表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神々を超えし者を創りし世界  作者: 永澄水樹
第一章 入学騒乱編
7/70

♯7 1-6 刹那の魔法能力強化

本当は9月21日の月曜日の23時に投稿予定でしたが。


作者の操作ミスで書いてた原稿が一瞬で真っ白に。第7話\(∵)/オワタ


しかも、完成僅かで残り時間2時間。糸色望した!


と言う訳で考えてたストーリーと大幅に変更になってしまって話しがどんどん長く。


そして現在22日朝の8時55分なり。


書き直して、色々してたらもうこんな時間にorz


しかーしなんとか第7話完成。


タイトルは刹那の魔法能力強化ですのでそのまんま、刹那が魔法の力でパワーアップ?する話し。


しかし、ちらっと何げにミリス君の素敵属性発覚。


ペンタゴンに続き、ハイペンタゴン。だったら次はと考え安易に出した答えは新たな属性です。


そして、細かい設定の説明が思ったより多いです。


だが、刹那君の能力発現は結構早かった。


だけどその代償は刹那の魔法使い生命だった。


その時、救いの手を差し伸べたのは皆んなの絶対的ヒロイン(嘘)ミリスでした。


さて、ミリスはどんな手で刹那を救うのか?


そして、最後にちょっとだけ奏さんの様子を書きました。


それでは神超第7話どうぞご笑覧あれ。


ちなみにブックマーク登録よろしくです。


後よろしければ感想プリーズ♪


評価は評価に値すると感じてからで結構なので、次回も逃さないようにブックマークよろしくです○┓ペコリ

  刹那とアルの戦いの日々は突如として終わりを告げた。


  ミリスの2人共やめてっという声に2人は反応して止まった…のでは無く


  単純に2人共が飽きただけであった。戦いは先程から5分程しか経ってなかった。



 「流石に馬鹿馬鹿しくなって来たな、アル」


 「ああ、ノリだけで戦ってみたが戦いは何も産まないな、刹那」


 「「ガバッ!」」



  こうして2人の長く険しい5分間が終わったのだった。



 「2人共どう?抱き合って友情は深まりましたか?」


 「「いや、あんまし」」



  2人は声を揃えてこう答えた。


  最初は楽しく見ていたミリスであったが段々と茶番に気づいて、のんびり見守る事にシフトしていたのだ



 「2人共本当に仲が良いんだね?付き合い長いの?」


 「ああ、俺達の熱く長い友情話しを聞きたいか?ミリス?話すかアル?」


 「おお、俺達の熱く長い友情話しが聞きたいんだな?ミリス?話すか刹那?」



  2人が尋ねるとミリスが頷いたので話し始めた。



 「あれはそう、俺が鍛錬と昼食を終えてベットに入ってた所から始まった…」


 「そこで俺の登場だ!一番乗り!って言ったのが始まりだったな刹那…」


 「そして俺が言ったんだ。お前一番じゃ無いからと…」


 「そして、ベットの1段目を取り合う戦いが?15秒位有ったか?刹那」


 「流石にそこまで覚えてねぇよ、アル」



  そうして、2人はうんうん言っていたがミリスの一言で話しは終わった。



 「ベットの1段目って今日って事?」


 「今日ってか3時間程前の話しだったけ?アル」


 「その位じゃねぇか?刹那」



 それを聞くとミリスは驚きながら先を聞いてきた。



 「って2人共さっき知り合ったばかりなの?」


 「そうだけど?なぁ、アル」


 「ああ、ミリスが来るちょっと前だな」


 「なんだ、てっきり2人は昔からの知り合いなのかと思っちゃったよ。良くこんなに仲良くなれたね2人共」


 「まあ、その場のノリと」


 「勢いだよな?」


 「「なっ?」」


 「良く息がピッタリ合うね、会ってまだ3時間でしょ?何だか尊敬しちゃうなぁ」



  そんな風にミリスは関心するのだった。


  そして刹那が話し始めた。


 「まぁ、アルは考える事分かり易いからな」


 「いや、刹那だって分かり易いだろ」


 「いや、アルが分かり易すぎるだけだろ」


 「そういう刹那こそ!」


 「「なんだとっ!」」


 「もう漫才は良いから。で刹那君とアル君?2人の事、僕まだ良く分かって無いんだけど、教えてくれない?」



  そう言われて刹那とアルは漫才という戯れをやめて真剣に話しだした。



 「さっき言った通り刹那とはさっき知り合ったんだ」


 「ああ、ホントさっき知り合ったんだよな」


 「なんか見てて面白かったから良かったけど。僕だけ仲間はずれはやだよ?」



  悲しそうな、相手を魅了する顔でミリスはそう言うが刹那は言った。



 「いや、全然。ミリスを仲間外れになんてしないよ。な?アル」


 「最初っから除け者になんてしようとしてないから安心しろミリス」


 「なら、いいけど」


 「そうだ。ミリスにもちゃんと自己紹介しないと駄目じゃないか?」



  刹那の提案で再度自己紹介をする事になった。



 「じゃあ、俺から、行くぜ!俺はアルフォート、アルで良い。この世界出身で魔法の適正属性は土のシングルだ」


 「次は俺だな、時乃宮刹那だ。魔法の属性は無しだが、一応全属性の魔法回路はある様だ」


 「えっと、僕はミリスティム・セフィラム。魔法の適正属性は5属性のロウペンタゴンです」



  そこで初めて聞く言葉が出てきたので聞いた。



 「ロウペンタゴンって何だ?」


 「ロウはスクロールで診断した時に、透明の星、水晶があったでしょ?その星が色がつくだけになってる属性で、1つだとロウシングル。僕は5つだったからロウペンタゴンだ」


 「ちなみに星が1つあればロウペンタゴンのシングルとかって感じになるんだぞ。刹那は知らなかっただろ?」



  そう、アルが刹那に言ってきた。


  確かに刹那は魔法の属性についてよく分かってなかった。


  そこでアルが続けた。



 「ただ、ロウってのは魔力増幅でもしないと使えないから、あんまり数がいないんだ」


 「魔力増幅?」


 「魔力付加みたいなもんだ。魔力付加は身体を強化するが魔力増幅は魔法を強化する」


 「ちなみに使う時にも専用のアイテムとか、何かを使わないと威力が出ないから、ロウってのはあまりよく思われてないしそもそも言わない」


 「へぇ。じゃあなんでミリスは言ったんだ?」



  ミリスに尋ねると悲しそうな顔で答えてきた。



 「僕はそれしか無かったから、そう名乗るしか無いんだよ。でも普通ならロウ位なら誰でも持ってるもんだよ?刹那君も持ってるんじゃない?」



  ミリスはそう言うが、刹那の時は確かにスクロールの星は全て、色すらつかず5つとも透明のままだった。


  なのでその事をミリスに告げると何だか申し訳なさそうにしながら言ってきた。



 「ごめんね、刹那君。ロウを持っててもみんな言わない様にしてるから。刹那君もそうなのかと思って」



  そう言うとアルが口を挟んできた。



 「ちなみに俺は土属性のシングルだが、水属性のロウシングルだぞ」



  突如アルが新しい情報をもたらしたので刹那は聞いてみた。



 「なら、何で最初の時に言わなかったんだよ」



  アルにそう問いただすと普通に返事が返ってきた。



 「だから、さっき言った通り、ロウってのは使えないのと同じ様なもんだから、みんな一々言わないんだよ」


 「そういうのはちゃんと言っとけよ一応」


 「わかったよ刹那」



  そうアルに言うとこれからは改める様なので一応良しとするのだった。



 「所でアル、お前さっき名前ちゃんと言ってなかったな。ちゃんとミリスには言っといた方がいいぞ?」


 「それは…」



 アルは刹那にそう言われると、仕方ないという感じでミリスに言った。



 「俺の名前はアルフォート・マギヌス。マギヌス家の人間だ」


 「そうなんだ。所でなんで名前隠す必要があるの?」



  ミリスは何も知らない様でアルに純粋に聞いていた。



 「お前もか…刹那は分かるけどミリスはこの世界の人間だろ?」


 「僕の町って僕達の種族の町だから、他の人達の情報って殆んど無いんだよ。有名だったらごめんね、知らなくて」



  そう言ってアルにミリスが言うとアルは嬉しそうな顔をして話し始めた。



 「気にするな。有名だが知らないんだったら、それでいい。というか2人とも知らないみたいで俺としてはありがたい」


 「ありがたいって、何で?アル君」


 「大した事じゃないから気にするなよ。ミリス」


 「アル君がそう言うなら、気にしないけど。ちょっと気になる事があるんだけど刹那君」


 「俺?俺がどうかしたか?」



