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神々を超えし者を創りし世界  作者: 永澄水樹
第四章 聖炎と原初の炎 異世界転移編
51/70

聖炎祭と刹那の秘密

大変な事に気づいた今日この頃。

神超の時間軸が途中で一日ぶれてました。

神超の文のまんまだと刹那の誕生日は4月11日になってしまうのだ><

でも刹那の正式な誕生日は4月12日つまり今日です。

刹那は次の日、いつもの通り鍛錬して、食事をしてからお店に来ていた。


刹那は今日も学校は休んでお店に専念していた。



「メイド長!3番テーブルのご主人様が指名です!」


「はい、わかりました」



今日もメイド喫茶は大人気で、朝から大繁盛である。


執事カフェもクレープ屋も同じく大繁盛である。


昨日オープンしたばかりだが巷では既に有名になりつつある様で刹那は嬉しくてたまらなかった。


そうして、刹那は今日はメイド喫茶に専念して、昼食を取った後に、皆が合流するまで、一生懸命に働いていた。


午後になって奏達やミシェル達学園組も仕事に入ったので、どんどんお店が回り始める。


奏達が来て今日も学園生が大量に来ていたが、今日は見たことのない学園生が多かったので、刹那は不思議に思っていた。


奏達に聞いても知らないらしいので、刹那達の学園の先輩が来ているのだと疑問に思いながらも接客に励むのだった。


こうして、刹那達が各店舗で頑張って売上は上々である。


そして、さらに時間が過ぎて、晩御飯になる。



「お姉様お疲れ様でした」


「奏もお疲れ様、皆もお疲れ様」



奏に挨拶されたので皆に刹那が挨拶すると皆口々に挨拶してくる。



「刹那〜俺は執事カフェで働くのはいいんだが、メイド喫茶に行きてーよ」


「アルは来なくていいです」


「刹那それは冷たくないか?」


「そうですか?」


「刹那君?僕もメイド喫茶に行ってみたいな」


「ミリスはメイド服着るなら来てください。いつでも大歓迎です」


「刹那君の意地悪」



アルとミリスのメイド喫茶に期待という希望を容赦なく切り捨てる刹那であった。



「リースやセレナはどうですか?ちゃんとやれてますか?」


「私は私が出来る精一杯でやってるつもりだよ?」


「私はとりあえず無難にこなしていると思うぞ?」



リースは結構頑張ってくれている様であった。


しかし、セレナはそこまで乗り気ではないらしい。



「セレナもそれなりに指名されてたじゃないですか?」


「まぁ、確かに指名されたりはしたが、皆ほどではない」


「でも一部でもセレナが良いって人がいるのは嬉しいんじゃないですか?」


「そう言われるとそうかもしれないな……」



セレナは男性が元々苦手な事や、過去の事もあり、自分に否定的だが、メイド喫茶では中二病なセレナは意外とファンが増えそうだと刹那は思っていたので、徐々にでも改善していくといいなと思った。


そして、アイナとレーシャルにも話しを聞く。



「アイナとレーシャルはどうですか?」


「私は楽しくやらせてもらってるよ〜。私も結構人気あるんだから」



アイナがそう言うとレーシャルがツッコミを入れる。



「紅蓮のアイナとバレなきゃいいな?アイナ?」


「あ〜レーシャルちゃん酷い!バラしちゃダメだよ?今いい感じでお客がついてるんだから!」


「まぁ、アイナの事は言わないのじゃ」


「レーシャルはどうですか?」


「そうだな、学園生の指名が多いな。特に刹那とは違って2、3年生にもよく指名される」


「あぁ、通りで見たことない学園生が多いなと思ったら、レーシャルのお客でしたか」


「儂は授業で2、3年も見る事があるからな」



レーシャルの言葉で、見た事のない学園生が多かった理由が分かったのだが……。



「あのーレーシャル?先輩の学園生が多かったのはレーシャルが居たからというのは分かったんですが、来た客の何割かは私や奏達に流れてましたよね?」


「それはお前達の事が好みだったから指名をしてみたんじゃろ?儂の場合は先生がメイドやってるってのが見たいだけってのもあるじゃろうしな」


「そうですか……もしかして私が男性と知らないで指名してきた人も居るんでしょうか?」


「そりゃ、先輩の学年の奴らは刹那が男性とは知らないのではないのか?」


「なんか複雑です」



レーシャルの連れてきた客に指名された刹那は、男性と知らずに声を掛けられた事に微妙な罪悪感と嫌悪感が漂うのだった。


そして、最後に執事カフェ唯一の女性執事であるメリッサに感想を聞く。



「メリッサはお店どうでした?」


「私?私は楽しんでやってるわよ?まぁ、軍関係の客は男性だから微妙だけど、女性客はいいわね。ウフフフフ」


「メリッサ、お客に手を出しちゃダメですよ?」


「えっ?普通逆じゃない?」


「だってメリッサですし」



そんなこんなで皆無事お店をやれてるようでよかったと刹那は安堵して、晩御飯も終わるので皆に闘技場に行くと伝えて、メリッサと闘技場に向かう。


刹那はお店が心配であったが、皆が居るので大丈夫だろうと思いながら、闘技場に着く。



「メリッサ、それでは決勝で戦いましょう」


「お姉様決勝は当たり前って感じね。途中でつまづかないでよ?」


「それはメリッサもでしょ?」


「それにしてもお姉様今日は女性のまま試合出るの?」


「いちいち変身するのも面倒ですし、今日は決勝で勝ってお店の宣伝しなきゃですからね」


「お姉様私に勝つの前提で話してない?」


「なら、勝ってメリッサが宣伝してくれるかしら?」


「ふんっ、そんな事言ってると私が勝っちゃうからね」



そんな話をしながらメリッサとは逆の部屋だったので入口で別れる。


とりあえず、刹那は控え室でお店を同宣伝しようかと考える。


そんな、闘技場など片手間程度にしか考えてない刹那を見て、対戦者はやる気がないのが分かる様で、いきり立っていた。


しかし、メリッサが勝った様に、刹那も一瞬で勝負をつけて、結局2回共勝ち決勝に来る。


そして、クーフェによって選手入場が行われる。



「お待たせしました皆様!今夜のGランク戦決勝が始まります。西門より入場しますはメリッサ・アンタリーク選手。前回、前々回と準優勝に終わってますが、他の試合は圧倒的強さで決勝まできております。対するは時乃宮刹那選手。」こちらは前回、前々回と優勝となっています。つまり、2人は二回戦い二回共に刹那選手の勝利に終わってるんですね。さて、今夜はメリッサ選手が意地を見せるか!刹那選手が勝者の貫禄を見せるか楽しみです。それでは試合開始です!」



