side.B
お前に俺は笑って告げるんだ。
「結婚おめでとう」って。
あいつに出会ったのは葉桜の頃だった。
担任の「転入生がいる」の一言でクラスが沸いた時、それ程興味もなくぼぉーっと見た先で固まった。
今にして思えば『一目ぼれ』だったのかもしれないが、あの時の自分にとっては『衝撃』だった。
中学高校と同じ学校に進み、親友にもなったと言えると思う。照れくさいから口には出さないけれど。
大学は別の道に進みたくて違ったが、俺にとってのあいつの重要さは変わらなくて、むしろ同じ大学の友人よりも大事だった。小学生の頃には名前すらつけられなかった感情が普通の友人に向ける「好き」と違うことに気付き、悩んで自分の中での折り合いをつけたのもこのころだった。そういえば、あいつから彼女を紹介された時、他のやつらと同じような反応が出来てる自分に逆に驚いたっけ。
今日、あいつは結婚する。
俺があいつを好きだったことなんて、きっとあいつは気付いていただろう。
俺があいつの気持ちに気付いていたように。
なんだかんだ言って、結局俺は気持ちの整理をちゃんとできていなかったのかもしれない。
今日だけだ。今日、までだ。
あいつへの恋愛感情は捨て去ろう。
そして、笑いあうんだ。
親友の俺で。
一つ変わらないことをあげるとすれば
きっと一生、
誰よりも
あいつが大事だ。