  ミリスがアルから刹那に質問してきた。



 「えっと、僕の聞き間違えじゃなければ、さっきアル君が僕はこの世界の人間って言ってた気がするんだけど?」


 「おっ、ミリスも刹那と同じで良い耳持ってるじゃねぇか?刹那は転移者なんだとランダムの」



  アルが勝手に刹那の事をばらし始めたが、刹那も特に困らないのでそのまんま聞いていた。



 「あっ、そうなんだ。というと今年の一般入試者の枠が1つ減ったのって、刹那君が入ったからなんだ」


 「そう。噂の転移者ってのは刹那の事だとよ。ってか俺より有名じゃね?刹那」



 あんまり嬉しくない有名のなり方なので刹那は答えた。



 「いや、有名って言われても好意的な物じゃないんだろ?困るだけだ。アルだって有名で困ってるなら分かるだろ?」



  刹那にそう言われてアルも同意せざる負えなかった。



 「そうだな。お互い有名だと困るな。でもミリスも人の事言えねぇぞ?」


 「僕?なんで?」


 「だってお前クロマソウ族なんだろ?ある意味レアで有名になるんじゃないか、ロウペンタゴンだし」



  そう言ってミリスに話題を振るとミリス顔を振りながら答えた。



 「ロウペンタゴンなのは隠す気無いけど、クロマソウ族の事は説明するのが大変だから、一々言わない事にするんだ」


 「そうだな、一々ミリスの種族の事、説明するのは難しいしな。ただ、知り合いには話していいか?言っとかないと困るんで」


 「知り合い?別に刹那君の知り合いならいいんだけど、どんな人?」


 「俺の妹だ。名前は奏って言う」


 「へぇ、刹那君、妹さんいるんだ?でも妹さんなら学園生じゃないよね?」


 「いや、学園生だが?」


 「でも、僕達一年生だよ?妹さんならまだ入学じゃないよね?」


 「ああ、それよく言われるけど、俺が4月で妹が3月だから同じ学年何だよ」


 「へぇ、でも刹那君転移者だよね?妹さんも才能有ったんだね」


 「妹の方が才能は上らしいぞ。それと妹は義理だから生まれた月はあまり関係ないんだ。」


 「義理の妹さんなんだ、ならよく2人同時に転移者に選ばれたね」


 「それは審査員も言ってたな。だが元々俺は妹の護衛だから、一緒じゃなきゃこの世界には来てない」


 「護衛?」



  ミリスが不思議そうにしてると刹那ではなく、何故かアルが説明を始めるのであった。



 「なんでも妹さんは姫なんだって。で、刹那はその妹さんの護衛を務める家の出身だそうだ」


 「それで合ってるが、何故アルが答えてるんだよ」


 「いいじゃねぇか刹那。まぁ妹さんは可愛いらしいし、どの道、紹介してもらうからその時でいいだろ。どうだミリス?」


 「そうだね、アル君。僕も紹介してもらいたいし、宜しくね」


 「ああ、本当はアルには会わせたくないんだが、入学式の時に紹介するよ」


 「なんで俺には会わせたくないんだよ?」


 「お前ちょっかい出しそうだし」


 「大丈夫だ正々堂々正面からアタックするから」



  そう言って来るのでアルに忠告した。



 「もしも、ちょっかい出したらアルでも許さないからな?」



  そう言って睨みつけるとアルが文句を言ってきた。



 「それを決めるのは妹さんだろ?刹那はシスコンなのか?」


 「俺は妹が大切なだけだ。ちなみに妹はブラコンだから気をつけろよ」


 「ブラコンって、お前そんな事言っていいのか?妹さんに言っちまうぞ」


 「勝手にしろ。実際に会ってみれば分かるさ」


 「へぇ、妹さんの事大切なんだね刹那君」


 「ああ、ミリス。俺は妹の護衛だからな、妹に近づこうって奴は全員ぶちのめす」


 「随分と物騒だな」


 「俺は真面目に言ってる。誰だろうと妹には手を出させない」



  そう言うとアルとミリスは刹那が本気だと理解し頷くのだった。


  そこで刹那がアルに先程してた話しを続けた。



 「所でアル。ミリスが来たから話しが変わったが魔力付加の事についてなんだが…」


 「そうだったな、ミリスが来て話しが中断してたが、俺も気力付加を教えて教えて貰うんだった。」


 「気力付加?それって何?アル君」



  ミリスが訳が分からないといった顔でアルに聞いていた。



 「刹那が使う気を使った肉体強化法らしい」


 「へぇ、そんなのがあるんだ刹那君」



  そう、ミリスが聞いてきたので答えた。



 「ああ、でもミリスはやめといた方がいいぞ?」


 「うん、僕は魔力付加でもそこまで強くなれないし、気力付加はなんだかよく分からないから、僕の事は気にしないで」



  ミリスがそう言ってきたのでアルに聞いた。



 「アル、気力付加はさっき言った通りの方法を取るから、一度施すとしばらく動けなくなる、だから先に魔力付加から教えてくれ」



  そう言うとミリスが不思議そうな顔で聞いてきた。



 「刹那君、魔力付加使えないの?」


 「刹那は転移者だから知らないんだと」


 「ああ、そういう事だ。ミリスは使えるのか?」



  そう問いかけるとミリスは恥ずかしそうに答えた。



 「一応使えるよ。使っても他の人達より、弱いけどね」


 「それならミリスも刹那に教えるの手伝ってくれ。そうすれば気力付加の処置が早くなるだろ?刹那」


 「ああ、ミリスも教えてくれるなら、お前が動けなくなっても困らないから助かるな」


 「じゃあ、僕も刹那君に魔力付加を教えるの手伝うね」


 「それじゃあ、夕飯まで時間あるし早速訓練と行きますか」



  そのアルの言葉を聞き3人は寮の鍛練場に行った。


  鍛練場は的が有ったり、フリースペースの様な所が有ったりしていた。


  そこでアルが説明を始めた。



 「ここはこの寮の鍛練場だ。壁は魔力強化されてるから丈夫だ。だから安心して力を出してくれ」



  アルはそう言うが何をすれば良いのか、肝心な事が説明されていないので刹那は尋ねた。



 「ここが丈夫なのは分かった。それは良いがここで俺は何をすれば良いんだ?」



  刹那が質問をするとアルは魔力付加の事について話し始めた。



 「まずは魔法を使ってもらう。その時、詠唱が終わり魔法を放つ瞬間の感覚を覚えてもらう。とりあえずロックアローでも使ってみろ」



  アルがそう言うが刹那は困った。試験の時のフレイムアローしか魔法を知らないのだ。なのでアルに告げた。



 「悪いが俺はまだ試験の時に使ったフレイムアロー位しか魔法は知らないぞ?」



  それを聞いたアルは困った様にしていたが、ミリスが助け舟を出した。



 「アル君、別にフレイムアローでも魔力付加の練習には使えるし、別にロックアローじゃなくてもいいんじゃないかな?」


 「確かにミリスの言う通りだが、俺はロックアローの方が慣れてるし教えやすいと思ったんだ」


 「でも魔力付加は魔力増幅と、それを溜めて肉体強化するコツさえ掴めればいいんだから、フレイムアローでやってみようよ。アル君」


 「ロックアローじゃなきゃならない理由でもあるのか、アル?」



  刹那がアルにロックアローに拘わる訳を聞いたのだが帰ってきた答えは微妙だった。



 「ロックアローじゃなきゃってのは俺がフレイムアローが苦手だからだ」

 「俺は土属性のシングルで水属性のロウシングルだ。火属性にとっては天敵的存在な訳だな俺は。まぁ、だから火属性はあまりが向いてないんだよ」


 「お前が火属性に向いてないってのは聞いたから分かったが、そもそも属性の関係ってどうなってるんだ?」


 「あれ?刹那君は属性の関係性知らないの?」


 「ああ、魔法の事はこの世界に来るまで知らなかったし、もちろん属性の事なんてこれっぽちも知らないぞ」


 「だと思って属性の相互関係表を持ってきた、これ見て覚えておけ。この世界の住人ならみんな知ってる事だ」



  そう言われアルから関係表を渡されたので早速読んでみた。


  スクロールには火が上で、左が風、左下が土、右下が雷、右が水という風に描かれた絵があった。


  記述によるとその配置には意味があり、火から逆時計周りの順で矢印が描かれており、その矢印が強さと弱さを表しているそうだ。


  ちなみに、その配置図には火から始まり雷、風、水、土、火の順で五芒星が描かれていた。これも強さと弱さを表しているそうだ。


  ただ、通常属性の関係は最初の逆時計回りの方が適用される様だ。五芒星の方は聖属性になった時の関係らしい。ただ一応通常属性でも適応される場合もある様だ。


  つまり、火は風と雷に強く、水と土に弱い。風は土と水に強く、火と雷に弱い。土は雷と火に強く、風と水に弱い。雷は水と風に強く、土と火に弱い。水は火と土に強く、雷と風に弱い。


