♯3 1-2 能力理解と異世界転移
ペース早いですが3話目投稿です。わぁ〜拍手888
さて今回の話しは主人公と奏の能力の理解する為の話と転移までを書いております。
今回は話しの根幹の話しなので説明が多いですがご容赦を○┓ペコリ
では神超第3話をどうぞご笑覧あれ。
次の日、刹那と奏は異世界へ行く準備をしていた。
「お兄様これ、あとこれも持って行きますか?」
「いや、荷物は最低限でいいんじゃないか?それにあちらの世界でも買い物はできるだろ」
「ですがお兄様、よく考えたらまだ、あちらの世界の情報全然聞いてないんですよ」
「なので、やっぱり色々持っていった方がいいじゃないですか」
「とりあえず、俺の方は準備済んだよ。あとは日常用品はあちらでどうにかするさ」
「お兄様って結構楽観的ですよね。まぁ、気負うよりはましですが」
「そうだな。ところでその熊、持っていくのか…」
「当たり前じゃないですか!お兄様とお姉様から貰った初めてのプレゼントですからね」
「でも、ちょっと子供っぽいんじゃないか…まぁ思い出の品ならしょうがないか」
奏の持っている熊とはイメージ、制作指揮楓、縫製担当俺の熊のぬいぐるみだ。
イラスト等、楓の指揮で作ったのだが…縫ったり、綿を詰めたりして作ったのは実は俺だったりする。
楓はいかにも自分が作ったとばかりに胸を張っていたが、楓はちょっと不器用さんだったのでこういう役回りは結構、刹那担当だったりする。
熊のぬいぐるみはあだ名がクマーという名だ…奏はちょっと残念なセンスの持ち主なのであった。
ちなみにいつも添い寝している妹はとっても幼い感じだが、とても可愛らしいので良しとする。
そして奏からも指摘が入る。
「お兄様だって、楓お姉様と私がプレゼントしたペンダント持って行くくせに…」
「えっ、バレてた?」
「当たり前です。いつも付けて下さってるのは知っていますよ」
そう、実は刹那も二人から貰ったプレゼントをいつも身につけているのである。
だがこのペンダントはただのペンダントではないのだ、二人が族長達にねだって貰った。今は無き世界樹の木から作られた物。
さらに神々の恩恵が与えられる特殊な彫り方がされている特別製なのである。
その能力はそのペンダントを着けた者の能力を増幅する物であると奏達の両親は死ぬ前に言っていたらしい。
そこで話は続けられた。
「そろそろ、親父達の所に行くか」
「はい、お兄様。それでは行きましょうか」
そういって二人は準備を済ませ、朝食と話しを聞きにテーブルへ着くのであった。
そこでは逆鬼が既に待っていて、静那も朝食を準備し終わって待っていた。
「おう、二人共来たか。食べながらでいいから聞いてくれ」
「まずは、そうだな改めて話しとく事がいくつかあるな」
「さて何から話すか…」
そう言って逆鬼は遠い目をする。なぜか懐かしそうな顔もしていた。
「まあ、とりあえず奏の両親と時守の話しをするか」
そういうと姿勢を正し、二人を見ながら真剣な表情で話し始めた。
「まず、奏の両親だが当然神だった。そして最後の二人だったな。この世界の…」
「神というのはだな、普通に子供を授かるだけじゃなく継承することもできるんだ。そこんとこ知ってたか?」
「いや、俺は知りませんでしたが」
「私も、よく分からないです」
そう言って、二人は互いの顔をみて首を振った。
「そうか、じゃあ今から話してやる。神が子をなす時、普通に愛し合うか、継承という二つの方法がある」
「前者は普通の人間と同じだが、後者の継承は特殊だ」
「どう特殊かというと自分の能力を受け継がせる為、命と能力の二つを削らなきゃならない」
「ちなみにこの世界の神はほとんどが能力を受け継がせる為、継承の方法をとってきた」
「継承は莫大な力を宿させるため命をほぼ使い切る。まれに死ぬ事だってある」