そのアナウンスの後に銅鑼が鳴らされ試合が開始する。


しかし、刹那の瞬戟から繰り出される一閃でメリッサは場外まで吹き飛ぶ。


なんとか刹那の剣をガードは出来たがゴリ押しでやられてしまった、メリッサだった。


そして、勝者のコールがされる。



「しょっ、勝者!時乃宮刹那選手です!」



そのコールがなされた瞬間闘技場が騒がしくなる。



「それでは勝利者インタビューを致します。刹那選手。今回も決勝はメリッサ選手でしたがいかがでしたか?」


「そうですね。私は今回は初手から勝ちに行きましたので。まぁ、メリッサ選手にガードされたのは意外でしたが」


「確かにガードの上から強引に吹っ飛ばしましたね?今回は」


「メリッサ選手もちょっとずつですが手ごわくなってるって事でしょうね」


「そうですか。刹那選手。優勝おめでとうございます。それでですね。ちょっと質問があるのですがいいですか?」


「はい?なんでしょうか?」


「刹那選手は今回最初から最後まで女性化してましたよね?それと刹那選手が出したというお店と関係はあるのでしょうか?」



刹那が丁度宣伝しようと考えていたところでクーフェの方からチャンスをくれたので、刹那はお店について話す。



「はい、ちょっと関係してます。というのも、私が出店したお店でメイド喫茶というのがありまして、私もメイドの姿で接客しているので」


「そうなんですか?メイドという事は刹那選手は女性化して働いているんですか?」


「そうです。メイド喫茶ではオムライスやパンケーキ等色々と美味しいものを出しています。また、執事カフェとクレープ屋も開店しました。そして薫香味亭の2号店も任されてます」


「刹那選手?確かお店は昨日オープンしたんですよね?それにしてはかなり巷で有名になっていますよ?それに店の出店場所も一等地という事で話題になってますね」


「はい、どのお店も一等地に相応しい物を提供しております。といっても、そんなに高級ではないので、気軽に皆さん来ていただけると嬉しいです」


「そうですか。刹那選手の活躍にも期待ですが、刹那選手のお店にも注目しないといけないですね♪ちなみに私はクレープを食べましたがとっても美味しかったです!では本日のGランク戦は刹那選手の優勝でした!」



こうして、刹那が優勝を勝ち取り宣伝もしっかり終えて、医務室に刹那は向かう。


医務室に入ると、メリッサが丁度診察を終えて、帰る支度をしてるところだった。



「メリッサ?大丈夫だった?」


「あのね、お姉様?そう思うなら思いっきり斬りつけてこないでいただけるかしら?」


「今日は直ぐに終わらせたかったのよ。お店も心配だし、宣伝もしなきゃだったし」


「どーせ私は負け役ですよ〜だ」


「メリッサいじけないで。それより無事だったなら、お店に戻りましょう?もうお店も終わる時間だし」


「わかりましたよ〜それじゃ急いでいきますか」



こうして2人は急いでお店に戻る。


お店に戻った刹那はとりあえず、シセリーに状況を聞く。



「シセリーさん只今戻りました」


「あっ、メイド長おかえりなさい。今日も無事に終わったわよ」


「そうですか、奏達は?」


「今着替えてるところよ。学園のお風呂が23時までなんでしょ?急いで帰らなきゃね」


「そうなんですよ」



そんな話をしてると、奏達が着替え終えて戻ってくる。



「あっ、お姉様。今日は闘技場どうでした?」


「もちろん優勝してきたわよ」


「それはメリッサが何だか可哀想ね」


「それよりもう学園に戻れるの?」


「はい。後はメリッサ達が合流すれば……」



奏がそう言っていると入口からアル、ミリス、メリッサと三人が入ってくる。



「おう!刹那。今日も優勝したんだってな」


「優勝おめでとう刹那君」


「どーせ私は準優勝よ〜」



アルとミリスは刹那におめでとうと言ってきたが、メリッサはグレてる様であった。


そこで、アイナとレーシャルが口を出してくる。



「メリッサちゃん潔悪いわよ〜負けたなら次勝てばいいのよ〜」


「そうじゃ、メリッサはまだ成長期の段階じゃしな、刹那はかなりしっかりしてるので、今の段階じゃ勝つのはほぼ不可能じゃ」


「2人共そうは言うけど刹那君に勝ちたいのよ」


「なら、より一層鍛錬する事じゃな。まぁ、刹那は規格外じゃからあまり気にしすぎてもしょうがない気がするがな」



結局、メリッサが刹那に勝つにはまだまだといったところで話が終わる。


それより刹那は風呂の時間があるし早く帰ろうと皆を促す。


そして、レーシャルとアイナは今日もレーシャルの家に行くとの事で別れた。


刹那達は学園に戻ると急いで各寮に戻り風呂に入る。



「ふぅ、今日は疲れましたね、なのに……」


「まぁ、刹那とミリスの人徳だろ」


「アル君は気楽でいいよね」



刹那が黙ってしまったのには理由がある。


それは今日もまた、遅くに入りに来たのに大勢の寮生が風呂に入っているのである。


もちろん目当ては刹那である。


ミリスがもし、メイドをしていたら、立場は違ったかもしれないが、ミリスは可愛いが、執事カフェでの勤務だし、男という盾がある。


しかし、刹那は本当なら魅了の魔法がダダ漏れのミリスが注目されるはずなのに、元々可愛い顔していたのに、本当に女性化してしまっているのと、メイド喫茶であ〜んなどしてしまったので皆に絶賛注目されているのである。


それでも恐ろしいのはミリスへの視線が、半分近くある事である。


やはり、魅了の魔力にミリスの容姿ではファンが激減する事はない様だ。


しかし、刹那は今まで少しの視線だったのに、半分……もしかしたら6割は視線を集めているであろう現在に頭が痛い思いである。


結局、お風呂から撤退して部屋でぐったりする、刹那であった。


ミリスも刹那に慰めの言葉をくれたのだがあまり効果はない。


むしろ逆効果な感じで、アルの言葉は論外であった。


アル曰く、刹那ファンクラブは好調だしいいんじゃねとのこと。


刹那もミリスファンクラブに入っているので人の事言えないが、ファンクラブは結構鬱陶しいなと思う刹那であった。


そして、今日も今日とて刹那はアルとミリスと勉強をして、その後気の処置をして眠るのであった。


次の日から毎日が少しずつ変化するものの順調に過ぎていった。


変わった事といえば、刹那が時々授業にもしっかり出るようになった事。


まぁ、とは言っても結局メリッサの隣に座らされて勉強を見させられた。


メリッサと言えばやっと刹那君が授業に出てくれた。いつもはミリスくんを間に置いて3人だったから嬉しいだそうだ。


後は刹那がレーシャルの授業を初めて受けられた事だった。


刹那がじっとレーシャルを見つめるので、レーシャルは顔を真っ赤にしながら先生をしていたので、みんなから可愛いと言われて、照れていた。


研究の方も主に刹那のお店で使うものの改良や、食品の流通の改善等が主になった。


刹那としては、そろそろ、魔導器のお店を出したいので色々と案を考えると伝えてあるので、マキナとレーシャルはやる気が溢れている感じだった。


ネスタは冷静沈着そうにしていたが、ケーキをお持ち帰り出来る様にしたいと行った時は、はっきり言って狂人のそれと同じ目で刹那をじっと見つめて直ぐにその計画を進めようと言ってきた。