  この様な関係が属性にはある様だ。図にしてみるととても分かり易く出来ているなと刹那は感心しつつ話しを元の路線へと戻すのだった。



 「魔法属性の関係は分かった。一応な」


 「まあ、見た通り俺の属性、土と水は火に強い。一方、その属性を持っている者は火属性を覚えづらくなるんだ」

 「使いたい属性に対して強い属性を持ってる程、覚えにくく、使いたい属性に対して弱い属性程、覚えやすいんだ」

 「簡単に言うなら火だと風と雷に強いから風と雷は覚え易い。逆に水と土に弱い分覚えにくい」


 「まぁ、俺の場合は属性無しだから関係ないんじゃないか?」



  その言葉に反応したのはアルではなくミリスだった。



  「関係はあるよ。この第七校は深炎の七校として有名なんだよ」


  「深炎?」



  そう聞くとミリスが色々と説明してくれた。


 世界は炎によって創られた、それが原初の炎という事らしい、そして原初の炎は始まりを告げると共に世界の終焉をも司ったらしい。


  そして、再び世界を炎が生み出した、それが深炎だという。そしてこの七校には世界の終わりと始まりを告げた原初の炎の結晶体があるらしい。



  そこで刹那は逆鬼の言葉を思い出した。転移場所には世界の終わりと始まりを告げた原初の炎があると言っていた事を。


  しかし、どうすれば良いのかまでは言っていなかった、ただそれを手に入れれば火のエレメンタルは収集完了だと言っていた。


  なので、どうすればそれを見れるのかミリスに聞いてみる事にした。



 「ミリス。その深炎、原初の炎の結晶体はどこにある?どうすれば見れるんだ?」



  その言葉を聞いてミリスはとても嬉しそうに話し始めた。



 「深炎は聖炎とも言われてて、6月1日の聖炎祭で炎属性の恩恵を与えて貰えるんだよ。その時には触る事もできるんだよ」


 「触る事もできるのか?」


 「そうだよ。触る事によって炎属性の恩恵が受けられるらしいんだ。もしかしたら僕も、刹那君も火属性の適正がアップするかもしれないよ」


 「おい、俺は俺は?」


 「アル君は既に土のシングルでしょ?火までシングルになるとは思えないなぁ〜」


 「何でだよ。俺だって火属性苦手なの克服したいんだぞ」


 「僕達、特に刹那君は属性無しで困ってるんだから扱い違ってもしょうがないでしょ?」


 「そりゃそうだが、何かミリスは刹那に優しすぎないか?」


 「そんな事ないよ。僕は刹那君もアル君もちゃんと平等に接してるつもりだよ?…多分」


 「多分ってなんだよ。最後にぼそっと言ったな」


 「だってアル君僕の事、襲おうとしたんだよ?それに属性無しの刹那君の方が気になるに決まってるよ」



  アルはミリスに予想より強く言われたので話しを戻すことにした。



 「まぁ、属性の関係性とか聖炎祭の事はそれ位にして本題に入ろうぜ」


 「ああ、そうだったな。それでフレイムアローを使えばいいんだな?」


 「そうだ、あの的に向かってフレイムアローを撃ってくれ」


 「それじゃあ、行くぞ!」


 「刹那君がんばれ!」



  ミリスに応援され刹那はフレイムアローを撃つ為に詠唱を始めた。



 「我が求めに従い、我が敵を射んとする一条の炎の矢となりて、撃ち抜かん!」

 「フレイムアロー!」



  その詠唱が始まると共に段々と魔法陣が出来上がり、初めての時とは段違いの輝きと、熱を持つ一条の矢が形成され放たれた。


  ドッカーンという音と共に的は見るも無残に撃ち抜かれていた。


  そこでアルとミリスが驚きと共に言葉を発し始めた。



 「おい、おい。刹那、属性無しって本当か?俺のロックアロー並みの威力だったぞ…」


 「確かに属性無しの威力じゃないね。適正なかったのって間違いだったんじゃないかな?」



  そう2人に言われたが、確かに刹那が初めて魔法を使った時は魔法陣の形成もしょぼく、フレイムアローはすぐに消えそうな代物だった。


  だが、今放ったフレイムアローはどう見ても招待転移者達が使った物に勝るとも劣らない威力だった。


  よくわからず考え込んでいるとアルが話し掛けて来た。



 「刹那、もし本当に属性無しだとしたら、お前の魔力は相当高いぞ」


 「本当か?まぁ確かに俺は魔法力の内包量が分からないからな」


 「分からない?なんでだ?」



  アルが何故かと聞いてきたのでエリザとの会話を刹那は答えた。



 「学園長の話しだが、転移してきてすぐに転移者は魔力枯渇で急速に魔力が充填されて具合が悪くなるらしい」

 「だが、俺の場合症状が軽かったが他の者が治る頃になっても、ずっと症状が安定しなかったんだ」

 「それは、俺の魔力回路がそこまで強くないからじゃないかと言われたよ」



  それを聞いてアルは言った。



 「確かに魔法の威力は凄かったが詠唱が完了して、魔力が貯まるまでの時間は結構長かったな」



  刹那はアルに言われて気づいた。確かに威力こそ高まっていたが魔法を放つまでの時間は数秒だが他者より遅かった。



 「刹那の場合だと魔法の規模はでかい、だがそれを差し引いても魔力が貯まるまで時間が掛かり過ぎてる気がするな」

 「学園長が言った通り、魔力回路は弱いのかもな」


 「そうか、所でさっきから気になってた事なんだが、魔法回路と魔力回路って違うのか?」



  そんな事を言われてアルはビックリしていた。そこでミリスが説明を変わってくれた。



 「魔法回路は魔法の通り道で魔法を行使する為の物なんだよ。魔法回路が強いと魔法の規模が大きくなるんだ」


 「だが、俺が初めて魔法を使った時のフレイムアローは細くてひょろひょろしてて弱っちかったぞ?とても規模が大きいとは思わないんだが?」


 「刹那君、その時まだ魔力があまりなかったんじゃないかな?だってさっきの魔法は確かに規模が大きかったし。火の適正属性者並みのフレイムアローだったよ?」


 「そうなのか?でも魔法回路が強いなら属性の適正があっても良さそうな気がするが…」


 「属性の適正と魔法の規模は確かに比例して強くなってくるけど、適正がなくても魔法の規模が小さいとは限らないんだよ?」

 「刹那君の場合は魔法の規模が明らかに大きかったし、もしかしたら刹那君魔法の才能あるのかも!」



  ミリスが自分の事の様に嬉しそうにしている所でアルが話し始めた。



 「確かに刹那の魔法の規模は大きかったけど、魔力回路が弱いんじゃ宝の持ち腐れだぜ?」


 「アルの言う事も最もだな。いくら威力があっても隙が出来てちゃ意味が無い」


 「僕は凄いと思うけどな。それに魔法回路は資質も重要で底上げが難しい物だけど魔力回路は鍛える事ができるんだよ」

 「魔力回路は魔力の通り道で、魔法の規模によって必要な量の魔力を通す通り道なんだよ。魔法に時間が掛かったのは魔力回路が弱いからだね。でも魔力回路は強化できるんだよ」


