戦士達の一日
メインに出てきてませんが誕生日の設定がされているのでハッピーバースデー楓さん。
ということでバースデー更新です。
楓さんの出番は全くありませんが忘れないでいてくれると嬉しいです。
それでは早速本編をドゾ!
では神超新章第四章第58話「戦士達の一日」をどうぞご笑覧あれ。
実技の授業が終わり刹那と奏は実技場の更衣室に居た。
「う〜ん……やっぱり慣れないわね……というか皆見てない?」
「お姉様ったらいやらしいです……でも確かに注目されてますね?授業開始前も着替えてましたがここまで注目はされていなかったと思います」
「そうよね?」
刹那と奏は顔を見合わせて首を傾げた。
しかし、周囲は刹那と奏に絶賛注目中であった。
「刹那様が着替えてるわ……なんか照れてる感じですね?というかもじもじしながら着替える刹那様可愛い〜」
「刹那様って下着縞々なんだね。なんか可愛いですね」
「奏様は照れてる様子ないですけどなんで刹那様照れてるんでしょうかね?」
「刹那様は凛として堂々とした感じだからこれはギャップがあって凄い破壊力ね」
「奏様は正に奏様って感じの清楚な白の下着ですね……でも結構いい下着そう……」
「刹那様は青の縞々の上下で、奏様は白のレースが可愛い上下ですね……」
何故か着替えをガン見され、挙句は下着のリサーチまでされる刹那と奏であった。
刹那は着替え終えると奏と教室に戻る。
そして、担任であるフリアから連絡事項が伝えられる。
「えー、時乃宮姉妹は明日と明後日はテストを受けて貰う事になったので普通の授業は受けないでいいぞ。他の空き教室でテストを受けて貰うからな」
「えっと、急にテストですか?」
「ああ、一年の総合テストだ。皆は二年進学時に既に受けている。なのでお前達も受けて貰う事になった」
「フリア先生。一年の総合テストというと一年時の授業内容が問題になるんですか?」
「そうだが、なにか問題か?」
「それでしたら私とお姉様に一年の教科書一通り貸していただけませんか?一応万全の状態で受けたいので」
奏がそんな申し出をした。
刹那もなるほどと思った。
刹那は既に高等科の分のテストも第七学園で受けているから問題はないと思うが万全に越したことは無いので奏の案は素直にいいなと思った。
そして、奏の申し出をフリアも了解した。
「わかった。それじゃあ、30分後に職員室まで来てくれ。さて他に問題はないな?では解散」
そういうとフリアは教室から出て行ってしまう。
すると、周りの生徒達もこぞって教室から出て行ってしまう。
「皆さんすぐに教室を後にするんですね?自己鍛錬でもするのかしら?」
「う〜ん、なんか違う気がしますけど……」
そんな感じで刹那と奏が唸ってると教室を後にしなかったキアーラとキュカがやって来た。
「お疲れ様。刹那さん、奏さん」
「お疲れ様です。刹那さん、奏さん」
「お疲れ様。キアーラさんにキュカさん」
「お疲れ様です。キアーラさんにキュカさん」
刹那と奏、それにキアーラとキュカ互いに労った。
その後キアーラが話し始める。
「それにしても刹那さんさっきの戦い見事だったね」
「そうですかね?結局リーシャさんにいい様にやられてしまっただけの様な気がしますけど」
「とんでもない。リーシャさんとあそこまで戦えるだけで凄いですって」
「そうかしら?」
「そうですよ。皆も刹那さんの戦いっぷりに熱狂してましたよ!それにしても刹那さんあれで火属性がシングルとか信じられません」
「事実そうですから、そこは文句言われても困るんですが……」
「いやいや文句じゃないですよ。ただ凄いなって……でもなんでシングルなのにハイ属性に対抗出来るんですか?」
「それはまぁ、そういう技があるとしか答えられないんですが……」
刹那は魔気混闘を説明するかどうか迷ったが誤魔化す事にした。
何故なら魔気混闘はセレナ曰く禁書に記されていた様なので不用意に広めるのもどうかと考えたからである。
まぁ、気を使えなければどの道使えないので言ってもいい気もするのだが……。
そして、刹那の話題から奏の話題に変わる。
「奏さんも凄かったですよね!」
「はぁ……私ですか?特に珍しい魔法を使った訳では無いですけど?」
奏は真剣にそう思っている様で刹那が奏の顔を見ても本当にそう思っている様であった。
しかし、奏を凄いと言ったキュカはそれを否定する。
「奏さん何言ってるんですか!蒼い炎ですよ!あんなの使う人初めて見ました!」
「確かに蒼い炎を使いましたが、使ってた魔法は何度も使ってた魔法ですよ?」
「いや蒼い炎ってだけで凄いですって!」
「蒼い炎ってそんなに珍しいですか?誰か既に使われてる方がいるのでは?」
「そんな話し聞いた事ないよ?それに私達の間ではいかに真紅の炎を使えるかの方が重要視されてるから……真っ赤な炎の方が凄いって認識だよ」
「そうなんですか……まぁ考えは人それぞれではないですか?それに蒼い炎は確かに威力はありますがまだまだ未熟です……それに多分お姉様も使えるんじゃないですか?」
「えっ?私?う〜んどうかしら……蒼い炎ってのがそもそも分からないですけど?」
「えっとですね!奏さんがサラさんと戦った時に使った炎の魔法で、色が蒼いんです!」
「へぇ、そんな魔法使ってたの奏?」
「えぇ、お姉様。でもお姉様も使えるんじゃないですか?こんな感じです」
奏はそう言うと人差し指を立てて炎を出す。
見事に赤い炎が蒼い炎に変わる。
