瞳の星
掲載日:2013/11/17
少女は、くすんだ瞳で空を眺めていた。
少女は少年に問うた。
なぜひとはひとを愛すのか、と。
少年は閉じていた瞳をゆっくりと開いた。
少女は草の上に寝転ぶ少年の顔をじっと見つめた。
少年は星を溜めた瞳で言った。
愛とはなんだろう、と。
少女の時間は止まった。
少年の時間は流れていた。
風は二人の間を幾度となく通り過ぎた。
少女の時間が再び動き出したとき、少年の瞳には星が溢れていた。
見えない温もり、かしら。
少年は星を飲み込むようにゆっくりと瞳を閉じた。
少年の時間がゆっくり流れた。
少女の時間は少年と同じように流れた。
風は二人を押すように流れていった。
少年は星の音を聞くように答えた。
それが君の愛ならば、愛する意味も分かるのではないかな。
少女の時間はまた止まった。
少年の時間はゆっくりと流れたままだった。
風は少年を包むように流れていった。
愛が、
少女はくすんだ瞳を空に向けた。
愛が、欲しいから?
少年の時間が止まった。
少女の時間も止まったままだった。
風は二人を置いて流れていった。
少年は星を飲み込んだ瞳を開いて起き上がった。
そして少女のほうへ向きなおると少年は少女の瞳に星を与えた。
少女の瞳の星はきらきらと輝いていた。
二人の時間は等しく流れ出した。
二人は瞳の星を返すように空を見上げた。
空には二人の瞳と同じように星が輝いていた。