 「そうなのか?アル?」


 「ああ、ミリスの言う通り魔力回路は強化できる。まぁ一朝一夕って訳にも行かないが」


 「そうか、まあ魔法回路と魔力回路の違いは分かった。それよりそろそろ魔力付加を教えてくれないか?」



 刹那に言われてアルはようやく本題を思い出した様で説明を始めた。



 「魔力付加だが、刹那。お前魔法使った時にどんな感じだったか覚えているか?できるだけ詳しく教えてくれ」



  そう言われて刹那は魔法を使った時の事を思い出しながら考えた。魔法を使う時、まず詠唱を開始すると同時に何かが体から流れ出てくのを感じた。


  そして、魔法の詠唱が終わってその感覚が止まり、魔法名を詠唱すると同時に体から流れ出し、溜まっていた何かが放たれた気がした。


  その事をアルに言うとアルは嬉しそうに説明を始めた。



 「その感覚だよ。魔法を詠唱すると流れ出てくのは魔力だ。そして詠唱が終わった時止まったのは、魔力が魔法を使うのに必要な量を貯めれたからだ」


 「それでどうすれば良いんだ?」


 「話しは簡単だ。詠唱が終わってからも魔力が流れて行ってた時と同じように魔力を流し続ける。一度やってみろよ」



  刹那は試しにアルの言われる通りにやってみた。だがなかなかうまく魔力が流れていかなかった。


  そこでアルが又、話し始めた。



 「無理やり魔力の流れをコントロールするんだ。普通なら魔力が止まっちまう所で更に魔力を流す。それによって魔法の規模はアップする」


 「刹那君。無理は体に堪えるから気をつけてね」


 「いや、魔力を流そうにもうまく流れて行かない。無理に魔力を出そうとしても詰まったみたいにそれ以上に出ないんだ」


 「まぁ、やっぱりいきなりは無理だよな。普通ちょっとずつ魔力を上乗せする練習をするもんだからな」


 「そうだよ。僕はもっとゆっくりやって行くべきだと思うな」



  2人はそう言うが、刹那は自分の力でどうにもならない事がいつ起こるか分からない以上、すぐにでも強くなる事に貪欲だった。


  その事を知ってか知らずかアルが刹那に問い掛けて来た。



 「刹那、お前は邪道でも強くなりたいか?」



  突然アルが刹那に問いかけて来た。しかし、刹那は少しの躊躇もなく答えた。



 「アル、お前が気力の時、邪道を選んだ様に。俺も邪道を選ぶ。俺は何が何でも強くなりたいんだ」



  刹那は自分の代わりに犠牲になった楓を救う為。そして、残った大切な妹の奏を守り抜く為の力を求めた。


  するとアルは真剣な表情になりながら嬉しそうな顔で刹那に言った。



 「それでこそ俺の見込んだ漢だ!何でそこまで強さに拘るのか俺には分からない。だが何だか俺と同じ匂いがするんだよな」

 「だからこそ俺は邪道を教える。刹那の事を信じるからだ!な、相棒」


 「ああ、覚悟はある。だからその方法を教えてくれ」



  その会話を聞いてミリスが慌てて話しに入ってきた。



 「ちょっと待って。邪道ってもしかしてダブルチャントでも使う気?」



  ミリスの質問にアルが頷きながら答えた。



 「そうだ。魔力増幅の感覚をすぐに覚えたいなら、ダブルチャントする方が早いからな。一応ダブルチャントの事について言っとく」



  アルの説明によると魔力付加をする過程で魔力増幅(まりょくブースター)が必要になるらしい。しかし魔力増幅は徐々に魔法を強化するので負担を最小限にしながら感覚を覚えていけるらしい。


  しかし、ダブルチャントは魔法を強制的に2倍に底上げする方法で全身の神経が敏感になり痛みや苦しみを味合うことになるらしい。


  だが、刹那はそんな事を聞いても一切躊躇しなかった。



 「ダブルチャントとはどうすればいいんだ?」



  その質問にアルは苦笑しながら簡単な事を口にした。



 「もう一度同じ魔法を詠唱するだけだ。正し身体が拒否するから、それを無視して魔力を解放しろ。そうして体に魔力を無理やり引き出す感覚を覚えさせるんだ」


 「それだけか、分かった。行くぞ」



  そう言ってダブルチャントをしようとしたが、ミリスが止めに入る。



 「いくら何でも無理やりすぎだよ、アル君!刹那君はダブルチャントの事知らないから。ダブルチャントは慣れた術者でも抵抗がある位危険な物なんだよ?」



  ミリスは自分の事の様に刹那を心配してくれたが刹那は感謝を述べた後、ダブルチャントに踏み切った。



 「ミリス。心配してくれてありがとな。だけど大丈夫だ。俺は無敵だ!」

 「我が求めに従い、我が敵を射んとする一条の炎の矢となりて、撃ち抜かん!」

 「我が求めに従い、…我が敵を射ん……とする…一条の炎の矢と………なりて、……撃ち抜かん!!」



  刹那は苦痛に耐えながら2回の詠唱を終えて待機状態になっていた。そこでアルが声を掛ける。



 「いいぞ刹那。その儘だ。その感覚に慣れてきたら後は魔法名を唱えて楽になれ」



  しかし、刹那は一向に撃つ気配がしなかった。なのでアルとミリスは慌てた。



 「おい刹那、大丈夫か?辛いなら早く魔法を撃っちまえ」


 「そうだよ刹那君。無理が祟れば逆に危ないんだよ!」



  だが刹那はとんでもない事を言ってきた。



 「この力じゃ…まだまだ…だと思うんだ。だから…」



  刹那の目は常軌を逸する物だった。何か覚悟を決めたような鋭い目にアルとミリスはとんでもない事を教えてしまったのではないかと思っていた。


  そして、刹那の狂気は3回目の詠唱という形で現れた。



 「我が…求め…に…従い」


 「やめて刹那君。詠唱を止めてよ。お願いだから」



  ミリスはとうとう泣きながら刹那に制止を呼びかけた。


 


 「…我が…敵を…射んと…する…一条の…矢と」


 「やめろ、刹那!今すぐ詠唱破棄するんだ。魔法力を貯めないで解き放て!」



  アルが必死に詠唱を破棄して魔法を放棄するように呼びかける。だが刹那は虚ろな目をしながら詠唱を続けた。



 「なりて、…撃ち…抜かん!!」



  その言葉と共に刹那の魔力が自身の魔力回路を焼き、全身を魔力が包み危険な状態になる…。


  しかし、そんな状態になりながら、刹那は昔の事を思い出していた。それは気力を完全にマスターした時の事だった。


  父親の逆鬼に殺されかけながら必死に気を振り絞って戦った時の事だ。朝から晩まで戦い、死を何度も覚悟しながら最後の最後の方でようやく気を完全にコントロール出来たのである。


  そして、今回は形は違うが魔力増幅の技であるチャントで、3回チャントする事によって自身の気と同じかそれ以上の力を感じ取るまで魔力を増幅させた。


  刹那はそんな状態になりながらだんだん目の輝きを取り戻し、虚ろな目だったのが嘘の様に、凛々しくキリッとした目をしてアルに聞いてきた。



 「アル、魔力は増幅できるだけしたが…どうすれば魔力付加できる?」



  刹那に呼びかけられ、それまでミリスと一緒に唖然としていたアルが慌てて方法を答えた。



 「後はその魔力を打ち出さず、体の隅々まで行き渡るように意識しながら、体に魔力を浸透させるんだ」


 「刹那君!早く!こんな状態長く持たないよ。無理そうなら魔法を放って解除して!お願い」



  ミリスは泣きながら刹那を心配しているが刹那は申し訳なく思いながらも強行を選んだ。



 「心配するなミリス。俺は大丈夫だ。なんたって無敵だからな!」



  刹那の無敵だからという言葉は、実は奏が刹那の修行で何度も死にかけていた時に、安心させる為に言っていたセリフだった。


  刹那とミリスは付き合いはまだ数時間だが、妹の様に思ってしまったのでついつい奏と接する時の様になってしまっていた。


  ちなみにその事をミリスに言うと、僕は男だから妹じゃなくて弟だよ?とか言いそうなので言わないでおく刹那だった。



  そんな、男とも思わず何故か妹の様に感じてしまうミリスが心配して泣きながら聞いてくる。



 「刹那君?本当に大丈夫…無理しちゃ嫌なんだからね」



  そう言われて逆に無理をしてしまう、困ったお兄ちゃんの刹那であった。


  そしてアルがまずその間も色々とアドバイスをしていた。


  体に吸収しろとか、体に纏わせろだとか。感覚の問題を色々と言われても一々分からなかった。



 「刹那君。まずは落ち着いて。身体に無理に力入れたりしないで自然体で魔力が徐々に体に浸透するようにイメージして!」



  アルではなくミリスがアドバイスをくれる。必要以上に魔力を出す為に力んでいた力を解き、自然体に近いようにした。


  すると徐々に苦しさが消え力が湧き出してくる。



 「おい、刹那。その感じだ。尖ってた魔力が段々お前に吸収されて行ってるぞ」


 「刹那君。その調子だよ!焦らず深呼吸しながら落ち着いて」



  そう言われて焦らずじっくりと、魔法の為に絞り出した魔力を、自分の強化に適した魔力へ変換されていく感覚を、刹那は感じ取り始めていた。



 「ふぅ、こんな感じか?」


 「そうだな。まだ荒いがそれが魔力付加だ。ついでに魔力を増やしたのが魔力増幅だ。一応両方覚えておくと良い。まぁ、魔法戦でも増幅は使っても倍化するチャントなんて滅多に使わないけどな」


 「おめでとう、刹那君。僕の魔力付加なんかより全然凄いや。でもそれだけ魔力絞り出してるし後遺症が無いか心配だな」


 「とりあえず。その状態をしばらく維持したら解いて、今度は違う属性か、いっその事無属性で魔力付加してみるのもいいんじゃないか?」



  アルが新たな提案をして来た。なので刹那はアルに疑問をぶつけた。



 「属性が変わると何か変わるのか?」


 「ああ、一応大体の事は分かるぞ」



  そこでアルの説明が始まった。魔力付加を属性魔法ですると身体強化以外に、火は炎の加護による浄化能力と熱変換による攻撃力アップ効果。


  水は少量の回復能力維持と水の加護による体力消費軽減。風は風の加護による魔法ダメージ軽減と自分の行動速度アップと相手の行動妨害。雷は電流による思考加速と身体能力アップを雷の加護により得る。土は土の加護による防御力アップと相手の視覚妨害。