それを見た刹那は物は試しと人差し指を立てて炎を出す。
そして、意識的に蒼い炎を作り出していく。
「おお!刹那さん凄い!蒼い炎が出ましたね」
「本当だ!刹那さん凄い!奏さん以外でも蒼い炎って出せるんだね」
キアーラとキュカがそう言って騒ぎ出す。
しかし、刹那は微妙な表情で告げる。
「いえ、私には使いこなせないわね……ほら」
刹那がそう言うと指先の炎が蒼から赤に戻っていく。
そこで刹那が説明する。
「どうやら蒼い炎は魔法回路を酷使するみたい……それに魔力も結構食うわね……とてもじゃないけど私では実用に耐えないわ」
「本当だ刹那さんの炎、赤に戻っちゃったね」
「でも刹那さんも蒼い炎出せるのは驚いちゃったね……でも魔法として行使出来るのは奏さんだけみたいだね」
「そうみたいですね……奏もよく蒼い炎なんて出したものね……」
「お姉様ちょっと羨ましいと思ってませんか?」
「すっ、少しね……」
刹那はそう言うと顔をぷいっと背ける。
奏は中二真っ盛りなお兄様らしいなと刹那を見ながら笑顔を浮かべた。
ちなみに今は本当に中等部二年に編入してるので正に中ニなのであった。
そんなやり取りを見て居たキアーラとキュカも笑うのだった。
そして、話は先程の話に戻る。
「それにしても刹那さんの戦いぶりが凄かったよね!」
「え〜奏さんの戦いも凄かったんだよ!」
「え〜刹那さんだって!」
「奏さんだよ〜!」
「ちょっと、2人共落ち着いて。私も奏も凄かったって事でいいじゃないの」
「そうですよ。まぁ、お姉様が凄いのは今に始まったことじゃないですけどね?」
「ちょっと奏。貴女も凄いって言われてるんだから私の事はいいじゃない」
「だってお姉様は凄いですもの色々と……そうだ、今日の夜ご飯どうするんですか?」
「あ〜夜ご飯ね……」
刹那と奏が夜ご飯について話し始めたので言い合っていたキアーラとキュカも一旦話しを中止して刹那達に疑問を投げかける。
「えっと、刹那さん?なんで夜ご飯の話ししてるの?お腹減っちゃった?」
「あっ、いえ、そういうわけではないんですけど……ねぇ、奏?」
「はい。お姉様と私は夜ご飯限定で寮の料理を手伝う事になってまして」
「えっ!刹那さんと奏さん料理するの?……でも寮の料理手伝うってどういう事?」
「えっとそれは……」
刹那は事のあらましを簡単に説明する。
するとキュカ驚いた様に声を上げる。
「あ〜!そういえば昨日寮でクッキー食べた!そっか!あれ刹那さんお手製だったんだ」
「えっキュカなにそれ!私知らないんだけど!」
「キアーラは遅くまで鍛錬してていなかったからじゃないのかな?」
「えっずるーい!私も刹那さんのクッキー食べたいなぁ!」
キアーラがそうごねるので刹那はキアーラに言う。
「そうね……クッキーは無理だけれど今夜の晩御飯のデザートは私が作りますからそれで勘弁してください」
「えっ!デザート刹那さんが作るの?」
「えっと、多分ラウラさんに頼めば作らせてもらえると思います」
「わっ!私期待しちゃいます!」
「ずるいキュカ!私も期待しますよ刹那さん!」
「お姉様そろそろ職員室に行きませんか?」
「そうだったわね。という訳だから2人共詰め寄らないで……」
結局詰め寄られた刹那はキアーラとキュカにデザートの約束をして職員室に向かった。
「お姉様災難でしたね」
「本当にそう思ってる奏?」
「少しだけは……」
「はぁ……」
刹那と奏はそんな話をしながら職員室を訪ねた。
すると直ぐフリアは見つかり必要な教科書類を受け取る。
「それは貸出だから終わったら返せよ。後、無様な点数は取るなよ……お前らはもう自分達だけを心配してていい段階じゃないからな」
「えっと……それはどう言う意味ですか?」
「すぐに分かると思うぞ。ここは女学園だからな……嬢ちゃん達の情報伝達速度は凄いからな」
「はぁ……」
「まぁ、これからはせいぜい見限られない様に頑張るんだな」
フリアはそう言って刹那と奏を送り出した。
刹那はその意味が分からず奏に話しかける。
「ねぇ、奏?さっきのフリア先生の話し分かった?」
「いえ、お姉様が分からないのに私が分かる筈ないですよ」
「なんだったのかしらね」
刹那はそう言いながら首を傾げた。
そこで奏が晩御飯の話しを振ってくる。
「お姉様。そういえば晩御飯のデザートどうするんですか?」
「一つは決まってるのだけど、もう一つはモールに出てからかしら」
「という事はこの後一旦モールに行くんですか?」
「えぇ、ちょっと目的の品があるか不安だけれど多分あるんじゃないかしら?」
「何をお求めなんですか?」
「それは行ってからの秘密よ。それじゃあ荷物を置いたらラウンジで合流しましょう」
「分かりましたお姉様。ではまた後ほど」
そう言うと刹那と奏は各自の部屋に戻った。
刹那は部屋をノックするが返事は無い。
なので鍵でドアを開けて部屋に入る。
どうやらリーシャは留守の様である。
カバンも無い所を見るとどうやら学園にまだ居るようであった。
「ふぅ……リーシャさん護衛対象なんですけどね……こうも寮に居ないと少々厄介ですね……」
刹那はそう1人ごちて荷物を整理する。
教科書類を机に積み上げて置いてすぐに部屋を後にする。
一方の奏はというと部屋の前にいた。
扉をノックするとどうぞと声がしたのでそのまま入る。
「サラさん、もうお帰りだったんですね」
「えぇ、少々調べたい事が出来ましたので……」
「そうなんですか?」
