k 予測目的地
プエルマが身につけているブルーダイヤの位置情報をトレースし、私達4人はターゲットの到着地点を予測する。
「ここは今回の出品者の孫娘がいた家の付近だな」
「その家に、私達も訪問することは可能ですか?」
出品者に縁のある地にいるということは、なんらかしら動きがありそうだ。ジンは「おそらく大丈夫だ。ただ、今はその家にヒトは住んでいない。管理人が出入りしているハズだから連絡をコチラから入れる」と言って、席を立った。
「では、私達も行きましょうか。ジンの連絡が終わったらすぐに目的地へ行けるようにしないと」
カナルが頷いて会計をしている間に、お兄様が席を立ち、私のそばまで来た。席を立つため、お兄様が椅子を引いてエスコートしてくれると思ったけれど、違った。
「ルナ、そのままで。すぐ終わる」
不思議に思いつつ椅子に座ったままでいると、お兄様の手が私の肩に触れ、さらにテーブルクロスの中から私にスカートの中へともう片方の手が入り、靴下留めの留め具がはずされた。
「お兄様……?」
小声で呼ぶと、「ウェアラブルをつけるだけだ」と耳元で囁かれた。硬質な感触のものがグッと押し込むようにレースに通され、パチンという留め具の音とともにスカートから出ていった。
「いただいたチョーカーのペンダントヘッドですか?」
「ああ」
お兄様がウェアラブル端末であるペンダントヘッドを私の首もとではなく、靴下留めにはめたのは、すでにブルーダイヤのチョーカーがウェアラブルであることを知っているジンに気づかれないようにするためだ。
「この国に合った付け方ですね」
お兄様は「そうだね」と笑って、私の手をとると、そのまま私とお兄様とカナルの3人でオークションハウスの外に出た。