  以上が属性魔法による魔力付加らしい。無属性の場合は身体強化のみの代わりに自身の魔力を変換無しでそのまま使える為、素早く魔力付加ができるらしい。


  だが説明中も魔力付加を続けていたので刹那の疲労は限界に達していた。なので肝心な事をアルに訪ねた。



 「説明有難いんだが、どうすればこの魔力付加解けるの?」



  アルは魔力付加の解き方を言い忘れていた。慌ててミリスが答えた。



 「刹那君。魔力付加に使った魔法を放てば解除されるよ。だから早くフレイムアロー放っちゃって」



  そう言われて急いでフレイムアローを唱えた。



 「フレイムアロー!」



  ドッガーン、パラパラパラッ。


  ………刹那の放ったフレイムアローは既に矢とは言い難いでかさと速度と威力を以てして、魔力強化されている対魔法製の壁を深く抉るように爆発していた。


  それを見た2人は完全に唖然とし、刹那もあまりの威力にちょっと驚いてしまっていた。


  こうして無事、刹那の魔力付加はなんとか成功で終わったのだが…魔力付加を解いた瞬間身体がふらついてしまった。


  しかし、両脇に2人が来て支えてくれたので、なんとか寮の医務室まで運ぶ事ができた。


  そして医務室で先生の来るのを待っていると、まだ若さが残る女性が入ってきた。



 「どうも。皆さん初めまして。エレウィス・トワイニングです。本校でも医務責任者をやらせてもらってるわ」


 「どうも、初めまして。ミリスティム・セフィラムです。」


 「始めまして。俺、アルフォートって言います。アルって呼んで下さい」


 「初めまして。時乃宮刹那です」



 こうして皆の挨拶が終わるとエレウィスは刹那に近づいて来た。



 「君がドーランさんの話してたむちゃくちゃしてるって子ね?刹那君だっけ?そこに寝てくれる?」



  そう言うと刹那はベットに寝かされた。そしてエレウィスは刹那の体に手を当てて何かしら魔法を唱えた。



 「我が意に従い、我の知らんとせん情報を、魔力波を以てして状況を知らせよ」

 「サーチ!」



  そう言うと刹那の身体を何かが通りすぎる感覚が定期的に襲う。


  そこでミリスが疑問を口にする。



 「あの?エレウィス先生なんで索敵魔法であるサーチを使うんですか?」


 「確かにそうだな?エレウィス先生どうなってるんだ?」



  ミリスが疑問を挙げた瞬間アルの方も疑問に思ったようで聞いていた。


  そうするとエレウィスによる解説が始まった。



 「確かにそうよ?これは索敵魔法。でも使い方次第では体の状態を調べる為の魔法にも応用が聞くのよ」



  それを聞くと2人共驚きと関心したような顔でエレウィスを見ていた。



 「どうやら、魔力の負加で魔力回路を焼いちゃってるみたい。すぐにでもリジェクトヒーリングを掛けないと魔力回路に損傷が残っちゃうかも」



  その言葉を聞きアルは慌て始めてエレウィスに聞いていた。



 「なら早く刹那にリジェクトヒーリングを掛けてください」


 「そうしたいんだけと今日は他の患者達で3回使っちゃてるの。今日はもう使えないわ…」


 「そんな、なら他に掛けられる人は居ないんですか?」


 「学園長なら確実だけと、どこに居るか分からないし無理じゃないかしら。誰か使える子を探した方が早いかも」



  そこで今まで黙ってたミリスが声を上げる。



 「他の人ができないなら僕がやる!刹那君大丈夫だからね。ちょっと待っててね?」



  そう言うと医務室から走って行ってしまった。


  そこでエレウィスがアルに聞いてくる。



 「ミリスちゃん?だっけ?さっきの子は水属性のシングル以上の力があるの?」



  エレウィスはアルにそう聞いてきた。何故ならリジェクトヒーリングは上級属性の中でも何度の高い魔法であるからだ。


  通常水属性のハイシングルが使う魔法であるのでエレウィスが疑問を抱くのもおかしくない。


  そこでアルはミリスの属性について言うかどうか迷った末、言っとく方が良いと判断して告げた。



 「ミリスはロウペンタゴンです。確かに水属性も持ってますがロウ止まりです。あと、あいつの名誉の為に言っときますけど男ですよ?制服見たでしょ?」


 「そう、彼女はロウペンタゴンなのね?って彼だったわね。でも彼は自分がやるって言ってたけどできるのかしら?」



  噂をしていると、張本人であるミリスが息を切らしながら部屋の扉をドカンと開けて入ってきた。



 「刹那君はまだ大丈夫ですか?」


 「ええ、まだ大丈夫よ。それよりあなた水属性ロウの様だけどリジェクトヒーリング使えるの?」


 「普通なら使えません。ただ時間を掛ければできます。5つのエレメンタルの力を一旦水属性のみに変換します」


 「そんな事できるの?それにできた所でハイシングルレベルになれるのかしら?」



  エレウィスにそう指摘されたがミリスは真剣な顔で答えた。



 「このスクロールは僕が母に言われ魔法力を長年掛けて染み込ませた。リジェクトヒーリングのスクロールです」


 「それがあれば使えるの?それだったら私がそのスクロールでやりましょうか?」



  ミリスにエレウィスがそう提案するとミリスは首を振った。



 「このスクロールは僕専用に作られてます。僕にしか使えません、それに時間が掛かります」


 「時間が掛かるってどの位?」


 「通常なら1時間位ですが…」


 「間に合わないわね。さっきあなたが出てってから、サーチし続けてるけど途中で気を失ってから結構時間経ってるし」


 「大丈夫です。こんな時の為にこれがあるんです」



  そういうとミリスは首に着けてたハート型のペンダントを見せて来た。



 「それは吸魔石?」


 「吸魔石と魔石でできたポーションの容器です」


 「ポーションってそれを飲ませるの?」



  ポーションと言うので刹那に飲ませるのかと聞いたら違う答えが返ってきた。



 「いえ、このポーションも僕専用の物らしいです」


 「じゃあどうやって助けるの?」


 「僕がこのポーションを飲むとリジェクトヒーリングに必要な魔力が僕に宿ります。そこでスクロールを使うと僕にリジェクトヒーリングが掛かります」


 「それじゃあ意味が無いのではないの?」



  確かにミリスにリジェクトヒーリングが掛かっても、刹那に掛からなければ意味が無い。


  しかし、ミリスは話しを続けた。



 「確かに僕だけなら、意味がありませんが母が言ってたんです」


 「お母さんはなんて?」


 「どうしても助けたい人が出来た時、その時にポーションとスクロールを使ってリジェクトヒーリングを使えば、相手にキスする事で、相手にもリジェクトヒーリングが掛かると」


 「そんな事が可能なのかしら?」


 「僕の種族に関係があるらしいです」


 「君の種族?君ってもしかしてクロマソウ族かしら?違う?」



  エレウィスがそう尋ねてきたのでミリスは正直に言った。



 「はい、僕はクロマソウ族です」


 「そうか、なるほどね。それじゃあ幾つか質問いいかしら?」



  突然質問が始まったが、刹那が気が気でないミリスはせかせかと答えた。



 「君は男の子なのよね?今12のはずよね?どうして男になったの?」



  そう聞かれたのだが、話すと長くなるので簡単に説明した。そうするとエレウィスは質問を続けた。



 「つまり、クロマソウ族お得意の症状で男になっちゃたのね?」


 「お得意?得意かは知りませんけどそういった経緯で男になりました」


 「刹那君の事は好き?」


 「まだ、会って数時間ですが僕の事を受け入れてくれたし。笑わしてくれるし、今回みたいに無茶をするみたいですけど。それが逆に気になったりで、好きといえば好きかなって…」