奏はそう相槌を打ちながら多少浮かれた気分で荷物の整理をする。
するとサラからツッコミを受ける。
「奏さん?なんでそんなに楽しそうなんですか?」
「えっ?そう見えますか?」
「えぇ。とても浮かれてるように見えます」
「これからお姉様とモールに買い物に行くからでしょうか……」
「そう。貴女はお姉様が大好きなのですね」
「えぇ、お姉様は私の全てですから」
奏がそう言うとサラは寂しそうな顔で笑った。
「羨ましいですね……私はあまり姉とは仲良くありませんから……昔は仲良かったんですけどね……」
「えっと……なんだが申し訳ありません。私浮かれてしまってて……配慮にかけました」
「いえ、いいんですよ」
「でもなんで仲悪くなってしまわれたんですか?」
「王族故の継承権の問題からかしらね……奏さんも継承権はお姉さんが持ってるんでしたよね?」
「えぇ、一応は……」
「それで仲がいいというのは羨ましいですね……私の国は姉と私の派閥を貴族達が作ってしまったので仲良くはできなくなってしまいました」
「そうですか……」
「感想はそれだけですか?」
「私は王族としての生活よりお姉様の妹という生活の方が長かったですからね。サラさんの様な環境が分かりかねます……想像はできますが……」
「そう……私も妹として見てもらえると嬉しいんですけどね……まぁ、姉が正式に立太子なされれば関係も改善されるかしらね」
「早く仲良くなれるといいですね」
「えぇ、そうね。それはとりあえずいいとしてこんな長話してていいのかしら?愛しのお姉様が待ってるんじゃないの?」
「あぁ、そうですね……それでは行ってきます」
「愛しのって所否定しないのね……」
「えぇ、だって本当の事ですから。では失礼します……サラさんも調べ事は程ほどにしてくださいね。晩御飯はきっといい事あるので」
「はぁ……誰のおかげで調べ事しなくちゃならなくなったと思ってるのかしら……まぁ、晩御飯も気になるのでそれまでには切り上げますよ」
奏はそんなサラの言葉を聞きながら部屋からラウンジに向けて出発した。
その頃、ラウンジでは刹那がマルカに捕まっていた。
「刹那お姉様!今日新しい二つ名を得た人が出たそうなんですが知りませんか?」
「二つ名?それって何?」
「えっと有名どころで言うと三年生の生徒会長で序列一位の業炎の姫でしょうか……」
「業炎の姫?へぇ……それが二つ名なの?でも姫って大層な名が付けられてしまってなんか重そうですね」
「あぁ、業炎の姫って二つ名だけじゃなくて本当のお姫様ですよ。イラリア・ヘスウル・ウトキン様……ヘスウル王国の第一王女ですよ」
「へぇ……サラさん以外にもお姫様居るんですね……」
「サラ様は才炎の姫の二つ名持ちですよ。それにしても刹那お姉様よくサラ様知ってましたね?昨日転入してきたばかりなのに」
「奏のルームメイトですし、クラスも同じですしね」
「えっ?」
刹那がサラについて話すと何故かマルカが固まって居た。
よくわからなかったので刹那は静かに問いかけた。
「マルカ?おーいマルカ?」
「えっ!あっ、はい。ちょっと混乱してました……」
「混乱って?」
「つかぬ事をお聞きしますが刹那お姉様ってサラ様と同じクラスという事はS組ですか?」
「えぇ、言ってなかったかしら?」
「聞いてませんよ!刹那お姉様がS組……えっ……どういう事……」
「ちょっとマルカ大丈夫?」
「あはははは……ちょっと混乱してます」
マルカがこんな調子になったところで奏がやって来た。
「お姉様お待たせしました。あら、マルカさんとお話してたんですか?」
「えぇ、そうなのだけど……」
「あっ、奏様ごきげんよう」
「えぇ、ごきげんよう。それでなんでマルカさんは混乱してるご様子なの?」
「いぇ、それが私達がS組という事を話したら混乱し始めて」
「そうなんですか?なんででしょうね?」
「それより奏が準備出来てるならモールに行きたいのだけれど?」
「マルカさんはいいの?」
「ちょっと意識がどっかに旅立ってるみたいですし……そっとしておきましょう」
「お姉様がそう言うなら……」
刹那は何処かに意識が旅立っているマルカを放置してモールに向かう事にする。
奏は刹那がマルカを放置した事に少々驚いたが、話がよくわからなかったのでとりあえず従うのであった。
こうして、モールに辿り着く。
そこで奏が今回の目的を刹那に聞く。
すると刹那は説明を始める。
「今回、晩御飯のデザートを作るという事で材料を求めに来たんですけど」
「お姉様は何を作るおつもりですか?」
「ふっふっふ!杏仁豆腐を作るつもりです!」
「えっ!杏仁豆腐を作るんですか?材料あるんですか?」
「そこで薬局?というか薬草とか取り扱ってる店を探す事にしたのですけど」
「けど?」
「何処にあるんでしょうかね?」
刹那がそう言うと奏ががっくりと項垂れた。
刹那的には別に来たばかりの場所だし知らないのは当然だと思うのだが、奏は明らかに呆れていた。
「お姉様……ちょっと行き当たりばったりすぎですよ……」
「そうかしら?まぁ、適当な店に入って事情を説明すれば多分場所を教えてもらえるでしょ」
「そうでしょうか?」
奏が不安そうにしているのを無視して刹那は適当な店に入る。
そこで薬になる薬草等を扱うお店を紹介してもらえた。
「ほら、なんとかなったでしょ?」
「えぇ、そうですねお姉様……でそのお店はここでしょうか?」
「そうみたいね……では入りましょうか」