「だから数が減ったんだな。そして、楓様は両親の能力、今までの神々の能力を、ものすごく強く受け継いでいた」
「まさに神々の最高峰って訳だな」
「ちょっとまて親父、そんなすごい神なのにあっさり死にすぎだろ」
「そんな能力があるならなぜ楓は死ななきゃなんなかったんだ?」
「おい、待てよ。説明は終わってない」
「そこで魔法力や神の心臓の話しが関わってくる」
話はこうだ。つまり神の能力というものは魔法力がなければ発揮できず、又、幼すぎた為、力の片鱗すらだせずに楓は死んだらしい。
さらに神の心臓はその魔法力の貯蔵庫であり能力を記憶する脳の役割を持っているらしい。
だから、この事は一部の者しか知らず。知ったもので神の心臓を狙っていた者もいたらしい。
そこで逆鬼がさらに続きを話し始めた。
「まあ、そういうことだ。そして時守の話をするとだな、こういった話になる」
時守一族は前に言った通り神々自身が生んだ神が制御できなくなり、そういった神を淘汰し統制を回復させる為に生み出された物らしい。
「時守一族はな、神々を殺す事に特化した種族なんだよ」
「はっ?」
刹那は思はず呆気にとられてしまった。時守は神々を殺す事に特化した種族?なんだそれ、冗談でも笑えないぞ…。
「刹那、事実は事実だ。ちゃんと受け止めろ」
「だけどな。そんな時守も既に役目は終えて、今では生き残った神々の守護者になったんだよ」
「だからあんまり気にするな。お前が楓様と奏様を守って生きてきたのは間違ったことじゃなかったって事だよ」
そういうと逆鬼は刹那に笑顔を向けてきた、ちょっと強面だがその笑顔に安心した。
ちなみに強面な逆鬼なので、刹那は母の静那寄りの顔というかほぼ静那である。
静那もとても美人さんなのである。時守の一族は歳をとっても老いはなかなか来ないという特殊な一面があるので、静那は母というよりお姉さんって感じなのだ。
「さて楓様の話しはしたが奏様、というか奏の事は言ってなかったな」
「奏は普通の方法と、継承。両方の方法で作られた神だ」
「だから神としての絶対値は劣るが…だが、両親二人の愛の結晶である奏はある意味楓様以上に可愛かったはずだぜ」
「そうですか。私は愛されていたんですね」
そういって逆鬼は今度は奏を笑顔で見ていた。そんな逆鬼と一緒に静那も笑顔で見ていた。
「それに私達の大切な娘よ奏ちゃんは…」
「ありがとうございます。お母様」
そう静那は笑顔で奏をみて、慈しむような目で見ていた。
「まあ、そういうこった。で、ここからが本題だ」
逆鬼は真剣な声で話し始めた。
「まず、さっき言った通り楓様は神々の最高傑作だった訳だ。傑作って言うと物みたいで嫌だが事実は事実だ」
「その為、この世界を再生させる使命を帯びていた」
「つまり魔法力をこの世界に取り戻す事だ」
「それが神々を超えし者を創りし世界で神々を超える神になることだった」
「だがそれも楓様が死んだ事で難しくなった」
「でも奏では神々を超えるのは難しいかもしれない」
「そうですか。私では難しいのですね」
「ああ、残念だがそうなるな。だが普通に育ってほしいってあいつ等の願いでもあるし、気を落とすな」
「大丈夫です。愛されていたとわかったですし。今もたくさんの人から愛してもらっていますから」
「違う意味でお兄様には愛してもらいたいのですが…」
「いきなり何を言い出す。俺達は兄妹だし、そもそも年齢を考えろ。奏はちょっとませているんじゃないか?」
そんな風に奏を諭そうとするが、奏はさらに白熱しながら言ってきた。
「そんな事ありません、お兄様。ちゃんと体も準備は出来ています」
「そんな生々しい事を言うな。こっちが照れる。それに心はどうした」
「心なんてとっくの昔に準備万端です。今やっと心に体が追いついたところですから」
そんな事を言いながら奏が頬を染めながら潤んだ瞳でこっちを見てくる。
そんな顔されても困るぞ…それにしても可愛いな…って俺は何を?