  そう言ってミリスは顔を赤らめ刹那を見るのだった。そして、刹那が起きてたら絶対に言ってはいけない事を言ってしまった。



 「それに女の子みたいで共感持てるし、可愛らしいんです」



  それを聞くとエレウィスは難しい顔をして最後の質問をしてきた。



 「刹那君の事は男の子として見てるのよね?それで自分の事を受け入れてくれたり、笑わせてくれたりしてくれる。刹那君に惹かれてるってことでいいのかしら?」


 「惹かれてるというか憧れてるって言ったほうが合ってる気がしますよ?」


 「それは惹かれてるって事よ。多分ね。というかそうでないとあなたのお母さんに申し訳ないわ」



  1人愚痴りながらエレウィスはミリスに治療をする様に言った。


  なので早速ミリスはポーションの蓋を開け、一気に中身を飲み干すとリジェクトスクロールの詠唱に入った。



 「我が意に従い、かの者に癒しを非とする傷を、万物全てを否定する聖なる再生の光と癒しの水になりて、復活の階を伸ばさん」

 「リジェクトヒーリング」



  その魔法を詠唱し終わるとミリスは一息ついて刹那に向かって行く。そして椅子に座ると新たに何か言い始めた。そこで静かだったアルが口を挟む。



 「あとはキスするだけなんだろ?ミリスの奴なんであんなに緊張してんだ?人命救助の人工呼吸と一緒だし、男同士だからノーカンだろ?なんであんなに戸惑ってんだ?」



  そんな事を言うアルにエレウィスは言った。



 「馬鹿ね。そんなんだと貴方モテないわよ。ただでさえなんか暑っ苦しそうなのに、そんなだと彼女できないわよ」


 「余計なお世話です。それに俺は真の漢を目指してるんで。俺に合う女が1人いればいいんですよ」


 「あら、そう。でも今は静かにしてなさい。あの子きっとコンダクトの魔法使う気よ」


 「コンダクトって何ですか?」


 「コンダクトってのはクロマソウ族が使う魔法で自分を相手に捧げ、相手を支える代わりに、相手も自分を捧げ、パートナーを支えると誓う絆の契約魔法よ」


 「契約魔法ですか?」


 「そう、クロマソウ族ってのは契約関係の魔法に掛けてはずば抜けてるのよ。母親の命令権とかもあるでしょ?それに肉体の変化も、魂との契約によってなされる物だし、クロマソウ族ってのはとにかく契約には定評があるのよ」


 「でも契約って言うと奴隷契約とか嫌なイメージしかないんですけど」



  それを聞いたエレウィスは難しい顔をして慎重に答えた。



 「実は奴隷契約も元々はコンダクトの契約を下に研究された物らしいわよ。だからあながちクロマソウ族と関係がないとは言えないわね」


 「げ、マジですが。ってコンダクトって危険なんじゃないですか?」


 「大丈夫よ。コンダクトは自分を捧げるけど、相手も自分を捧げ、支える事を魂に刻まなきゃ成立しないから」


 「それって成立したらしたで問題がある気が…」


 「貴方はもう黙ってなさい。ミリス君、遂にコンダクトするみたいよ」



  その言葉を最後に2人は耳を傾けた。するとミリスがコンダクトの詠唱に入っていた。



 「自分はこれからこの物に自身を捧げ、尽くし、支える事を誓い、ここに絆を結ばん事を切に願う。かの者、私を受け入れ、自身を捧げ、尽くし、支える事を誓い、ここに絆を結ばん事を受け入れたまへ」



  ミリスがコンダクトの魔法の詠唱が終わると、それを見ていた2人はどうなるのか気になって様子を伺っていた。



 「エレウィス先生、コンダクトが成功しないとどうなるんだ?」


 「簡単な事よ。リジェクトヒーリングの効果が消えて霧散するだけ」


 「じゃあ成功すると?」


 「互の魂に絆が芽生え刻まれるわ。効果としては互がピンチになると互がピンチになる。まぁ、大げさな呪文だけど要は互いに信頼し合うパートナーになるってだけで、別に付き合うとか結婚するとかって話じゃないから気にしなくて大丈夫よ」