刹那と奏はお店に入る。
そして刹那は店の中を見回る。
数十分後。
「奏!凄いわよここ!薬草や薬の原料にスパイス類もたくさん置いてあったわ」
「お姉様はとても楽しそうですね」
「えぇ!見た事ないものもあるけれど、知っている物もかなりあったわ。これならスパイスをふんだんに使うカレーも作れると思うわ!」
「お姉様?杏仁豆腐を作るんじゃなかったんですか?」
「あぁ、そう言えばそうでしたね。大丈夫ですよ!ちゃんと見つけましたから!」
「えっ?本当ですか?」
「えぇ、ほらこれとこれ」
「確かにアーモンドに似た種ですね」
「ちょっとお店の人に聞いてくるわ!」
「ちょっとお姉様!?」
驚いている奏を放置して刹那は店主に話しかけている。
ちなみにこのモールの従業員まで全て女性という徹底ぶりに奏は驚いていた。
刹那はそんな奏の気持ちに気づかない様で話に夢中である。
やがて話がついたらしく、奏の元に戻ってきた。
「奏、奏!」
「なんですかお姉様?」
「この種とこの種って違い分かる?」
「違いですか?えっと……」
奏が悩んでいると刹那が説明を始める。
「どうやらこちらが苦味が強い種で、こっちが苦味が弱い種らしいの」
「へぇ……という事はもしかして苦杏仁と甜杏仁ですか?」
「ビンゴ!正解よ!しかも苦い方が薬効が強いからって甜杏仁の方が安いんですって!」
「あぁ……確かに苦杏仁は苦いですからね……杏仁豆腐には甜杏仁を使うのが普通ですしよかったじゃないですか」
「そうなのよ!杏仁豆腐作るには甜杏仁を使うから安く済んでラッキーです!」
「お姉様……所で寮の料理に使うんですよね?費用はどうするんですか?」
「それはね……じゃじゃじゃじゃーん!」
刹那はそう言うと奏にカードを渡す。
そのカードには職員の役職などが記されている。
しかし、注目するべき場所は調理師という所である。
「お姉様……このカードって?私が職員になってますけど……しかも調理師」
「そうよ。私のもあるわよ。今日の朝、鍛錬に行く時にラウラさんに渡されたのよ。食材を仕入れる時に必要だろって!」
「どういう事ですか?……もしかしてこれって支払いできるんですか?」
「出来るみたいよ!まぁ、悪用するなと注意は受けてますけどね」
「確かに悪用したら大変ですね……でも私達の学生証でも学園持ちで買い物出来ますし悪用する必要ありませんね」
「まぁ、そうなんですけどね。さて、私はこの種を仕入れてくるから……後気になった物もとりあえず全部買っていこうかしら……」
「お姉様?無駄遣いは駄目ですよ?」
「研究には多少の犠牲は付き物なのです!」
刹那はそう言うとさっさと商品を見繕っていた。
奏も結局気になる香料等を買って帰る事になった。
「お姉様……帰ったら早速杏仁豆腐作りですか?」
「もちろんそうよ!いかに私でも時間は掛かりますからね。奏は楽しみ?」
「えぇ、杏仁豆腐ですから楽しみですよ……ただ」
「ただ?」
「お姉様のマル秘プリンが食べたいなぁ〜と……杏仁豆腐を思い描いたら似た容姿のプリンが思考に乱入してきまして……」
「奏!正気に戻りなさい!私達は杏仁豆腐をこよなく愛する杏仁星人の筈!敵方であるプリン星人になるつもり!」
「お姉様!確かに私も杏仁豆腐は大好きです!でも!それでも敢えていいましょう!お姉様のプリンは至高であると!」
「確かに私のプリンは完全にオリジナルのマル秘プリンです。私も時には食べたくなります……でも敢えて言いましょう!杏仁豆腐こそ飽きが来ない究極だと!」
「お姉様……プリンを作ってください……実は時々夢に見るほどにお姉様のプリンが恋しくなってたんです!」
「でも……今日は杏仁豆腐の日と決めてるんです!材料だって買ったでしょ?奏!思い直しなさい!」
「嫌ですお姉様!プリンが食べたいです!もちろん杏仁豆腐もいただきますが……でもどうしてもプリンも食べたいんです!」
「そんな事言われても……」
「プリンなら寮に材料あるでしょうから作れますよね!皆さんだってお姉様のプリンを食べたいと思います!」
「でも折角杏仁豆腐をこの世界に伝導する機会に恵まれたというのに……」
「どうしてそんなにプリンを作りたくないんですか!」
「はぁ、わかったわよ。プリンも作ります!でもたぶん戦争が起こるわよ?いいの?」
「えぇ、望む所です!この世界にもプリンは有るでしょう!しかし、お姉様のプリンが至高である事を証明します!」
「ふふ!杏仁豆腐こそこの世界に革命を起こすと私は思いますけどね!」
「お姉様しつこいですね」
「奏こそプリン、プリンと言ってるでしょ!」
その後2人は第一次プリン、杏仁豆腐戦争を巻き起こしながら帰寮するのであった。
白熱した論争も結局は刹那は杏仁豆腐押しで、奏はマル秘プリン押しという感じで平行線を辿っていた。
そんな状態でラウンジに入ると刹那達を見つけたマルカが近寄ってきた。
「刹那お姉様、奏様お帰りなさい。それで刹那お姉様!ちょっとお聞きしたいんですけどいいですか?」
「えっと、何かしら?」
「刹那お姉様ってどっちなんですか?」
「えっ!なっ、なんの事?」
「ですからどっちなんですか!」
マルカは凄い勢いで刹那に迫ってきた。
刹那は一瞬性別がどちらなのかと問われてる気がして萎縮してしまった。
そこでマルカが言う。
「刹那お姉様ってお姫様なんですか?」
「はっ?」
「ですから刹那お姉様はお姫様なんですか?」
「私がお姫様?あははは、ない、ない」
