表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田信長の利口な兄(織田秀俊)に生まれ変わったので領地開発して天下統一を目指す  作者: 伊月空目


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/47

38、人智(じんち)を越えた者

「ほほう、土産(みやげ)と申すか」


「ははっ、助右(すけ)衛門(えもん)殿(どの)、ぜひ味わって下され」


 岡田(おかだ)助右(すけ)()門重頼(もんしげより)饅頭(まんじゅう)を手に取ると、しげしげと眺める。梶川平九郎(かじかわへいくろう)高政(たかまさ)はにっと歯を見せる。ここは本陣だが、のんびりとした時が過ぎていた。攻略するのは尾張(おわり)清水(しみず)(じょう)だが、農民が徴兵(ちょうへい)に応じ、七千の大軍に(ふく)れ上がっている。清水城には千ほどの手勢(てぜい)しか(こも)っていない。勝負は目に見えていた。


「ふむう。美味(びみ)よ。うーん、良い味わいよ」


 助右衛門は相好(そうこう)を崩して褒める。梶川平九郎はにっこりと笑う。居並ぶ武将たちも笑顔だった。


 清水城は間もなく落ちる。勝ち戦に違いない。本陣の空気は(ゆる)み切っている。


 ブヒヒ――――ン。馬の(いなな)きが響く。武将たちが陣幕を見た。


「申し上げまする! 神谷の大軍が大高城に向かっておりまする!」


 騎馬武者の言葉に武将たちは目を()く。そう、水野家は反撃に出て、大将である千代丸を狙ったのである。







 大高城。大広間にいる千代丸は落ち着いていた。孫十郎はそんな主君を不思議そうに見る。


「ハハハ。孫十郎よ、俺が神谷(かみや)助兵衛(すけべえ)(よし)(ひさ)を誘い出したのが分からぬか」


 孫十郎はびくっとして主君を見る。童子は底意地の悪い笑みを浮かべていた。


神谷(かみや)助兵衛(すけべえ)め、なかなかの男だな。殺すには()しい。そうだな。家老として俺に仕えさせたいわ。フフフ」


 千代丸の不気味な笑いに孫十郎は立ちすくむ。怖い。いやいつものことだが、もはや今の主君は神すらも越えた何かである。


「案じるな。大高城は落ちぬわ。罠にかかったのは神谷の方だ。そうだな。弓矢をお見舞いしてやれ」


「……はっ」


 孫十郎は(うなず)くとその場を出て行った。残された童子は得体のしれない笑みを浮かべ、地図に見入るのだった。






 大高城二の丸。深い空堀に守られた城内は緊張感(きんちょうかん)に包まれていた。そんな中、動じない男が一人いた。甲冑(かっちゅう)をつけた男は用意された床几(しょうぎ)から立ち上がる。


「敵は三千と聞いたが……」


 花井(はない)備中(びっちゅう)(のかみ)は目を細める。家臣が顔を青くする。


「一万は()えていよう。ふむう、(かみ)谷吉(やきち)兵衛(べえ)め、やるのう」


 備中(びっちゅう)(のかみ)の言葉に家臣たちは黙る。どう見ても勝ちそうにない戦いだ。城の籠るのは三千足らず。ほとんどが花井勢だ。


「弓隊、構えっ。神谷勢(かみやぜい)に弓矢を放つのじゃっ」


 備中(びっちゅう)が采配を振る。その顔は自信に満ち、勝利を疑ってはいなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