闘技場も平常運転で刹那が優勝、メリッサが準優勝が当たり前になってきた。


そんな感じで刹那達は毎日を送っていた。


とある日、刹那がいつもの様に学園で過ごしていると、学生が騒がしくなった。


なんだろうと思い、アル達に聞いてみると、まもなく聖炎祭という第7学園特有の祭典があるのだそうだ。


なんでも、世界の終わりと始まりを告げる原初の炎の結晶体に触れて加護が漏れえる儀式だそうだ。


刹那はそれを聞いて、放課後に奏と2人で逢っていた。



「奏、聞いたか?聖炎祭の事?」


「ええ、お兄様。お父様が言ってた原初の炎はこれの事でしょうね」


「そうなると、どうやって、手に入れるかだが、幸いにも、触れるチャンスがあるみたいだな」


「ですが、お兄様?具体的にどうすればエレメンタルの回収ができるのでしょうか?」


「親父は触れればなにか起こる様な事を言ってたが、とりあえず触れてから考えないか?触れても何も起こらなければ、また考えればいい」


「そうですね。いくら考えてもエレメンタルの回収をするのは初めてですし」


「まぁ、聖炎祭を楽しみにしとこうぜ」



刹那と奏はとりあえず触れてから考えるという事で落ち着いたので、聖炎祭当日の事を考える。



「聖炎祭は5月1日にあるそうだ。とりあえず、それまではやる事はないな」


「とにかく、当日に何が起こるかは分かりませんので気をつけて下さいお兄様」



刹那と奏はこうして、聖炎祭当日を待つのだった。


そして、聖炎祭当日が遂にやってくるのだった。


刹那はいつも通り朝起きる。


するとアルやミリスも起きてくる。



「刹那、おはようだぜ!今日は聖炎祭。俺も火属性強化されるかな?」


「刹那君おはよう。僕も今日が聖炎祭だから楽しみなんだ。火属性だけでも強化されて属性持ちになれたら嬉しいな」


「2人共おはよう、元気だな」


「そりゃ、第7学園選んだ奴の1つの理由がこの聖炎祭だからな」


「そうだよ、刹那君。わざわざ他の学園じゃなくて第7学園選ぶ理由にあげる人もいるくらいだよ」


「そうなのか。まぁ、おれもロウシングル位にはなれるかな?」



刹那がそう言うと2人共騒ぎ出した。



「刹那ならシングル位つくんじゃないか?普通にフレイムアローとか威力凄いし、今まで属性が無かった方が変だったからな」


「そうだね。刹那君なら聖属性まで一気にアップしちゃったりしてね」



アルとミリスは楽しそうに刹那の能力アップについて話していた。


刹那としては、この世界に来た目的の一つが遂に目前に迫っているので少し緊張していた。


そんな事とは知らない、アルとミリスは楽しそうに聖炎祭の事に考えを巡らせるのだった。


その頃、奏達も聖炎祭について話していた。



「今日は聖炎祭ですね。私は水属性が強いので火属性なら相性的にはいいですし、強化されると嬉しいです」


「リースは水属性が強いからな。火属性はいらない気もするが、まぁ、有って困るものでもないしな」


「セレナはどうなんですか?」


「私はどの道恩恵はないと思うぞ?魔眼が強化される事も無いしな。奏は火は聖属性の炎まで行ってるんだから。もっと強力になるんじゃないか?」


「どうなんでしょうね?私的には強化されても、されなくてもいいのですが……」


「刹那が心配か?」



セレナが奏があまり聖炎祭に乗り気じゃないのを見てズバリ心配事を当ててきた。


なので奏はちょっとだけ心配な事を話す。



「えぇ、お兄様は属性無しですし……それに……いえ、なんでもありません。まぁ、お兄様も属性が付くといいですね」


「そうだね。刹那君属性無しだったもんね。属性が付けばちょっとはみんなからの偏見もなくなるかな?」



リースが言った偏見とは、刹那の事である。


実は刹那の寮ではミリスが同室だったり、刹那自身が可愛いのと、女性化する事であまり話題に登らなかったが、奏達の所属するクラス以上の生徒達は未だに刹那の事を妹のついでのお情けで入学してきた兄として認識されている。