「お姉様……」
奏が刹那の反応に無言の圧力を掛けてくるが刹那は男なのに姫とか無いでしょと内心思いながらそう答える。
しかし、マルカは真実を知らないので食いついてくる。
「ない、ないってどうしてですか?刹那お姉様なんだか気品あるし、もしかしてお姫様なんじゃ……」
「お姫様ね……それなら妹の奏かしらね。一応本物のお姫様よ。それに元の学園では炎雷の舞姫と呼ばれてたわよ。ね、奏?」
「えぇ、確かに炎雷の舞姫と呼ばれてたみたいですね……」
「えっと……奏様って二つ名持ちだったんですね……でも刹那お姉様はお姫様じゃないんですよね……ではもしかして……」
そこまで言うとマルカの一瞬瞳がキラキラと輝き出す。
しかし、次の瞬間申し訳なさそうにした後刹那に聞いてくる。
「刹那お姉様って勇者ですか?」
「えっ?勇者って……どうしてそう思うの?」
「えっと、これは侮辱してるわけじゃないんですけれど、さっき二つ名を得た生徒が出た話はしましたよね」
「確かにしたわね。そんな話……」
「それが2人二つ名を得た人が居たみたいで1人が蒼炎の姫……そしてもう1人が……えっと……色無しの……勇者って聞いたんです」
「蒼炎の姫に色無しの勇者……えっと、憶測でいいなら話せるけどいいかしら?」
「はい!教えてください」
そういったマルカはまたまた瞳を輝かせていた。
そして、刹那は推測で話しをする。
「多分色無しの勇者?は私の事だと思うわ……」
「えっと……刹那お姉様って勇者なんですか?」
「いえ、違うわよ。ただ、瞬間移動が出来るからフリア先生にも聞かれたわ。でも私は勇者ではないわ。瞬間移動は使えますけどね」
「えっ?瞬間移動って勇者の御業じゃないんですか?」
「まぁ、普通はそうみたいですけど私は特別といいますか……まぁ使えるの」
「はぁ……じゃあやっぱり色無しの勇者って刹那お姉様だったんですね……S組で二つ名持ち……凄すぎです……でもそうなるともう1人の蒼炎の姫は……」
「それは奏かしらね」
そういうと奏が同意の意を示す。
「はい。たぶん私の事だと思います。蒼炎ですか?それを使うのは私だけの様ですから」
「じゃあ、奏様が蒼炎の姫なんですね!しかも元の学園でも二つ名持ってたんですよね?二つ目とか凄いです!」
「あまり嬉しくは無いですけどね……有名になるより静かに暮らしたいわ」
「奏様贅沢な悩みですね……それで刹那お姉様が色無しの勇者で、妹の奏様が蒼炎の姫の二つ名を得るなんて凄いですね……姉妹揃って二つ名……尊敬します!」
マルカはそう言いながら白熱してる様であった。
その様子を伺っていた他の寮生も刹那達の元へやって来た。
「お話聞いてました……刹那様!色無しの勇者の二つ名おめでとうございます!凄いです!入寮二日目で二つ名!」
「本当ですよね!奏様もまさかお姫様だったとは!しかも二つ名も蒼炎の姫と決まったみたいですし凄いです。おめでとうございます!」
「わっ、私刹那様……色無しの勇者様のファンになりました!」
「私も色無しの勇者様のファンになりました!私C組なので色薄いですけど刹那様の二つ名に勇気を貰えましたから!」
「私も!」
「はい!私も!」
刹那を囲む女の子達が次々に刹那にファン宣言をしていく。
それを楽しそうに眺めていた奏にも女の子が群がり始める。
「私は奏様の……蒼炎の姫のファンになりました!」
「私も……奏様って刹那様を見てる時優しい表情になるともっぱらの噂になってましたけど本当ですね!」
「本当!何だか恋する乙女の様な魅力的な瞳をしてます!まぁ、刹那様は奏様のお姉様なんですが」
「私!奏様のファンクラブに絶対入ります!」
奏も結局囲まれて女の子にファン宣言をされるのであった。
ラウンジでそうこうしてる内に刹那はそろそろ調理に向かわないといけないので皆に言う。
「ちょっと皆さん落ち着いて!私と奏はこれから調理しないといけないから、キッチンに行かないと」
『えぇーーーそんなーーーーーー』
「その代わり今日は私がデザート担当するから、楽しみにしててね!凄い美味しいデザート用意するから、ね?」
『はぁーーい』
刹那がそう言うと皆はぁーいと答えてくれた。
この寮の子は皆聞き分けがいいなと刹那は微笑むのであった。
そんな刹那を見て居た奏も微笑みながら刹那の後に続く。
そして、キッチンに到着する。
そこで、刹那は料理長であるラウラに今日のデザートを任せて欲しいと願い出る。
すると、ラウラは苦笑しながら話す。
「刹那がデザートを作るのか……そうするとメインの人手が減っちゃうな……」
「今日のメニュー見せてもらっていいですか?」
「あぁ、いいが?ほれ」
「失礼します。えっと……はぁ、奏これ」
「はい、お姉様」
刹那はそう言うと奏にメニューを渡す。
すると奏がメニューを読んだ後に料理長に質問する。
「えっと、これなら私でもいけますのでお姉様はデザートに専念させてあげてくれませんか?」
「えっ?奏このメニュー作れるのか?」
「一応すり合わせは必要ですけど私の言ってる事が正しければ作れます」
「それじゃあちょっと話すか……」
ラウラは半信半疑の様で奏と話していた。
しかし、話が終わると共に驚きながらラウラが言う。
「多少の違いはあるが完璧だ……奏はアシストばかりしてたからサブと考えてたんだが……メイン行けるな」
「ありがとうございます。では私が今晩はお手伝いするのでお姉様はデザートを作ってください」