「照れなくてもいいんですよお兄様。お兄様は私を存分に愛して下さればいいのです」
「いや、だからそういう問題じゃなくて」
危ないそんな表情で見られたら兄失格になる…
そうこうしてるうちに逆鬼がうんざりとばかりに口を挟んできた。
助かった。そう思いながら話しに耳を傾ける。
「お前等もいい加減にしろ。俺が気まずいじゃねえか。そういうのは後で勝手にしろ。今は話を聞け」
そう言われて奏はがっかりと、刹那はやれやれと溜め息をついた。
そして逆鬼が話しを再開させた
「そこでお前の登場だ。刹那」
話はこうだ、つまり楓は死んだが神々の能力の源である心臓は俺という肉体で維持できている。
あとは代わりに俺が神々を超える神になってくればいいということらしい。
そうすれば世界の力の源である魔法力が復活し、神々を超える能力で楓も復活でき一石二鳥だそうだ。
説明だけ聞けば簡単な気がするが異世界がどんなものか分からない。又、神々を超えるってのも分からない。
「ちなみに台座の剣に転移の魔法陣。なぜあると思う?」
「それもそうだな。なんで都合よくそんな物があるんだ?」
「それはお前が剣を持って楓様を守護し、楓様が神々を超える神になるはずだったからだ」
えっ、そうだったのか。道理で楓様の守護者と教育されたり、都合よく転移魔法陣なんて物があると思った。
「だったら尚更、今度こそはしくじる訳にはいかないな…」
「刹那。お前は頭は良いが馬鹿だな」
「馬鹿ってなんだよ親父」
「お前はあれこれ考えすぎなんだよ。もっと行き当たりばったりに生きてみろ」
「そんなんで生きていけるかよ!守るべき物もあるんだ。そんなんじゃやっていけない」
そんなことを言われ、逆鬼は困った顔をしていたが静那が助け舟を出した。
「刹那、ようするにあまり肩に力を入れすぎるなって事よ」
「いざって時に疲れてましたじゃ意味ないでしょ。だからもっと力を抜けってお父さんは言いたいのよ」
「そうだぞ。その通りだ」
なぜか逆鬼が偉そうに踏ん反り返っていた。今のは母さんのフォローのおかけだろ。
と、内心逆鬼にツッコミを入れる刹那であった。
「じゃあ俺達はそろそろ転移すればいいのか?話しも終わったんだろ?」
「要するに俺のすることは俺自身を鍛え、神々を超える者になり世界を救うと」
「間違っちゃいないがなんかアバウト過ぎねえかそれは」
「親父には言われたくない」
「そうかよ」
そう言うと寂しそうに逆鬼がすると静那が慰めていた。いい夫婦だなとふと思った。
「さて、それじゃあ転移の間に各自荷物を持って集合だ」
そう言って、一度解散になった。刹那は部屋に戻り最後に部屋を見渡しながら今までの事を思い出し、新たなる旅へと気持ちを切り替えた。
そうこうしてる内に集合が完了した。
「それじゃあ転移を開始するって思ったがまだ話しは終わってないんだよな」
そういいながら逆鬼は頭を掻いた。
「さっき話したのは神という物についてと時守についてだが。これからする話は異世界に関する事だ」
「しっかり聞いとくんだぞ」
「わかったよ。親父」
「わかりました。お父様」
そういうと逆鬼が又、語りだした。
「まず刹那。お前に関しての事を話しておく」
「とりあえずお前は時守の一族の異能を持っている」
「それは時間と空間を操る能力だ。そしてそれは魔法力のある世界で発現する」
「使い方は自分で見極めろ。何しろ文献しか残ってないからな。使い方なんて俺には解らん」
「だからこれをお前に持たせる」
逆鬼が刹那に文献を渡してくる。
とりあえず能力が発現してから考えよう。
「そして、そこの台座の剣。それがこれからのお前の相棒だ。この世界じゃただの剣だが、あっちの世界に行けばデバイスとしても使える品物らしい」
台座の剣、それは身の丈位の大剣であった。まあ、刹那自身が大剣を好んでいるのでこの場合は良しである。
だがデバイスというのがよくわからないので話しの続きを聞いた。