奏の教室では、刹那自身が乗り込んで殺気をばら撒いて脅迫してたので、話題にならなくなったが、他のクラスの生徒の一部はまだ陰口を叩いているのだった。


なので、リースは刹那の事が心配であった。


しかし、この事で怒りそうな奏とセレナは特に反応はしていなかった。


奏の場合は刹那が属性無しなのは心臓を移植した為と薄々気付いていた為である。


対してセレナはセレナ自身が実は刹那と同じように陰口を叩かれているからである。


セレナの場合はエフェソスの神童というのがいい方向ではなく悪い方向に響いた為である。


エフェソスの神童等と呼ばれて、特別特待生の枠を埋めたのに、クラスはH組だと、馬鹿にされていたり、敬遠されていたりする為である。


だが、刹那と同じく、セレナも実力は学園でもトップクラスである事を皆がまだ認識していないのが大きな要員なので、あまり気にしてないのが現状である。


こんな感じで奏達はそれぞれ聖炎祭について考えるのであった。


そして、今日も皆で待ち合わせ、少しの時間の登校を楽しんだ後、刹那達と奏達は自分のクラスに行くのであった。


クラスでは今日の祭典についての話がされた。


聖炎祭は原初の炎の結晶体が安置されてるホールで行われる物で、その者の資質に合わせた能力が付与されるといったものだという。


聖炎の結晶体に触れられるのはこの学園に入学して来た者であり、一年生だけである。


その理由は一年時に触れた後、もし高等部3年。


つまり、これから5年後触っても恩恵は受けられない事が判明しているからである。


逆に言うと、その者の資質さえ優れていれば一気に成長が望めるのである。


その為、聖炎に触れる事ができる第7学園は人気がとても高いのだそうだ。


実際、資質が優れていながら、伸び悩んでいた一年が聖炎に触れた事により、聖属性のかなりハイレベルまで卒業時に到達した事もあるそうなので、皆期待が大きいのだ。


刹那達はそうした事情や聖炎について、色々と教師に教えてもらいながら、ホールに移動する時間を待っていた。


そして、いよいよ皆が移動する時間になり、Aクラスから順に入り、Oクラスが最後らしい。


触るのもやはりAクラスからの様であった。


そして、皆が移動して、聖炎の安置ホールに到着する。


そのホールは巨大な構造になっており、紅蓮の炎をそのまま固めたような巨大な物が置かれている場所であった。


その巨大な物こそ聖炎だという事で刹那達も奏達も驚いていた。


そして、学園長が、聖炎祭について話した後、Aクラスの者から順に聖炎に触れる儀式が始められた。


最初に聖炎に触れたのはAクラスのリディア・ラインフェルトであった。


刹那は入学式以来見かけなかった彼女の事を覚えていた。


その彼女が聖炎に触れると、変化が訪れる。


赤い光の粒子が彼女に吸い込まれて行くのである。


それは物凄い量であり、物凄い明るさであった。


皆がその様を見て、自分もああやって凄い力を授かるのだと信じて、聖炎に触れていく。


だが、実際はリディア以降の人間が触れてもそこまでの輝きは放たれなかった。


それは、彼女が物凄い資質の持ち主であった事の証明であり、皆を落胆させるものであった。


だが、クラスが進むに連れて、皆どの程度力が得られるのか理解したようである。


何故ならAクラスが終わり、Bクラス、そして現在Cクラスが触れているが、時々強い輝きが放たれるが、その程度であり、最初の彼女が特別であったと理解したからであった。


また、Aクラスの者より、Bクラス、Cクラスと進むにつれ、強い輝きに包まれる生徒の数も減ってきたので、皆いかに資質が重要か理解したからである。


だが、それでも、聖炎に触れた者達に暗い表情は無い。


それは彼ら自身、触れる前と触れた後で、自分の中にある火属性の高まりを確かに感じているからであった。


こうして、最初のリディアの時の様な騒ぎがないまま、順調にクラスが進み、遂にHクラスの番になる。


奏達の様子を見て居た刹那達だが、奏達はHクラスでは最後に入場して来ていたので、順番は最後の様であった。


そして、順番が進み、まずリースが触れる様であった。


リースが触れると、聖炎が何故か赤い粒子ではなく、青い粒子をチラシながらキチキチキチと高い音を立て始めた。


その瞬間皆が何が起こったのか分からないといった形になったのだが、職員が慌ててリースを聖炎から離す。


ホール内はどよめきが起こり、何が起こったのかと皆がリースを見て居た。


もちろん刹那達も何が起こったのか気になったが、学園長がマイクを持ち、話し始めたので、それを聞く。



「えー、今のは聖炎に対して彼女の魔力が反作用を起こした事が原因です。彼女の場合、水属性が規格外に強い可能性があります。ここまでの拒絶反応を見るのは初めてです。ただ、彼女の様に恩恵が受けられない者も数年に1人位はいますので皆心配しないでください。ただ、残念ながらリースさんの様なケースの場合火属性の恩恵は得られないのは確かです。期待してたならすみませんねリースさん」



リースは聖炎に触れた手を見つめながら、学園長に答える。



「火属性は相性的にはいいのに苦手だったので恩恵が得られなかったのは残念ですが、逆に水属性の適性が高い事が分かったので私としては嬉しいです。学園長先生気にしないでください」


「そうですか。リースさん、ありがとうございます。それでは聖炎に問題はないので、聖炎の儀式を再開します」



学園長がそう言った後、次はセレナが聖炎に触れる。


しかし、又も珍事が起こる。


今まで皆触れると、大小はあれど、必ず恩恵を受けていた。


リースの場合でも反作用が起こり、水属性の適性が判明したのである。


だが、セレナが触れても聖炎は全くの無反応である。


その姿を見て、ある者は哀れそうに見、ある者は侮った目で見下していた。


その事にセレナは特に反応はしなかったが、会場が静かなのもあり、上位のクラスの者ほど笑っている事に気づいた奏は怒り心頭であった。


刹那も同じ気分であるが、立場的に刹那は手出しが出来なかったが、奏は友を笑われて、完全に頭に来ていた。


そして、遂に言葉を発してしまった。



「今笑っている者!何が可笑しいのですか!貴方達のどれだけの者が彼女に勝てるというの?勉学でも魔法でも彼女には勝てない!それは私が保証します!文句があるなら言いなさい!」



奏の大きな声がホールを包む。


だが、Hクラスである、奏を下に見るものもやはりいる様で反論がくる。



「笑ったのは悪かったかもしれないけど、資質がないから聖炎の加護が受けられなかったのでしょ?それに貴方は何様なの?貴方が保証したからってどうだというの?」


「私は時乃宮奏。確かにHクラスです。ですが、今笑っていた者達に負ける気はしません!資質がどうのと言ってますが、資質がある者が偉いんですか?」



奏の挑発にも似た言動に他の者も文句を言い始める。



「お前、図に乗ってるんじゃないか?Hクラスの癖に!確か、炎雷の舞姫だったか?そう呼ばれてたのはお前だったよな」


「そういえば、その様に呼ばれてましたね。それで図に乗っちゃったんですか?」


「確かに聖属性二つは凄いかもしれないが、うまく操れなきゃ宝の持ち腐れだろ?それに確か転移特待生でしたよね?しかもランダムの」


「そうだ!お前位のは山ほどこの学園にはいるんだよ。調子に乗るな!」


「リディア様の凄いお姿も見たでしょ!ああいったレベルの者が物事を語っていいってものですよ」



そこで、リディアが名前に挙げられた為、皆がそれに便乗してリディアを引き合いに出し始める。


当のリディアは見ただけでは分からない様にしているが、あれは怒り心頭といった感じであると刹那は思った。


リディアの浮かべてる笑顔が奏の切れている時の笑顔に酷似していた為である。


刹那は触らぬ神に祟りなしと思いながら、これ以上リディアを刺激しないでくれと心底思ったのだが、通じなかった。



「そうだ!新入生総代でもあり、先程も凄い資質を見せたリディア様位になってからものを言え!」


「そうよ!リディア様の足元にも及ばない様なHクラスの生徒が炎雷の舞姫なんて大層な名前で呼ばれてるのも変なのよ!」


「文句があるならとっとと聖炎に触って自分の資質のなさを証明しろ!」


「そうだ!聖炎にも触らずにいるのは資質が無いのが怖いからじゃないのか!」


「早くさわれよ!」


「早く触りなさいよ!」



奏がセレナの事で文句を言った事により、事態は悪化の一途を辿る。


しかし、そんな事態になっても何故か学園長は止めに入る気配がない。


そして、遂に上位クラスの何人かが触れコールをし始めた。



『さーわーれ!さーわーれ!さーわーれ!さーわーれ!』



上位クラスの者達がそんな事を言い始めたので、下位クラスの生徒が文句を言い始める!