「ありがとう奏。それじゃあラウラさん。私はデザート作りに取り掛かりますね?」
「あぁ、それはいいが何を作るんだ?」
「プリンです」
「プリンか……まぁいいんじゃないか?」
そういいながらラウラは少々寂しそうな表情をしていた。
多分刹那が新しい料理を作る事を期待していたのであろう。
その事が分かっていた刹那は追撃に入る。
「後、杏仁豆腐を作りますよ」
「杏仁、豆腐?」
それを聞いたラウラの瞳は輝いていた。
先程のマルカに劣らない輝き様であった。
そして、興味深そうに聞いてくる。
「刹那。それはどんなデザートだ?」
「薬膳料理が源流のデザートで、宮廷の満漢全席という料理にも採用されてる凄いデザートです」
「ほう、薬膳料理か……そして宮廷料理……興味深いな」
「後は出来てからのお楽しみです!出来て食べてから感想をください。後プリンの感想もよろしくお願いします」
「分かった。プリンもちゃんと感想言うよ」
「では調理に取り掛かります。奏も頑張ってね」
「はい、お姉様。お姉様こそ頑張ってください!」
「お姉ちゃんに任せなさい!」
刹那はそう言いながらウインクをする。
そのウインクはかなりの破壊力で奏の頭を一瞬で真っ白に染め上げる。
その後奏はウキウキ気分で通常の倍の働きをするのであった。
ちなみにそのウインクを見たラウラも刹那のウインクに一瞬心を奪われる。
刹那のウインクの破壊力に苦笑しながら調理に取り掛かるのであった。
そして、刹那達調理師が一気に料理を作っていく。
特に今回の奏はメインの料理から全部の料理をアシストする神がかり的働きをしてラウラ達を唖然とさせるのであった。
一方、刹那もデザートをどんどん作っていき時間いっぱいまでマル秘プリンと杏仁豆腐を量産するのであった。
そして、いよいよ料理が運ばれていく。
刹那は杏仁豆腐を運び、奏がプリンを運んでいく。
ちなみにキッチンでは調理師達の間で既に戦争が勃発していた。
第二次プリン、杏仁豆腐戦争開幕である。
調理師達は杏仁豆腐の新しさと美味しさを評価するが、既にあったプリンを至高と思わせるまでの味に仕立て上げた事に驚き議論が白熱する。
ラウラも杏仁豆腐はかなりぐっと来ると思う。
しかし、刹那のプリンはかなりのインパクトがある。
いままでの常識を崩すプリンは恐ろしさすら感じるのである。
結局ラウラもどっちが上か決めかねる。
というかぶっちゃけどっちも食えばいいのではと考えを放棄し始めていた。
だが、刹那と奏の確執は終わっていなかった。
刹那は杏仁豆腐を運んで皆に大声で呼びかける。
「さぁ!寮の皆さん新作デザートの杏仁豆腐ですよ〜!一度食べたら病みつきですよ!でも薬膳料理なので体にはいいです!」
刹那のその宣伝で皆が興味深そうに次々と杏仁豆腐を取っていく。
一方奏も負けじと宣伝する。
「皆さん!これこそはこの世界で最高峰の刹那お姉様秘伝のマル秘プリンです!こちらも一度食べたら病みつきです!というかはっきり言って中毒になります!でも怖がらずに!それも宿命です!さぁ食べてください」
奏の妙に迫力のある宣伝に興味を惹かれたのかプリンもどんどん皆に取られていく。
刹那と奏はどんどんと皆にデザートを配る。
そして、皆がデザートを食し終える。
やはりというか、当然の結果というか寮の食堂は殺気立っていた。
第三次プリン、杏仁豆腐戦争勃発である。
「杏仁豆腐こそ最高だわ!こんなの食べた事ない!美味しすぎる!」
「いいえ、既にあったプリンをここまで美味しく作り上げられては、刹那様のマル秘プリンが最高と言わざるおえないわ!」
「違うわよ!杏仁豆腐が究極のデザートよ!正にデザート革命だわ。美味しすぎる!」
「革命というなら既にあったプリンをここまで美味しくした刹那様のマル秘プリンの方が究極よ!」
「私は刹那様の味方よ!杏仁豆腐の勇者様に栄光を!」
「なによ!私達は奏様の味方よ!プリンの姫に勝利を!」
第三次プリン、杏仁豆腐戦争は何故か旗頭に刹那と奏が吸えられていた。
杏仁豆腐を勧めていた刹那は杏仁豆腐の勇者として、そして奏はプリンを勧めていたのでプリンの姫となった様である。
間違いなく刹那達の二つ名に由来しているのだろうが、そう呼称された当人達の頭は冷えていた。
「お姉様……杏仁豆腐の勇者って言われてますよ……正直カッコ悪い……いいえダサいです」
「奏こそプリンのプリンセスですよ……」
「プリンの姫であって、プリンのプリンセスでは無いです……というかそんな寒い事に気づかないでください」
「奏……杏仁豆腐も美味しいですけどプリンも美味しいですよね……」
「まぁ、正直申せば両方食べればいいだけです……私鍛錬してるんでダイエットとか気にする必要ないですし……」
「それ言ったら皆怒るんじゃない?」
「お姉様こそ体重なんて気にしてないでしょ……女の子としての自覚欠けてるんじゃないですか?」
「私にそれを言われても……奏は知ってるでしょ……」
「まぁ、そうですが……それはそうと、傍から見てるとこの言い争い案外馬鹿らしいですよね」
「まぁ、そうですね……まぁ、奏と喧嘩するのが楽しいから言い争ってただけですし……ちなみに一応杏仁豆腐押しですけど」
「私もです……お姉様とでなければこんな言い争いしません……ちなみに私はマル秘プリン押しです……」
「しょうもないですね」
「同意です」
刹那と奏は結局杏仁豆腐とプリンで争ってはいても仲はとってもいいのであった。