「デバイスについてはあちらの世界の方が詳しいからあちらで調べろ」
ってデバイスについては説明ないんかい。
「あと、あちらの世界に行けば当然魔力が宿るから、時守の能力で思考加速が使えるようになるからうまく使えよ」
「思考加速?なんだよそりゃ」
「それはだな、神の心臓の能力説明も含めて説明してやるよ」
そう言って逆鬼が説明を始めた。
思考加速は考える時間が加速するのだとか。普通の人が一秒考える間に一時間考えているのと同じようになるらしい。
これを使えば勉強も捗るし、戦闘においてかなり有利になることであろう。
「だが思考加速は長時間は使えないから気をつけろよ。」
「集中力がいるから勉強に使うだけなら役立つだろうが、戦闘にはあまり使えないから使う時は慎重に考えろ」
戦闘だと集中力に欠け、思考加速は大幅に使えなくなるらしい。達人クラスでも一秒が十秒程度になる位だそうだ
「次に心臓の件だが」
心臓についてはこういうことらしい。
まず神の心臓である為、魔力の内包量は桁違いだが魔力回路自体は俺自身のが使われるから、適合率によってはうまく力を発揮できないらしい。
だがそれを埋める技術が在るらしい。それが時守の秘技を使った心臓移植。
この心臓移植には魔力の媒体になる秘薬を心臓に使い、特殊な物質で力を繋ぐ。
その方法だがそれはなんと、特殊な剣を心臓に刺す事だ。
「剣を心臓にって、死んじまうだろ普通」
「そうですよ。胸に剣を刺すだなんて酷すぎます」
何故か刹那以上に怒ってる様子の奏を見てちょっぴり思考がクリアになった刹那だった。
そして逆鬼が続きを話す。
「普通じゃねえから大丈夫だよ」
「まあ心臓を貫くわけだから痛いそうだが死にはしないから安心しな」
そう言うと逆鬼は笑顔で笑っていた。
それって全然笑えない。そう思い刹那は言った。
「剣を刺さなきゃどうなるってんだ?てかなぜ刺すような事態になる」
刹那は最もな事を逆鬼に言った。だが逆鬼も言い返してきた。
「それはだな。神の心臓についてもう少し話さなきゃ分からないだろう」
「それにこれは神々を超える者を創る過程で必要な事だ」
「だから説明してやろうつまりだな」
逆鬼が言うにはこうだ。
神々を超えるにはまず神本来の力を取り戻す為に魔力が必要だそうだ。
それは異世界に行けば自然と魔力で満たされるので大丈夫だそうだがもう一方が問題らしい。
もう一方とは神々を超える事だとか。
その為には6つのエレメンタル。火水風雷土無の6つだそうだ。最終的には聖属性の6つだとか。
そしてそれを反転させた闇属性の火水風雷土無の6つを併せ12個の属性を集めることにより神を超える神に至ると言われているらしい。
だが基本で学ぶのは火水風雷土の5属性で他にも無数の属性魔法が存在する。
その位が知っている情報のすべてらしい。そして本題の心臓に剣を刺す事だが。
それは。現状すでに魔力が無い世界で生きているので魔力枯渇を起こしている為、急速に魔力を吸収する事態になった時にそれを封印して制御するそうだ。
「そして、魔力が暴走つっても、原初の力の結晶体位か、それ相応の力を持つ者の力を神の心臓が吸収しない限り大丈夫だろうが、その時は封印の為に心臓にこいつを刺せ」
「じゃなきゃ自身が耐えられなくなって死ぬか、よければ廃人だ」
「そして今から行く世界の転移場所は学園都市の第七学区だと文献には書いてあった」
「そこには世界の終わりと始まりを告げた原初の炎が眠るらしい。それを手に入れればまずは火のエレメンタルの収集完了だな」
そう言って台座の剣と同じ様な刃先70センチ程度の特殊な剣が10本付いたロングスカートを渡された。
「って、スカートってなんだよ」
「いや、いつでも身につけておいてもらわなきゃならないし、これでも防御力の高い特殊な物なんだぞ」
「そういう問題じゃなくて!」