「奏さんを侮辱するな!炎雷の舞姫はとっても凄い人なんだ!」


「そうよ!奏さんを侮辱するのは許せないは!自分達じゃ敵わないからってリディア様に押し付けてるだけじゃない!」


「そうだ!下位クラスだからって馬鹿にするな!奏さん達の凄さも知らない癖に!何言ってるんだ!」



結局騒動は大きくなるばかりであった。


そこで、遂に学園長が口を出す。



「貴方達、いい加減にしなさい!そして、簡単に人を侮るのはやめなさい。セレナさんについてはしょうがないので私が説明しましょう。彼女は通常の魔力回路も魔法回路も持っておりません。なので、そもそも聖炎だろうが聖氷だろうが反応はしません。彼女は魔眼の使い手です。そもそも普通の人と違った魔法の使い手なのでこの結果は当たり前です。そして、Hクラスだからと馬鹿にしてた人達に言いますが、侮ってると痛い目に遭うのは貴方達ですよ。そして、この事の顛末をつける為にも、時乃宮奏さん。聖炎に早く触れてください。そうすればこの馬鹿らしい騒動も鎮火するでしょう」



学園長はそう言うと奏に聖炎に触れるよう促す。


学園長が話しを収めた為、騒ぎは収まった。


だが、奏が聖炎に触れた瞬間皆が騒ぎ始める。


それも、そのはず。奏が聖炎に触れるとリディアでさえ凄いと思われてた輝きの数十倍の輝きが奏に吸い込まれていく。


誰もがその姿に呆然として見て居た。


そして、やっと光が収まり、奏が聖炎から手を離す。


皆がその姿に驚いていると、学園長が話し出す。



「どうですか?触れてみろと騒いでた皆さん。結果はこの通りよ。奏さんは火の精霊を従えてもいますし、そもそもの資質で言ったらこの学園でもトップクラスなのよ。これで、皆さん満足ですか?ですが、上位のクラスの人も下位のクラスの人も言い過ぎでしたよ!今後気をつけなさい!そして奏さん?言いたい事があるなら言っておきなさい」



学園長がそう言って奏に話しを促したので話し出す。



「今回私は聖炎に触れてかなりの恩恵を頂いたようです。ですが、そんな私でも敵わないと、ライバルだと思わせてくれる人がいます。それが先程聖炎に拒まれたリースに、聖炎の恩恵を預かれなかったセレナよ!私はこの2人をとても大切に思ってるし、良いライバルであり、良い友と思っています。これでも文句があるならごちゃごちゃ言ってないで言いなさい!」



奏の言葉を聞いた皆は黙りこんでいた。


そんな、状況で1人だけ、話し出す生徒がいた。



「私はリディア・ラインフェルト。時乃宮奏さんの凄さは分かりました。そして、先程私達が貴方達に言っていた無礼な物言いを許してください」


「いえ、ラインフェルトさん。私は貴女に謝られる必要はないわ。貴方も先程は相当頭に来ていたようですしね。物凄い殺気でしたね?随分と押し殺していたようですけど凄く感じましたよ。そして、怒ってくれてありがとうございます」