結局、その後杏仁豆腐連合とプリン連邦の血で血を洗う争いは寮の食堂で精魂尽きるまで繰り広げられたのであった。
そして、刹那と奏はキッチンで食事を済ませて、仲良く杏仁豆腐とプリン両方を食して互の部屋に戻る。
刹那は悲しき戦争後の疲れを引きずりながら部屋に戻った。
するとリーシャが待ち構えていた。
「刹那さん……貴女とことん問題を起こす方ですね……」
「えっと?何の事ですか?」
「プリン、杏仁豆腐戦争の事よ」
「戦争って物騒な……でもプリンも杏仁豆腐も美味しかったでしょ?」
刹那がそう言うとリーシャは顔を赤らめながら言う。
「確かに美味しかったわ。特に杏仁豆腐は凄く驚いたわ。まぁ、プリンも奏さんの言う通り病みつきになりそうだけど……」
「という事は杏仁豆腐勢力なんですか?」
「しいて言えば杏仁豆腐かな……」
「リーシャさん!」
「えっ!何!?」
刹那は突如現れた同胞である杏仁星人……もといリーシャに抱きつくのであった。
しかし、驚いたリーシャはパニックっていた。
そして、刹那の包容がようやく解かれた後、リーシャは刹那に文句を言う。
「刹那さん!いくら同性だからって抱きつかないで!驚いたじゃない!殴り倒すわけにもいかないし……あっ、でも刹那さんなら平気そう……」
「えっと、一応言っときますが殴り倒さないでくださいよ?」
「分かったわよ。それにしても驚いたわ」
「デザートですか?」
「違います。いえ、それもそうですが今日の実技です……正直引き分けになるとは思いませんでした……」
「あぁ、そっちですか……ええっと確かに引き分けでしたね……
「今までサラが唯一のライバルだったから、今日の戦いは驚きだったわ」
「がっかりされなかったなら良かったです」
「がっかりなんてしないわよ。色無しの勇者様」
リーシャは楽しそうにそう呼んだ。
その後リーシャはお風呂に行こうと刹那を誘った。
刹那としては行きたくない……いや行きたいが行き難い場所なので戸惑うが、リーシャが誘ってくれたのが嬉しくて一緒にお風呂に向かうのであった。
一方奏も刹那同様戦争後の疲労感を背負いながら部屋に戻った。
するとサラがまたまた仁王立ちで待っていた。
サラは仁王立ちが好きなのかなと奏はクスリと笑いながら部屋に入る。
そして、サラから話が始まる。
「奏さん!杏仁豆腐美味しかったです!ですがプリンは物凄く美味しかったです!既に知ってる物だっただけに衝撃でした」
「サラさん……杏仁豆腐は美味しかったんですよね?それでもプリンなんですか?」
「えぇ。杏仁豆腐も素晴らしかったです。ですがまたどうしても食べたくなるとしたら多分刹那さんのマル秘プリンだと思います」
「サラさん!」
「えっ!奏さん!?」
奏はサラの両手を握ると上下にブンブン振るのであった。
「こんな身近に同胞がいようとは!サラさんはプリン星人だったんですね。同室になれて良かったです」
「奏さん喜び過ぎですよ。それにプリン星人って……それにしてもあのプリンどうやって作るんでしょうか?」
「それはわかりません……というか同じ材料使って作ってもあの味は出せません。正にお姉様のマル秘ですね」
「妹の奏さんでもわからないんですか……」
「はい。お姉様の謎ですね。いつの間にかあのプリンを作る様になっていて。それからは正に病みつきになりました」
「確かにあれは病みつきになるわね。それにしても驚きばかりだわ」
「プリンがですか?」
「それもだけれど……蒼炎の事よ……蒼炎の姫様」
「そういうサラさんも才炎の姫様でしょ?お姉様に聞きましたよ」
「私は才炎と呼ばれてますがまだまだです。リーシャにも負け越してますから……それに奏さんの蒼炎……凄かったわ」
「蒼炎ですか……まぁ、私達からすると蒼い炎って珍しくもないんですけど……科学が発達してましたからね」
「科学ですか?あまり研究されてない分野ですね……それと蒼炎が関係ありますの?」
「ありますよ。その証拠に概念を理解しているお姉様に蒼炎を使ってみていただきましたけど普通に出してましたよ」
「えっ!という事は刹那さんも蒼炎の使い手なの?」
「いえ、お姉様が言うには魔法回路を酷使するのと魔力の問題で魔法として実用するのは難しいとの事です。なので実際に魔法を運用するのは私だけですね」
「ビックリさせないで……刹那さんは剣士なのでしょ?それが蒼炎まで使えるとなったら厄介極まりないですからね」
「まぁ、お姉様はまだ本気じゃないですけどね……」
「今なんて言いましたの?」
「お姉様はまだ本気じゃないと言ったんですが……」
「はぁ……何だか頭が痛くなってきたわ……気分も変えたいしお風呂に行きませんか?」
「あれ?一緒に行ってもいいんですか?」
「いいですわよ。はぁ、疲れたので早くまいりましょう」
「わかりました」
こうして奏達もお風呂へ向かうのであった。
そして、当然ん互がお風呂に向かったのであり、鉢合わせるのであった。
そこで、疑問が投げかけられる。
「あら、リーシャ……それに刹那さんも。珍しい事もありますわね。リーシャが一緒に来るなんて」
「リーシャさんは同胞ですから!」
刹那は年齢にちょっと沿わない大きめな胸を張って言う。
「お姉様……ちょっとイヤミっぽいです……それで何が同胞なんですか?」
「リーシャさんは杏仁星人だったのよ!!」
「リーシャさんはそちら側の人間でしたか……」
「あれ?奏余裕ね?」
「えぇ!何を隠そうサラさんこそプリン星人だったんです!」