「じゃあどういう問題だ?別にいいだろスカートの下に長ズボンでも履いてりゃ」
「いや、確かにそれならちょっとはマシだけどそういうことではなく…」
「じゃあどういうことだよ」
「俺はただでさえ…なんでもないとにかく嫌だ」
「なんだよいきなり黙りやがって」
そう言って逆鬼と刹那が言い合っていると奏が話しに加わってきた。
「お兄様ならとてもお似合いになるかと」
「そうだよなぁ。似合うしちょうどいいと思ったんだが」
「だから嫌なんだよ」
「刹那なら似合うしいいのじゃないかしら」
「だから母さんまで…とにかく嫌だ」
「嫌だって言っても変わらんぞ。どのみち身に着けてもらうからな」
そう言って逆鬼は刹那に剣がびっしりと付いたロングスカートを渡してきた。
刹那は逆鬼の言っても無駄な雰囲気に飲まれてしょうがなくズボンの上からスカートを着けるのだった。
「お兄様とてもお似合いです」
「だから嫌だったんだよ」
そういって奏はとても喜んでいたが刹那はとてもいたたまれない感じがしたのであった。
そうこうしてる内に刹那は上着は黒のベストに白のシャツ。そして下には黒のズボンに黒のロングスカートが装着されていた。
最後に背中に身の丈ほどの大剣を背中の固定ベルトに装着すると準備完了である。
その姿を見てポウっとしてる奏だったが逆鬼が奏に話しを振り始めた。
「幸せそうなところ悪いんだが奏。次はお前についてだ」
「幸せそうだと分かるんなら、邪魔しないでください」
そういわれて逆鬼は泣きそうな顔をしていた。そこでまた静那が慰めていたが刹那は自分を棚上げして娘馬鹿だと思った。
だが逆鬼は復活し、話しを再開させた。
「奏よ。お父さんのお話し聞いてください」
「わかりました。お父様」
そうしてやっと、奏も話しを聞き始めたので刹那は静かに耳を傾けた。
「奏。お前は神だ。だからあちらの世界に行けばすぐに魔力によって覚醒するだろう」
「だがな、決して神だと云う事を気づかれてはダメだぞ」
「なぜですか?お父様」
「それは簡単だ。神々を超える者を創るには神を育てた方が早いからな」
「だから、バレたらすぐに利用しようとする馬鹿が出てくる」
「通常、神なら色々と能力を受け継いでるものだが、奏はどちらかというと神寄りではないからな。バレればいい様に利用されて終了だ」
「そうならない為にも神ということを悟られるな。幸い神の因子を持つものも神同様に覚醒者になる事があるので神の因子を持つ者の振りをしとけ」
「そうすれば入学資格も得られるし一石二鳥だ」
「はい。わかりました」
「そういうことなら、お父様の言う通りに神と云う事を悟られないようにしたいと思います」
「そうか。わかってくれたか」
「あとは刹那だがお前は多分、覚醒が遅れる。だから入学資格がないと判定される可能性も0ではない」
「だから、奏は刹那のサポートをしてやってくれ」
「はい。それはこちらとしても大歓迎なのですが。大丈夫なんですか?」
「それは多分大丈夫だ。異世界転移は普通はこちらからではなく、あちらからの招待制だ」
「だから異世界転移してきた者をすぐに追い出したりはしないだろう」
「招待の方法が神の因子を持つ者。あるいはそれに準ずる者を招待するらしいからな」
「でも招待制って俺ら招待されてないんじゃないのか?」
そこで逆鬼が剣の台座と魔法陣を見て言った。
「その為の転移魔法陣だ」
「今日がその召喚の儀式の日なんだよ。あちらさんのな」
逆鬼が不敵に笑い始めた。
「だからこちらの転移と被せりゃバレないよ」
「通常。あちらさんからの招待じゃなきゃ転移できないものだからな」
「こちらから転移したなんてバレやしないし。召喚にも種類があるらしいからな」
「種類?」
「そうだ。まずは正式な招待状を持つ転移者。次に才能を見出されランダムで異世界に転移するランダム転移者だ」
「お前等は後者のランダム転移者を装えばいい。声が二人共聞こえ、承諾したら二人して転移してた事にするんだ」