 「それじゃあ、いいか。ん?いいのか?」


 「いいのよ…それにお母さんの望む方向に向かいそうだし。ちょっと面白いわね。時々見に来ようかしら?」



  そんな話をしてると、ミリスがいよいよ、意を決してキスをしようとした。


  そして、刹那の唇とミリスの唇が触れ合い時間が経過する。



 「おお、本当にキスした。でも女同士がキスしてる様に見えるのは気のせいか?それになんだかそっちの方がいけない感じで何かが俺を掻き立てる」



  アルが何だか意味不明な危ない事を口走った後、しばらくすると刹那の体がミリス同様光り始めた。


  それをみたエレウィスは止めていた息を吐きだしほっとした口調で話し始めた。



 「無事、コンダクトできたみたいね。それにしてもアル君、貴方は何だか残念な子ね…」



  何故か哀れみの様な目をエレウィスに向けられアルは首を傾げるのだった。


  そして、刹那が目覚めた瞬間、ミリスが慌てて唇を離した。そして、刹那はぼーっとした後、一瞬で状況が把握出来たようで慌てて言葉を発する。



 「いっ、今、ミリス、キスしてなかったか?」


 「眠り姫を起こすのは王子様のキスって決まってるからね?どう?調子はいかが」


 「えっ、いや、さっきより随分マシってか、姫ってなんだよ俺は男だ」


 「僕だって男だよ。本当だったら可愛い眠り姫様を起こしたかったんだけど、刹那君も可愛いからそれで手を打っちゃった」



  ミリスは顔を真っ赤にしながらつらつらと言い訳を述べるのだった。


  だがそれが逆にいけない事をした様な、気にさせられてしまう刹那だった。



  そうこうしてる内にエレウィスの尋問が始まった。



 「とりあえず助かって良かったけど、一体何があったのか説明してもらえるかしら?」



  しょうがなくエレウィスに事の顛末を話すと呆れ顔をしながら怒ってきた。



 「アル君も馬鹿だけど刹那君も相当馬鹿ね。なによチャントって。それにダブルチャントさせたアル君もだけど、勝手にトリプルチャントなんてするなんて死にたいの?」


 「いえ、魔力付加を学ぶにはどうしても必要な事だったので」


 「事だったので、じゃないわよ。一生魔法が使えなくなってたかも知れないのよ?それでミリス君には迷惑かけてるし、ちゃんと反省しなさい。」


 「すみませんでした。ですが強くなるのに必要であれば、又、同じような事をするかもしれません」


 「貴方いい度胸してるわね。私の前で又やるとか言うなんて覚悟は出来てるの?」


 「嘘をついて隠れてやるのは俺の矜持に傷がつくので嫌なんです」


 「なんて我侭なの?もういいわ。言っても無駄の様だし。でもね無理をしても絶対に危険な事だけはしないで。もし危険を感じたらすぐに私の所に来なさい。いいわね」


 「お心遣い感謝します」



  そう言って刹那は会話を終わらせようとしたのだが、まだ話しがあるとばかりに睨まれた。



 「さっき魔力付加を教えるって話しは聞いたけど、気力を教える代わりにって言ってた気がするんだけど」



  どうやら刹那に気力付加を教えてもらう代わりに、魔力付加を教えて貰ったと言う事を聞き逃していなかったようだ。



 「気って、あの経絡とか点穴とかってやつの、気よね?」



  意外にも、この世界の住人であるエレウィスが知ってるとは思わなかった刹那は困った。



 「気力ってそんなに簡単に身につくの?」


 「それは…」



  刹那が黙りを決めようかとしているとエレウィスが回答を述べ始めた。



 「貴方達、もしかして又、危ないことしようとしてない?」



  そう言われては先程言われた手前嘘をつけなかったので本当の事を話した。



 「点穴を突いて気を無理やり出させてそれを止める訓練をする?」


 「はい、そうです。別に危ない事じゃないです」


 「貴方、私はこれでも医者で、この学園の筆頭よ。多少は気についても知ってます。そして点穴が急所で、本来は気を断つ為の物だってのもね」


 「確かに気を断つ物ですが、こちらが気を点穴から流し込めば逆の作用になって気の巡りが増します」


 「それも知ってるけど。それって刹那君が魔力回路を焼き付かせたように、アル君も気の巡りがおかしくなったりするんじゃないの?」


 「それは…」


 「それにもしも止める事ができなかったらどうなるの?私の予想だけどずっと動けないままになるんじゃないの?」


 「そうならない為に細心の注意は払いますし。最終手段として、最低限の気のみを巡らせて点穴を断てば動けるようにはなるかと」


 「つまり、動けるようになる程度で完全には元に戻らないって事でしょ?違う?」


 「いえ、最初は苦労するかも知れませんが3年あれば元に戻す位はできます」


 「どうやって?」


 「定期的に俺が気を巡らして循環を良くすれば早く治ると思います」


 「それでも3年間は今まで通りに行かないって事でしょ?」


 「そうですが、ですが…」



  そこで事の経緯を見ていたアルが口を出してきた。



 「エレウィス先生。申し訳ないけどこれは刹那との約束だ。俺が死ぬような事になっても必ず処置はしてもらう」


 「アル君、君は馬鹿なの?死ぬなんて簡単に言わないで、私は医者よ」


 「軽い気持ちじゃないですよ。それに俺はアルフォート・マギヌスです」


 「えっ」



  アルの名前を聞いた途端にエレウィスの顔色が変わった。



 「マギヌスって、あのマギヌス?」


 「そうです。それで俺は…」


 「いいわ、言わなくても。私は何度も言うけど医者よ。あなたの家の事は嫌な位良く知っているわ。悪かったわね。貴方の自由にしなさい」


 「いいんですか?アルの事?」


 「刹那君も知ってるんでしょ?私としては不本意だけど必死になる理由は分かるつもりよ。でも死ぬ事だけは許さないわ」


 「じゃあ、どうすれば?」



  そう聞くとエレウィスは大きく息を吸ってから話し始めた。



 「ここで処置をしなさい。いざという時は私が全力を持って助けます。気については詳しくないけど水と風のハイダブルの力が、伊達じゃないのを見せてあげるわ」



  そこで始めてエレウィスの属性を知ったが水と風のハイダブルだったのか。


  そう、刹那は感心すると共に安心してアルに処置ができる事を喜ぶのだった。



  その頃、奏はリースと共に食堂に来ていた。


  朝はバイキング、昼はランチ、そして夜はディナーのコース料理だった。



 「今日はどうする?奏さん」


 「う〜ん、私はコースは慣れませんね。どうしましょう?」


 「私は美味しそうなのから順に食べて行くって昨日決めたし。今日も美味しそうなのを適当にしようと」


 「そうね、私は今日はお魚が食べたいですね。はぁ、日本食が恋しい。お兄様」


 「まだ、2日目だよ奏さん。それに日本食というのが恋しいのは分かるけど、お兄様って」


 「だって、もう丸一日お顔を拝見してませんのよ。お兄様が恋しくなって当たり前です」


 「いや、いや、いや、一日お兄さんに会えないからって、そこまで恋しがらなくても。」


 「でも、お兄様の方が私恋しさに耐え切れないかも知れませんね」


 「お兄さんってそんなに奏さんにべったりなの?」


 「それはもう、朝起きて、お風呂に入って、寝るまで常に一緒でした」


 「えっ、お風呂まで?」


 「はい、お兄様ったら恥ずかしがってる私を無理やり。きゃっ」


 「えっ〜!そんなお兄さんなの?ちょっと会うの怖いかも」


 「といっても最近は一緒に入ってくれないんですよ?」


 「それって、いつ頃から?」


 「6年程前でしょうか?」


 「それは最近ではないのでは?というかその時、奏さん6歳でしょ?驚かせないでよ」


 「私にとっては最近なんですよ〜」


 「はい、はい」



  そうこうしてる内に注文を取りにやってきたので注文をした。



 「えっと、私はこの鶏肉のソテーのコースを。奏さんは」


 「お兄様を生で」


 「奏さん。それ注文受け付けてないから」


 「じゃあお魚のおすすめのコースでお願い致します」



  それを聞くとニッコリと笑ってウエイトレスが去っていった。



 「奏さん。明後日の入学式では会えるんでしょ?それにクラスだってまだ決まってないじゃないですか。元気出して下さい」


 「有難うリース。今日はクマーを抱きしめながら寝ましょう」


 「クマーってもしかして今日添い寝してた熊のヌイグルミ?」


 「そうですけど?」


 「いや、独特なネイミングセンスだなと思いまして」


 「可愛いでしょ?」


 「可愛いかな〜あははは」



  こうして奏とリースはのんびりとした学園生活を送っていた。


  その頃刹那は奏と同じく食堂に来ていたのだが…



 「おい、どうなってるんだミリス?」


 「どうなってるって聞かれても、食堂満席だね…」


 「18時からだろ?今19時だぞなんでこんなに混んでるんだ」


 「食堂来たの初めてだから聞かれても困るよ。刹那君こそ、昨日はここで食べたんでしょ?」


 「ああ、そうだが空いた席に適当に座って食っちまおうぜ。アルは医務室で処置する前に健康診断するって言われて置いてきたが」


 「アル君にはおばちゃんに言って持っていける食べ物貰おうね」


 「そうだな。まぁ肉でも挟んだサンドイッチを山ほど持ってきゃ大丈夫だろ?」


 「まぁ、アル君は質より量を取りそうだもんね」


 「お、あそこ。丁度2人分席空いたぞ。行くかミリス」


 「刹那君待ってよ。食事受け取ってからじゃないとダメだよ。それにアル君の分、頼んどかなきゃ」


 「じゃあ、あの席取っておいてくれ。俺は知り合いのハリッサさんに頼んでから、ミリスの分も持って行くから」


 「分かった。刹那君お願いね?」



  そう言うとミリスが席に向かって歩いて行くのだがなんだか不安になってきた。


  すると、刹那が食事を受け取り席に着こうとすると、ミリスが複数人に囲まれていた。



 「おい、お前等ミリスに何か用か?」



  刹那がそう言うと周りのギャラリーが沸いた。



 「女の子2人で男子寮でお食事かい?何だったら一緒に食おうぜ」


 「まぁ、2人共一緒に食べちゃいそうだが」



  そう絡んできた2人が言うと周りがバカ騒ぎしてきた。



 「俺は男だ。そして、こっちのミリスもな」


 「男?嘘だろ。どう見ても女じゃん。あははは」


 「今度、俺達を女呼ばわりしたり、茶化したら容赦はしないぞ?」


 「容赦しないってどうするんだ?かわいこちゃん?」



  そう暴言を吐いた瞬間ミリスに食事を預けると刹那は相手の顎をおもいっきしアッパーしていた。


  しかし、相手は何事もなさげにしていたため、周りが笑い出したが、次の瞬間には相手は倒れていた。



 「ちくしょう、なんで体が動かない。一体何をしたんだ?」


 「お前が家畜らしく地面に自分からへばりついたんだろ?人間様のありがたみでも分かったのか下衆の癖に」


 「ふざけるな。こんなのマグレだ、誰かこいつに痛い目見させてやれよ」



  そう言うと複数人が飛び掛ってきた。しかし、刹那は一歩下がった後、列になった連中を右へ左へダッキングしながらアッパーを繰り返し。3人が先程の者と同様地面に崩れて喚く。



 「おっと3人程さっきの奴同様、家畜の自覚を取り戻したみたいだ。ほら、他に家畜になりたい奴はどいつだ?」


 「刹那君やりすぎだよ〜」



  ミリスが渋々といった感じで諌めてきた。なので刹那はみんなに聞こえるように言った。



 「俺とミリスを女呼ばわりしたり。ちょっかい出そうって奴は容赦しないからな。覚えとけよ」


|

  その一言で食堂は静まった。刹那は女呼ばわりされた事に怒ったのだが、それ以上にミリスが心配でやり過ぎてしまった感が否めなく。


  刹那は微妙な心境と共に食事をスタートさせた。



  奏達は男子寮でそんな事が起こっているなどと知らずに豪華なディナーに舌鼓(したつづみ)を打っていた。


  そして、ミリスは地獄(だんしりょう)に舞い降りた天使として、刹那は地獄(だんしりょう)の天使の恐怖の番犬(ケルベロス)として名を馳せるのだった。

さて、文章が一度全部消えて書き直したせいで設定が色々変わってたかも。


今回は刹那とアル2人をパワーアップさせる予定がミリスの話しにむしろ集中してしまって、アルのパワーアップは次回に。


一応次の話でアルをパワーアップさせる予定にしたので無理やり刹那とミリスの話しを入れました。


その為、思ったより、長文化。ですが皆様に読んでいただけるならなんのその。


と言う訳で今回の話でミリスの属性が発覚、ついでにアルの能力もちょっとだけプラス、ロウだけど、


ロウペンタゴンは弱くても全属性持ちです。レア度でいえば学園でも指折りの影の実力者。


その能力と秘蔵のスクロールとポーションで刹那の奇跡的復活。何故か男の主人公がキスされて目覚めるという逆眠り姫状態


通りがかったのは見た目は超絶可愛い女の子。言動もちょっと女の子。心と気持ちだけは立派に男?な王子様のキスでレジェンドオブヒロインの刹那君を救うファインプレイ。


しかし、奏の狙っていたファーストキス(実は主人公はファーストキスじゃなかったりするかも)は「男」のミリスに奪われてしまうアクシデント。


さて、これで刹那のハーレム要因に妹の奏とかミリスとかミリスとかミリスとか入ってきちゃいましたorz


でも、ミリス君は男としてあくまで生きていくつもりでいるのでノーカンかな?


しかし、ミリスの種族の事を知ってるエレウィスという新たなるネーム付きキャラクター登場。


そいつは何かを知っていそうだぞ?犯人はもしかしてヤスか?というネタを言ってみたかっただけかも?


