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織田信長の利口な兄(織田秀俊)に生まれ変わったので領地開発して天下統一を目指す  作者: 伊月空目


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3/16

3、二歳の内政官

 俺は(しょ)(ばた)城下(じょうか)の母上の屋敷にいた。母上は側室ではあるものの、斯波(しば)()末娘(すえむすめ)として育ち、尾張一の美少女と称賛されたこともあったという。今の年齢は十九歳。こんな美人ママの側にいると正直心が安らぐ。


「千代丸、何をしているのですか」


 母上が俺の手元を(のぞ)き込んでいる。俺は子供らしくなく書類の山を(なが)めていた。尾張・三河の武将たちだ。情報収集を欠かしてはいけない。命に関わるからな。


山口(やまぐち)()()(のすけ)殿(どの)の書状によれば、松平次郎三郎、岡崎から動けぬようで。フフフフ」


 母上が困ったように笑みを浮かべる。


「いつの間に山口(やまぐち)()(まの)(すけ)殿(どの)と……。千代丸、危ないことはしてはなりませぬよ」


 鳴海(なるみ)(じょう)を守る山口(やまぐち)()(まの)(すけ)は槍の名手(めいしゅ)で剛の者だ。ただ知略に長けており、悪く言えば狡知(こうち)()けた策謀家(さくぼうか)である。母上はそれを知っているのだ。


 幼い息子を案じる母上。うーん、美しいわ。父上が母上に夢中になるわけだ。


 松平清康の動きは封じた。今川家は兵を集めている。松平征伐に動くかもしれん。


 夏が過ぎて、秋になった。収穫の時期だ。新田開発に力を入れたので収入は増えるだろう。三河(みかわの)(くに)は戦乱が続いている。民は織田領に逃げ込んできて保護している。織田家の善政を気に入り、庇護下(ひごか)に入る者も増えた。ますます生産力が上がる。







 父の部屋に呼ばれた。兄はおらず、重臣たちもいない。二人きりだ。


「津島、熱田の商人たちがそなたを()めるのだ。千代丸よ、そなたなかなかやりおるの」


 父上が笑い声を上げる。二歳の息子を一人前の内政官として(ぐう)し始めている。やり過ぎとは思わない。


「我が家は織田家の三奉行の一つとはいえ、もはや日の出の勢い。商人たちを味方につけ、堺とつながらねば、畿内の物は手に入りませぬ」


 俺が言うと父上は大きく(うなず)いた。俺が考えているのは海路での交易だ。陸でもいいが時間がかかる。津島、熱田の商人たちも驚いていた。特産品を手に入れ、それを織田領で売る。良い構想だと思う。


 父上は理解が早い。さすが名将というべきか。俺にある程度(ていど)裁量権(さいりょうけん)を与えている。そして俺の出す案に深く(うなず)くのだった。


「百姓から買った土地なのですがまた新田を作りまする」


 父上が驚いている。これも俺のアイディアで直轄地(ちょっかつち)構想(こうそう)だ。織田領を増やし、直轄領(ちょっかつりょう)とする。貧しい百姓が土地を売っている。そこを買うのだ。最新の農具で耕す。あるいは畑を作って栽培する。これを織田家臣がやる。他家はそこまでしていない。当たり前だ。もう今の生活に満足しているのだ。斯波、松平、今川も自分たちの国人衆の機嫌(きげん)(そこ)ねないので必死だった。


 俺の考えは違う。織田に敵対するなら奪うまでだ。仲良しこよしは(ほろ)びへの道だ。容赦(ようしゃ)などしない。


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