「そうすりゃ疑われても大丈夫だよ…多分」
「多分ってなんだよ多分って」
「そんなん俺だって行った事ないんだから知るか」
「後はお前等で何とかしろ」
「なんかいろいろとアバウトだな。俺の事言えた義理かよ!」
「知るか!」
そうして、逆鬼が開き直り、刹那が睨んでいると、奏も装備の準備が出来たようで近寄ってきた。
「それじゃあ、そろそろ行きましょうかお兄様?」
「ああ。で、どうやって行くんだ」
「さあ?」
隣の奏は行きましょうという割には行き方がわからないようでこちらを見ていた。
なので逆鬼に聞いてみようとしたら向こうから言ってきた。
「簡単だよ。二人で台座の剣を握ってある程度時間が過ぎれば勝手に転移する」
そう言われ二人で剣を握り締めた。
そうすると隣の奏が話しかけてきた。
「なんだか結婚式みたいですね」
そんな事を言い照れてる妹であったが刹那が冷静に言った。
「いや、結婚式ってどこがだ?」
そういうと奏が言った。
「二人でケーキ入刀してるみたいじゃありませんか…」
「いや、確かに丸いがこれは台座だ。それにナイフじゃなくてこれは剣だ」
「まあ、そんなこと言うだなんてロマンが足りませんわねお兄様」
「ロマンと言われても、こんな地下の部屋で台座に魔法陣に剣で、ロマンもあったもんじゃないだろ?」
「心で思えばいいのですよ。心で」
「俺には無理そうですよ」
「私は今とても幸せです」
「まあ、その事に関しては異論はない」
そんなこんなで結局は妹に弱いシスコンの刹那であった。
そうしてる内に光が強くなってきて、青白いから真っ白へ変わっていった。
「そろそろだな。行ってこい二人共。そして、健闘を祈っている」
「行ってらっしゃい。刹那。奏ちゃん。二人共元気で戻ってくるのよ」
そんな二人に刹那と奏は言った。
「「行ってきます!」」
『そういえば言い忘れたが金は…』
そう言うと二人の姿は地下室から無くなっていた。
最後に逆鬼が伝えようとしたことはお金についてだった。
特待生、つまり招待された転移者なら必要経費は全部落ちるが、特待生になれなければお金が必要になるのだ。
逆鬼は最後にその事を告げようとしたが既に二人は消えていた。
まぁ奏なら間違いなく特待生なので大丈夫だろうと思いながら、刹那の事をさらっと置き去りにするひどい父親であった。
そして逆鬼と静那に見送られながら刹那と奏は異世界へ行くのであった。
さて今回は説明が多い回でしたが読んでくださった方ありがとうございます。
それでは次の話は主人公と奏が日本で言うところのエリート中学校に入学する話しになります。
ですが当然波乱があるわけでどうなるでしょうか?
そして最後に言い忘れた特待生でなければお金が必要という嫌な伏線はいかに、次回をお楽しみに。
ちなみに主人公最強&チート物ですがまだまだの力です。
現在の力を書きますと
主人公 刹那
力 通常時、常人の限界値突破。気を使えば超人化。あくまでこの世界でです。
技 瞬刻永神流の免許皆伝。家事スキルが異常に高い。
魔法 全く使えません。一応時間と空間を司る能力を有している様ですが魔法のある世界でどうなるか・・・ただ女神の心臓というチート装置を付けてるのでこうご期待。
ヒロイン1 妹 奏
力 ちょっと刹那のトレーニングに付き合ってるので常人よりはちょいある。実は神気と呼ばれる神特有の気を保持しているがそれはまだ先の話し。
技 家事スキル、兄限定で発動。瞬刻永神流は使えず。体術は護身程度。魔法型なのであまり技は身につかなさそう・・・現在の最強の技はパーフェクトスマイル。
魔法 当然無し。ですが神である奏は魔法のある世界なら間違いなく覚醒すること請け合いですので俺つええ好きの方はしばらくお待ちを。
それでは書籍化目指してファイト!俺!次回もよろしくです。
評価、感想お待ちしております。あと助言も歓迎しております。ではでは。