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13 偵察2

 車から見える景色が変わってきた。建物が密集している住宅街のある中心部と異なり、緑の丘や雑木林、そして戸建ての家がパラパラと点在している。


「その先の曲がり角で止まってください」


 近づきすぎては、ミドナス・アルカードに気づかれる。アトリエから見えない位置にロークスの車を待機させた。


「ナギラさんもコチラで。すぐに戻りますので。それから1時間しても戻らなかったら、ヴィラ・ロークスに連絡を入れてもらえませんか?」


「すぐに戻るって言って、1時間経って戻らないときの話?」


「念のためです」


 ナギラさんの言葉に反論しながら、車を降りた。歩き始めると、少し経って車のドアが閉まる音が背中で聞こえた。そして歩幅のある足音が近づいてくる。


「ナギラさん?」


「散歩よ? 朝の散歩! たまたまコッチの方向なだけ」


 なんていう屁理屈だろうか。本当はナギラさんにとって、この辺は危険地帯だ。『呪われた美術品コレクター』との接触は、カナルの未来の歴史書(ゲームシナリオ)だと今から5年後のハズだ。でも、前倒しで遭遇する可能性だって有りうる。今回は接触する予定はないけれど、警戒するに越したことはない。


「遊びではありません。それにナギラさんには危険です」


「私には危険? それじゃあ、あなたは危険じゃないってこと?」


「それは……」


 確かに『私は安全』とは言い切れない。今までのループに私は存在しないから、『ナギラさんが将来的に呪われた美術品コレクターによって心臓を抉られてコレクションされてしまう』ことは知っていても、私がどうなるかは知らない。


「それなら、絶対1人で行かせないわよ?」


 反論できず、さらにナギラさんの強い意志に押された結果、一緒にミドナス・アルカードのアトリエへと続く、小川の流れる雑木林の小路に入った。








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