよ。アルアイラ邸のときのこと、思い出してください。『例のコレクター』の声が聞こえたとき、ルナさんは廊下から部屋を覗いてました。そしてすぐに兄さんが廊下にいるボクの方に避難させて、部屋の入口をジンと2人で塞いでいた。あの角度では『例のコレクター』から見ることができない。プエルマを連れ出すときも兄さんの背後からだし、そのあともボクの影にルナさんはいた」


 そうかもしれない。そのあとの退避したときのことも思い返してみると、プエルマの手を引いた私とカナルが後ろを振り向かずに先頭を走り、その次に近距離のキメラを攻撃しながら管理人を連れてジンが逃げた。そして最後にアルアイラ邸を出たのが、背後から飛来してくる物を打ち落としてガードしてくれたお兄様だった。『呪いの美術品コレクター』は、お兄様と対峙はしたけれど、私とはない。


「もしもカナルさんの推測が正しければ、コチラから仕掛けやすくなります」


 私は目を閉じ、笑みを浮かべた。


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