「ありがとう時乃宮さん。ですが、私は怒ってなどいませんでしたよ?」


「そうですか?そういう事にしておきます。私もいずれAクラスに行くのでその時はよろしくお願いしますね」


「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。時乃宮さん」


『フフフフフフ』



奏とリディア。2人の笑い声が最後に響いだが、それは全然笑えない笑いだったと、この場にいた皆が思った事だった。


刹那はようやく騒ぎが収まった事に安堵する。リディアは怒ってないと言っていたが、自分の名前が勝手に使われ始めた時確かに切れていた。


刹那はそんな風に起こるリディアという少女もなかなかいい奴だなと関心しながら、しばし時が流れる。


奏が聖炎に触れたのがHクラス最後だった為、Iクラスの生徒はビクビクしながら聖炎の儀式にようやく並び始める。


そして、やっと聖炎祭が再開される。


しかし、奏より下のクラスの者はやはり、輝きが低い者が多かった。


そう言う意味ではこのクラス訳はある意味順当なのかもしれなかった。


だが、それでも時折凄い輝きを宿す者もいたので、結局は今後次第だなと1人納得してる刹那だった。


そして、遂に聖炎祭も最後のクラスを残すだけになった。


つまりOクラスである。


Oクラスの者は並ぶようにと言われたので刹那はだらだらと並び始める。



「おい、刹那!一番最初に触れようぜ!」


「俺は最後でいいや」


「どうしたの刹那君?それにしても奏さん凄かったね。今年で一番恩恵を受けてたんじゃないかな?」


「ホント、ホント。奏には驚かされたは。口であれだけ煽ったあとであれはスッキリしたわよね」


「メリッサ……面白がってたな?」


「刹那君だって何も言ってなかったじゃない。大体下位クラスとか馬鹿にしてるのが馬鹿なのよ。私はアンタリーク家の習わしがなければ上位クラスだったての」


「えっ?本当かメリッサ?」


「なんでアルが疑うのよ?」


「だって、お前俺より弱いだろ?なのに上位クラスって」



メリッサが本当なら上位クラスだと言うとアルが疑問を呈す。


確かにメリッサはアルより弱いと刹那も思う。


しかし、剣の腕や魔法の将来性は確かに見受けられるので上位クラスに居ても不思議でないと思った……学力を抜いては。


そんな言い合いをしながら結局刹那が一番後ろに並んだので、釣られて皆後ろになってしまう。



「刹那?お前はロウ目指してるんだよな?」


「いや?とりあえず属性が欲しいなと思ってるだけだが?」


「刹那君属性無しだもんね?無属性でもないって逆にレアな気がする」


「そうよねー大体さっき文句言ってた連中程度なら奏より下に見られてる刹那君1人で全員倒せるんじゃない?」


「そうだよな。刹那って奏さんの入学のお零れに預かったって事になってるけど、実際一番エグイよな」


「それは僕も同感……刹那君が弱いとか先入観って怖いよね。刹那君の実力知ってたら口答えさえ出来ないよね……怒ると殺気撒き散らし始めるし」



刹那はメリッサもアルもミリスも皆が恐る存在なのであった。


それは良くクラスで切れると殺気で黙らせていたからだろう。


ある意味Hクラスの者も刹那の殺気にやられてるので、刹那への陰口を叩いている者は上位のクラスや、刹那と違う寮生が殆んどである。


しかし、刹那の女性化が切っ掛けで刹那ファンになってしまった者も結構いるので、現在ではあまり刹那の事を表立って言う者は少なっくなっていた。


そんなこんなで、いよいよ刹那達の番になる。


まずはアルが触れる。


するとかなり強い輝きが放たれたので、刹那達は関心しながら見て居た。


次にメリッサが触れる。


メリッサが触れると淡い輝きが放たれた。メリッサの場合は風属性が強い為に火属性の恩恵はあまり得られなかった様である。


そして、ミリスが触るとアルより強い輝きが放たれる。


アルやメリッサ、そして刹那もちょっと驚いてミリスを見て居た。


だが、一番驚いてるのはミリスの様であった。


理由は分からないがミリスはちょっぴり嬉しいような悲しいようなそんな表情で聖炎から離れる。


そして、聖炎祭の儀式も最後の1人となる。


最後の生徒である刹那が支持に従い聖炎に近づく。


すると聖炎と刹那の間に光が渡される。


刹那はそのまま引き込まれるように聖炎に触れると、ホール中が物凄い光で照らされ騒動になる。


刹那が触れた瞬間太陽の様な光が生まれ、その後聖炎全体が炎の粒子の波となり刹那にどんどん吸い込まれていく。


その間も光が物凄く、目を開けるのが困難な状況であった。


しかし、事態はより深刻になっていた。


刹那に波となり押し寄せていた粒子が刹那をお追い込み物凄い勢いで渦巻いていた。


その中心にいる刹那は身が煉獄の炎に焼かれるような感覚に襲われ叫んだ。



「うわぁああああああああああああああああああ!」



刹那が叫び始めてから、ホール中がパニックになる。


教師達が生徒を退避させている中、奏は急いで刹那の元へかけていく。


奏があと少しで刹那に近づけるというところで刹那の背中の大剣が叫ぶ。



『奏さん!マスターの腰の剣でマスターの心臓を貫け!』



背中の大剣クロノスがそう奏に指示を出す。


奏もこの前刹那とエレメンタルの回収の話しをしていたので、父親の逆鬼が言っていた、エレメンタルの回収時に剣で胸を貫く事は理解できていた。


しかし、刹那の腰の剣を取る為には炎渦巻く中心の刹那に近寄らねばならない。


奏は何度も近づこうとするが、聖炎が拒絶してるかの如く奏を寄せ付けない。


その間も刹那に大量の聖炎の粒子が流れ込んでいる。


そこでクロノスが叫ぶ。



『奏さん!貴方自信を自らの炎で包むんだ!そうすればなんとかなるかもしれない!早く!時間がないマスターが』



クロノスの言葉で奏は無我夢中で炎の魔力を練り上げる。


奏は火の魔法はフレイムアローとフレイムランスしか知らないが、兎に角火属性の魔力を練りながら自身に炎が纏われるイメージで魔法を起動する。


そして、その状態で刹那がいる炎の渦の中心に飛び込む。


先程までよりはマシって程度だが、奏は炎に焼かれながら刹那の元へ辿り着く。


そして、腰の剣を抜き刹那の心臓目掛け剣を突き刺す。



「お兄様!どうか元に戻ってください!やぁああああああああああああああ!」



奏が勢いよく刹那の心臓を貫く。


すると刹那に突き刺した剣が光輝き出す。


奏は炎から退避する為に後方に飛ぶが炎のダメージが大きい為、転げ落ちる。



「奏!大丈夫か!」



そこにレーシャルが来てリジェクトヒーリングと何かしらの魔法で急速に奏にまとわりついていた炎の魔力を消し去る。



「レーシャル!お兄様は!」



奏は慌ててレーシャルに刹那の状態を聞くがレーシャルも唖然としている。



「どうしたのです!レーシャル!お兄様は!」


「わからんのじゃ!刹那にお前が剣を刺した後からさらに聖炎が輝きだしたのじゃ。このままじゃと聖炎が消えるまで刹那に炎がまとわりつくじゃろう!だからわからんのじゃ!奏は何か知らんのか!」


「私もお兄様がエレメンタルの回収をする時にお兄様の腰にある剣をさせとしか聞かされてません。その後どうなるかまでは……」


「エレメンタルの回収?刹那は一体何者じゃ?何をしたんじゃ?」


「私にも説明はできません。ただ、剣をさせばどうにかなる筈なんです」



奏とレーシャルが話しているとクロノスが話し始める。



『もう平気だ奏さん。レーシャルさん。マスターは安定している。後は剣が抜けて封印が完了すれば終了だ』


「クロノス?本当ですか?」


『本当だ奏さん。マスターはダメージが大きいので封印が完了したら治療してくれ。』


「おい、クロノス!封印とはなんじゃ?」


『レーシャルさん。私が魔力を吸い取れるのは知っているだろ?この剣も同じ構造になっている。現在原初の炎の魔力を吸い込み封印の最中だ。これが終わればマスターから剣は抜け、封印も完了する』