「奏さん……プリン星人って……やめて頂けません?」
「またお姫様がプリン星人だったんですか?プリンのプリンセスは奏だけで間に合ってます」
「お姉様それは言わないで下さい!杏仁豆腐の勇者の癖に!」
「とりあえずこの言い争いはやめない?何だか虚しくなってくるわ」
「確かにお姉様に同意です」
「2人共落ち着いたかしら?」
リーシャは冷めた表情でそう言った。
まぁ、刹那と奏もただのじゃれあいだったので、そのままの流れで更衣室に入っていく。
そして、刹那はまたもこの世の楽園を目撃する。
可愛い女の子やちょっとお姉さんぽい先輩と思しき女の子。
色々な女の子が着替えているのである。
下着姿の子、半裸の子に全裸の子。
まさに刹那には目の毒?であった。
そんな感じで刹那がエデンを体感していると奏につねられる。
「お・ね・え・さ・ま!」
「痛い!やめて奏!」
「お姉様何を他人の着替えをしげしげと見てるんですか!とっとと自分の服でも脱いでください!」
「わかりました……」
刹那は大人しく服を脱いでいく。
すると何故か視線が集中してる気がする。
刹那がブラウスを脱ぐと何故かざわめきが起きる。
そして、スカートをストっと落とす。
するとまたもやざわめきが起きる。
ちなみに奏が脱ぐとやはり同じようにざわめく。
結局皆の視線に耐え兼ねた刹那は恥ずかしくなって下着が脱げないでいる。
すると全裸になった奏が刹那に文句を言ってくる。
「お姉様何を照れてるんですか!とっとと下着を脱いでください」
「けど、皆が見てるみたいで……」
「お姉様も見られる恥ずかしさが分かりましたか?因果応報です。それはそうともじもじしてると余計注目されますよ?」
「刹那さん……なんか色っぽいとか照れてて可愛いとか言われてるわね……それに胸が大きいって……」
リーシャはそう言いながら刹那を上から下まで見た後胸で一旦止まって、刹那の顔を見る。
「確かに刹那さんは色っぽいですね」
「そんなこと言われましても嬉しくありません」
「刹那さん早く脱いでくださいませんか?」
次はサラが刹那に話しかけて来た。
ちなみにサラと刹那が向かい合わせになったとたん周囲から刹那様の方が大きくないやらサラ様も負けず劣らず等という声が聞こえる。
刹那とサラは年齢の割に発育良好なのでそれだけで注目の的である。
すると小声でやはり奏がお姉様は男なのにと支離滅裂な事を言っていた。
これはまずいと判断した刹那は急いで下着を脱ぐ。
皆に見られて恥ずかしくて刹那は涙が溢れて来る。
その姿が妙にそそるようで逆に注目が更に集まるという悪循環であった。
その後の刹那は羞恥に耐えながら体を洗い、湯船に浸かる事でやっと一息つけた。
正に魂の洗濯が出来た気分であった。
そして、その楽園からまた煉獄の更衣室に戻って着替える。
刹那は替えの下着を身につけていく。
ちなみにその間も話し声が聞こえる。
刹那様は替えの下着も縞々やら、今度はピンクで可愛らしいとか、皆に知らせないととか……。
知らせるって何をと刹那はツッコミたかったが着替える事が先決である。
結局、観察され尽くされる刹那であった。
ちなみに奏もばっちり下着のチェックをされていた様で、今度は淡い水色のレース付きの上下でしたねと評価されていた。
やはり奏の事も皆に知らせないとという言葉があったので何処かに伝えられるのであろう。
こうして刹那達のお風呂は終了するのであった。
そして、刹那は奏と明日のテスト頑張ろうと励まし合って別れるのであった。
後書きは前回同様解説は抜きにさせて頂きます。
不便でしたら書きますので、感想などで連絡下さい。
次回、普通に日常生活描いてきます。
それでは次回もお楽しみに。
それでは毎度お馴染みのセリフと共にお別れしましょう。
目指せ書籍化!第三章終了です♪で第四章開始♪現在第58話です。パンパカパーン♪♪♪
現在ブックマークが212人なう。ちょびっと増えて……無い!皆さん私に力を〜○┓(アイナ風)ペコリ(登録してくれてる人は感謝です感謝(*´ω`人)感謝(TдT) アリガトウ○┓ペコリ)
今回はまさかのブックマーク増加せず!!!!!!!!!!!!!!……ですので本当に皆さん御慈悲を下さいorz
では評価、感想お待ちしております。ちなみに感想くれた方ありがとうでした。
他の方もよければどんどん感想をば
というか最後の言葉はやっぱり書籍化目指して頑張るぞ(*´ノд) ダヨネー( ´゜д゜)(゜д゜` )ネー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー(書籍化を望む人が増えてる気がする!(作者の中でだけw))
最後の方はいつも使い回しでごめんね?では神超をよろしくです♪♪♪(音符を増やしたw)
ちなみに第一章が終わったので第一章を読んでない方は要チェックや!
遂に二章完結。いや〜二章は長かったな…w第三章開始。というかもう終わるけどwというか終わったw次はいよいよ第四章です!
結局ネット小説大賞は夢へと消えたのでした……チャンチャン♪
でも次回があれば再チャレンジするぞ!
後、感想がまた伸びたのですが、まだまだどんどん感想待っております。
目指せ書籍化!この調子でどんどん話を投稿するぞ!(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!(。`・∀・´)⊃