とりあえず、これで第7話目は終わりです。第8話では最初にアルの気力覚醒が入り、その後主人公の能力アップの為文献を読ませる予定。


そして、その次の話でミリスの詳細が判明。さらに奏の部屋に新たなる入居者が。


まだまだ、波乱に満ちている神超ですが皆様よろしくお願いします。


ちなみに前回の後書きで刹那君とミリスがくっつくのは無いように言いましたが風向きが怪しい方向へ。


ミリス君にはくじけず頑張って男になってもらいましょう。


それでは次回もよろしくです。



さて早速、お馴染みになってきた。刹那達能力説明です。


今回から、その時その時の能力説明にする事にしてみます。



では男どもから紹介です。



第一の男 主人公 遂にキスシーンが登場で絶好調な、真のお姫様ヒロイン 時乃宮刹那 4月12日生まれ。


力 単純な力で言うなら通常じで常人の限界値を突破してさらにその限界に。

気力を使うとその壁も超え超人レベル。今回取得した魔法付加は通常魔法でちょい能力アップ。

ダブルチャント状態でそれだけで気力の8割程度の力。トリプルチャントで気力付加より強力に。

しかし、トリプルは負担が強く多様厳禁。容量と用法を守って正しく使います。

ただ、まだ主人公には神気と呼ばれるものとさらにもう一つ付加が残ってます。

さて、どうなることやら、乞うご期待。


技 瞬刻永神流、一閃、画龍点睛、龍牙追、翔波閃。家事スキル高し。実は執事の真似事の様な特訓を受けていたり。

一応、気力付加、魔力付加、魔力増幅追加で。


魔法 しょぼいフレイムアローが今では立派な子に(涙)

ダブルチャントでフレイムアローが超強力に。

トリプルチャントでフレイムアローが対戦車ミサイルを凌駕するレベルにというか比較するのが馬鹿らしい矢に。


容姿 髪は相変わらず黒のショートボブ。目は黒。顔はやっぱり女の子に間違われるレベル。まだ女体化してないのにすでに可愛い。

体はまだ発展途上だが、現段階では限界まで鍛え上げた筋肉に包まれている。しかし、やっぱり筋肉質に見えない謎体型。

今回の食堂での騒ぎで注目度がアップして女装さてたいと思う輩が静那とか逆鬼とかアルとかアルとかアルとなナイアルねとか?


支持される層 主人公の鬼畜っぷりが食堂で発揮され支持率低下中 だけど物語の中では好感度上昇中の模様

女体化してからが本気なんだからねという、意見を某S・Tさんよりコメントを貰っております。


キャラを表すと 王子のキスで目覚めるヒロイン体質 男共を家畜呼ばわりするどS。でも女の子化すればやっぱりレジェンドオブヒロイン




第二の男 ルームメイト 読者の代弁者的役割を与えられし熱血馬鹿野郎 現在医務室待機中 アルフォート・マギヌス


力 刹那に感化されて早朝トレーニングに付き合った結果本気出して刹那に負けた馬鹿。次回かその次でランスのデバイス取得予定。

ランスの技は現在考え中。しばし待たれよ旅人よ


魔法 フレイムアローは属性的関係によりしょぼいと判明。しかし、ロックアローは刹那の通常フレイムアローと同程度だとか。

ただ、アルも魔力増幅は当然使えるわけで使い方次第でいくらでも強化できそう。


変身 デバイス取得時にバリアジャケットも装備。現在は登場してからずっと学生服のまま。変身シーンまであと少しファイト俺?


容姿 髪は短め、目と髪が黄土色。顔は男っぽさのあるちょっと残念なイケメン。

ボウ医務室の方からのコメント追加。「しゃべるとさらに残念になるのね」だそうです。


支持される層 ガチムキ兄貴 暑苦しい奴 馬鹿共 男気を見せる出番がなくまだまだモテ期ではない。ちなみに登場してくるモブは意外とアルの事が好きだったりする。


キャラを表すと 1人だけ男で疎外感を感じ始めてる、根は寂しがり屋な馬鹿な真似もただのかまってちゃんなアル君でした。




第三の男 ルームメイト2 遂に主人公を救うという名目で唇を奪った、男の娘(なんか字に変化が)。魅了能力ヒロイン ミリスティム・セフィラム


力 相変わらず女の子レベル。魔力付加ができることが確定、だけど既に魔力付加を覚えた刹那より弱い。やっぱり女の子でOK?な感じの男の娘レベル


技 コンダクトは主人公との契約。家事能力は結構ある。武術系統全般ダメポ。相手の力を利用する合気道すら使いこなせない残念さん。

ただし、いつかは男として見返すと息巻いているので暖かく見守っててください。


変身 アルのデバイスを作る時に一緒にできます。戦闘服は執事服。字はコンバットバトラー


容姿 次回詳しく書くと書いておきながら書けなかったのでまた繰越orz


支持される層 男同士のキスが許せる方 腐な方々 魅了され始めた寮生一同 新たなるジャンルを開拓するベンチャーな方々






ヒロイン説明


今回から変更があってもなくても書いておく。前のページ見るのめんどいかもと思ったので。



ヒロイン1 皆の妹と言うと「いいえ私はお兄様だけの妹です」と言う。キングオブ妹ヒロイン 時乃宮奏


力 多少の気のコントロール可能な為、意外と強い。神気は刹那君が気の乱れを感じ始めたのでそろそろ覚醒か!?

神気を纏った奏さんはヒロインにあるまじき力技を使う可能性有り。


技 素敵な笑顔をあなたに届ける。パーフェクトスマイルと。泣き顔しながら上目線の誘惑攻撃。現在技の追加は刹那と同時の予定。


魔法 まぁ、どんな魔法もそつなくこなし、炎と雷系は正に神がかり的。まだ体調が回復していない模様なのでそろそろスカウターがパリンしそう。

使えばたちまち最強クラスの化物になること確定か!?


変身 まだ書かれてませんが黄色と赤が使われる予定。デバイスは杖を選択した模様


容姿 髪は黒のロング。瞳は刹那とお揃いの黒。顔はこの世で表現できる限り最高の顔…の一歩手前。なぜなら一番は主人公に奪われるから♪哀れなり奏さん

身長体重BWHは乙女の秘密。正し12歳にして既に男性をその気にさせる色香を纏っているのでご想像にお任せします。


支持される層 妹萌えの方々 妹萌えの方々妹萌えの…以下永遠と 真面目に書けば男も女も魅了するので全層射程のスーパーヒロイン


キャラを表すと 妹分担当なのにお兄様しか目に入らない超絶ブラコン妹。読者様に対しても「私を見て良いのはお兄様だけ」と言ってしまう危険物指定系妹




ヒロイン2 皆のアイドルお嬢様。聖女の如き微笑みになぜだか萌え〜な言葉遣いの リース・フラメル


力 通常時ひ弱。とある技法は魔力付加でした。使っても常人よりちょっとだけ動ける程度


技 魔法担当なので技がでない可能性あり。力も無く技もないが氷系魔法の腕だけは超逸品。

刹那君のちょっかいで技が完成するのか乞うご期待。


魔法 水の属性のハイシングルなので聖属性の氷を使える。とにかく回復はこの人にお任せというお助けキャラ。


変身 まだ書かれてないのでしばしお待ちを。とりあえず青色なのは確定要素


容姿 見た目は先にウェーブが掛かった長めで水色に白を混ぜた様な色の髪に青い瞳。とてもおっとりとしている感じの顔立ちでとても可愛い。可愛さランクは10段階で8だがお好きな人には未知数。

身長体重BWHは乙女の秘密。まだまだ体は発展途上。餅をつく音が聞こえてくるような…


支持される層 何だか癒されたいと思う人々 言葉遣いが何故か萌える方々 普通に好みの方 ちなみに回復魔法を受けるともれなく惚れさせるスキル持ち


キャラを表すと 一見普通の美少女だが好みにハマると中毒になる可愛さ。言葉遣いもちょっと僕っ子よりなのが特徴のおっとりお嬢様。常に皆の心を癒す聖女様系ヒロイン。





毎回長くなって行く後書き、これは書籍化しても載せられない部分なので小説家になろう限定特典とも言える物ですたい。


作者は後書きが長くなってしまう呪いに掛かってます。


さて、--------ここまで読んだ-------方々は勇者の称号を与えましょう。


それでは毎度お馴染みのセリフと共にお別れしましょう。


目指せ書籍化!現在7話までですけども頑張って参りましょう。


後、ブックマーク登録の伸び悩み中ですので皆さん御慈悲を下さいorz


では評価、感想お待ちしております。ちなみに感想くれた方ありがとうでした。


他の方もよければどんどん感想をば


今回も後書きの最後は使い回しの使い回しです。


というか最後の言葉はやっぱり書籍化目指して頑張るぞかな?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