「とにかく分かったのじゃ。それでクロノス。封印はどれ位で終わるじゃ?」


『この調子なら後数十分で封印が終わる』


「分かったのじゃ」


「レーシャル、お兄様の治療もよろしくお願いします」


「分かっておる。奏も休んでるのじゃ。それよりエリザ!」


「何かしら?」



レーシャルが呼んだのは学園長である。


レーシャルは学園長、エリザを睨みながら話をする。



「エリザはこの状況が分かるか?」


「エレメンタルの回収と聞いたので、推測でよければ話せるわよ?」


「それじゃあ、最初からこうなると分かってたのか?」



レーシャルは物凄い怖い声を出し、エリザに尋ねる。


もし、分かってたと言ったら、エリザはレーシャルに殺されるであろう予感さえ覚えさせる。


そして、エリザは答える。



「エレメンタルの回収と聞いていたので恩恵の吸収、又は分離による何かしらの保存って感じはしてたわね」


「なら、このようになると知っていたのか?」


「それは違うわ。今言ったように回収と言っていたので刹那君の異常な魔法回路の回復の為の吸収か、治療の為に分離して何かしらで治療をするのだと思っていたわ」


「ふむ、じゃが、これは恩恵の吸収というより、聖炎そのものを吸収している様に思うのじゃが」


「そうね……これは恩恵の吸収なんて物じゃないわね。聖炎そのものを吸収してますね」


「なぜ、その様な事がおこる?」


「流石に私もそこまでは分からないわ。ただ言えるのは、刹那君は普通じゃないって事ね」



レーシャルとエリザはそれきり、無言で刹那を見つめるのであった。


奏はレーシャルに刹那を頼んだきり気を失っていた。


今現在、エリザの指示により聖炎祭は終了になっており、皆避難していない。


それから、数十分が経ち、原初の炎の結晶体が全て粒子になり刹那に流れ込み、そこから剣に吸収され、封印が終了する。


剣が抜け落ち刹那が倒れこむのでレーシャルは急いで刹那の元に駆け寄る。



「刹那大丈夫か!今治療してやるのでもう少し頑張るのじゃ!」



レーシャルはすかさず複数の魔法を刹那にかける。


その魔法はどれもレーシャルのオリジナルスペルであった。


エリザは奏の介抱をしているので、刹那は現在レーシャルが見ているのだった。


そして、刹那の治療が終わり、刹那が目覚める。



「うっ!はぁ。俺どうなったんだ?」


「刹那!この馬鹿者!何をやっとるんじゃ!」


「レーシャル?」



刹那は寝起きの頭でぼんやりしながらレーシャルを見た。


レーシャルは刹那を膝枕して、上から見ていたのだが、涙がポロポロ落ちてくるので刹那はどうしたものかと思案する。


すると、エリザの介抱で回復した奏とエリザもやってくる。


そこで、エリザに刹那は今回の事の説明を求められた。



「えっと、学園長。説明と言われても俺はただ聖炎の恩恵を受けただけなんですけど?」


「お兄様?それじゃあ、多分納得されないと思いますよ?」


「奏さんの言う通りね。とりあえず、刹那君?君は何者ですか?」


「おい、エリザ!刹那にいきなりツッコミすぎじゃ!とりあえず、エレメンタルの回収の件を聞きたいのじゃ」


「レーシャル。う〜ん困ったな?俺はエレメンタルの回収をするって事しか普通に聞いてないんだが」


「確かにお父様はそれしか言ってませんでしたね?」


「そうなの?奏さん?今ここには刹那君に貴方、そしてレーシャルと私しかいません。何か言える事があるなら言ってください。他言はしませんし、盗聴もされてませんから」



学園長がそういい、刹那達に事情を求める。


刹那は学園長を見て、目と目で会話する。


しばし、それが続いた後、刹那はエリザに話をする。



「とりあえず、知ってる事は……」


「待って!」



突然エリザが話しを止める。



「盗聴されてるな。魔法じゃな」


「そうね。ちょっとこれはしたくなかったんだけど」



学園長はそう言うと何かしらの呪文を唱える。



「これjは?」


「完全遮断の魔法じゃな。これで盗聴も盗み見も出来なくなったのじゃ」


「ふぅ、どこの手の者かしらね。それで刹那君。詳しく話してくれる?」


「俺の知ってる事は俺自身がエレメンタルの貯蔵庫であり、全部のエレメンタルを獲得すれば神々を超える神を創り出せる事です」


「刹那君……全部のエレメンタルを獲得すれば確かに神々を超える神になれるのだけど、全部で何個エレメンタルがあるか分かってる?」


「火水風雷土無の6属性の聖属性と反転させた闇の6属性の全12属性と聞きましたが」


「えぇ……正直驚いたわ。一応知られてる事ではあるけど刹那君は確かにしっかりと12属性と言いましたね……しかも反転させた闇属性の事まで知ってるとは」


「そうじゃな……闇属性は聖属性の真反対じゃ両方必要だという事は信じられてないからな」


「そうね。6属性を全て聖属性にする事で神々を超える神が創りだされるというのが今の主流ね」


「逆に6属性を全て闇属性にする事で世界を滅ぼす神が出来ると言われているな……馬鹿らしい」


「刹那君はその12属性を集める為に来たって事?」


「一応、そういう事ですが?」


「奏さんもそう聞いてるの?」



急に話しかけられた奏は刹那と同じ様に話す。



「私もお兄様と同じように聞きました。ただ……いえ、お兄様、どこまでお話になりますか?」


「レーシャル……学園長を信じてもいいか?俺はレーシャルなら信じられる」



刹那はレーシャルに学園長の事を聞く。


レーシャルは学園長をじっと見た後刹那に告げる。



「エリザは裏で何やらこそこそしてるが、まぁ、悪い事では無いと思うのじゃ。ただ、刹那達に不利な状況になっても儂が守ってやるので安心するのじゃ」



そこで一度レーシャルは話しを区切りエリザを睨みながら答える。



「刹那や奏に害をなした場合は儂はエリザ……お主とて容赦なく殺すぞ?その事を肝に銘じて聞くかどうか判断しろ」


「いいでしょう。刹那君と奏さんに害が及ぶ様な事はしません。刹那君話してくれますか?」


「分かりました。とりあえず、まず、奏はとある家の姫というのは嘘です」


「そう、それでは本当は何者なの?奏さんは」


「俺達の世界の神の末裔です」


「末裔……って事は最後の神って事?」


「そうです。なので、奏は神候補ではなく神ですよ」



刹那がそう言うと学園長は納得がいった様に頷いた。



「なるほど、奏さんが凄いのは神の因子が強いからでは無く、実際に神だったからという事ね」


「そうです。ちなみに奏が神と知られると利用されるからバレない様にしろと父から言われました」


「なるほどのう。確かに既に神である奏は利用しやすいじゃろうな。神候補より、神自身を強化した方がてっとりばやいしのう」


「そういう事でしたらこれからも奏さんは神では無く、あくまで神の因子が強い子という事で報告しておきましょう……確かに奏さんが利用されないとは限りませんからね」


「ありがとございます学園長」



刹那は奏の事を黙っていてくれるという学園長にお礼を言う。


しかし、学園長は肝心な事を聞いていないと言ってくる。



「奏さんの事は分かりました。ですが、刹那君は何者何ですか?それがイマイチ分からないのだけれど」


「俺は時守という一族の異能者です。ただ、一度死んだ時にもう1人の神の末裔の心臓を移植されて生き長らえてます……」



刹那はその事を話すと昔の事を思い出し、気分が悪くなる。



「そうですか……という事は刹那君の心臓は神の心臓って事ですよね」


「そうか、それだから、女性化したり、するんじゃな……それに魔法の規模もやたらでかいと思ったらそういう事か。魔力回路は刹那自身のじゃからアンバランスなんじゃな」


「でも神の心臓を移植ですか……そんな事が可能なのかしら?」


「エリザ……現に刹那という例があるんじゃから信じるしかなかろう」


「それで、刹那君はエレメンタルの回収をする事になったのかしら?移植時にエレメンタルの喪失でも起こるのかしら?」


「それは儂らじゃわからん事じゃろ?刹那を解剖して調べるなどと言い出したら皆殺しにするからな?」


「分かってるわよレーシャル。この事はここだけの話にしましょう。でも闇属性を手に入れるには堕天したまま正常に機能しないといけないわよね?」


「そうじゃな。儂は逆じゃが、魔王である儂は元々闇属性の適正があったから水属性のみじゃが聖と闇の両方を持っているが……」


「レーシャル、それは俺自身の体に秘密がある。時守の一族は神々を倒す為に魔を従え神を倒す一族なんだ。それで、神を倒すのに必要な闇属性を俺は獲得できるらしい」



刹那がそう言うとレーシャルとエリザは顔を見合わせて刹那に向き直る。



「それは真か刹那?」


「ああ、文献に書いてあった。時守の異能者は6つの闇属性を獲得できるらしい」


「これはまずいわね……これがバレたら刹那君の身柄が抑えられちゃうわ……」


「そうじゃな。刹那!その事は絶対に他人に言うな。いずれ闇属性を使える事がバレても、堕天の技と言って逃れろ、絶対に自分自身が6つの闇属性を獲得できる事を悟られるなよ」


「とりあえず、刹那君の事は今まで通り奏さんのお零れで入学したお兄さんって事でいいでしょう」


「あの学園長、それは出来ればやめて頂けませんか?」



突然黙って聞いていた奏が口を挟んでくる。


なので刹那は奏を説き伏せる。



「奏、俺は無能な兄でいいさ、大体有能だと思われてた方が何かと都合が悪い」


「ですが、お兄様は無能などでは……」


「いいんだよ奏。それに能ある鷹は爪隠すって言うだろ?わざわざ爪を見せてもいい事なんかないさ」


「分かりましたお兄様」



奏は刹那の言葉でなんとか納得したようであった。


しかし、ここでエリザが疑問を口にする。



「ところで聖炎はどうなったのかしら?」


「そう言えばそうじゃな……刹那がエレメンタルの回収をしたから消えたのならその力が刹那に宿ってる事になるのじゃが?」



そうエリザとレーシャルが言っていると横から口を挟む物?がいた。



『学園長、レーシャルさん、それは違うぞ。マスターには聖炎の力は宿っていない』


「なんじゃクロノス。お主は何か知ってるのか?」


『一応な。マスター、その封印が完了した剣を突き立ててこう唱えろ……サモンサーバントと』



刹那は言われた通りに剣を突きたて唱える。



「サモンサーバント!」



次の瞬間剣が光輝き1人の女性が立っていた。

遂に新章開幕。


とりあえず、第三章の続きから入りまして、刹那のお店二日目です。


刹那メイド喫茶で働き、闘技場で優勝を飾り宣伝をば。


そして、急に話が簡略化され、刹那と奏の密談。


時は流れ聖炎祭。


一気に一月飛んでます。


4月22日から6月1日まで飛んでるのかな?


まあ、一気に飛んで聖炎祭。


入学式で総代を勤めていたリディア・ラインフェルトと再邂逅。


リディアさん凄い恩恵を受ける。


上位クラスの人自慢する。


リースは聖炎に反作用で恩恵授かれず。


セレナは魔法の仕組みから違うので恩恵授かれず。


2人連続で恩恵授かれなかった事もあり、セレナの時に笑う馬鹿が発生。


刹那は我慢したが奏がプッチン。


言い争いになるが学園長が介入し、奏の儀式開始。


リディアの数十倍の恩恵を預かる奏さん。


マジぱねぇっすな感じの奏さんにより鎮圧。


リディアは自分の名前を勝手に使われてキレ気味だったのが奏にバレて照れ隠しに笑うが、奏も笑うのだが……怖い(((((;゜Д゜)))))


そして、順番が進み次は刹那達の番。


まずアルが儀式を受けてかなり恩恵を貰う。


次にメリッサが儀式を受けるが恩恵は少なめw


次はミリスで恩恵はアルより貰ったがミリス的には納得いかないのか、そんな雰囲気。


最後に大トリの刹那先生。


恩恵どころか聖炎ごと吸収。


その際、奏さんに剣で胸を刺され死亡……痴情のもつれか!?(嘘)


実際は剣により聖炎の吸収と封印の作業開始。


封印終了して、刹那と奏の秘密のお話。


レーシャルを頼りに学園長と話す。


結局今まで通り暮らす事で決定。


そこで、聖炎がどうなったか疑問発生。


クロノスの指示で封印された剣を突きたて呪文を唱える。


今回はここまで、「サモンサーバント!」


一体何が出たのかは次回のお楽しみ。


ではでは次回をよろしくです。





それでは毎度お馴染みのセリフと共にお別れしましょう。


目指せ書籍化!第三章終了です♪で第四章開始♪現在第51話です。パンパカパーン♪♪♪


現在ブックマークが178人なう。ちょびっと増えたよ〜○┓(アイナ風)ペコリ(登録してくれてる人は感謝です感謝(*´ω`人)感謝(TдT) アリガトウ○┓ペコリ)


是非まだまだ伸びたいので、ですので皆さん御慈悲を下さいorz


では評価、感想お待ちしております。ちなみに感想くれた方ありがとうでした。


他の方もよければどんどん感想をば


というか最後の言葉はやっぱり書籍化目指して頑張るぞ(*´ノд) ダヨネー( ´゜д゜)(゜д゜` )ネー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー(書籍化を望む人が増えてる気がする!(作者の中でだけw))


最後の方はいつも使い回しでごめんね?では神超をよろしくです♪♪♪(音符を増やしたw)


ちなみに第一章が終わったので第一章を読んでない方は要チェックや!


遂に二章完結。いや〜二章は長かったな…w第三章開始。というかもう終わるけどwというか終わったw次はいよいよ第四章です!





追加!追加!追加!?♪


小説家になろうの『ネット小説大賞5』に無謀ながらそのまんま又チャレンジ!すなわちエントリー(*´∀`)♪


そして『ネット小説賞感想希望』もしたので感想を書いた方はもれなく特典がもらえるかも工エエェェ(´д`)ェェエエ工


是非とも『ネット小説大賞』のノミネート作品になれる様に皆様ご協力をお願い致します。


後、感想がまた伸びたのですが、まだまだどんどん感想待っております。


目指せ書籍化!この調子でどんどん話を投稿するぞ!(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!(。`・∀・´)⊃

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