表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織田信長の利口な兄(織田秀俊)に生まれ変わったので領地開発して天下統一を目指す  作者: 伊月空目


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/16

1、奇妙な赤子

 享禄三(1530)年正月。尾張(おわりの)(くに)(しょ)(ばた)(じょう)。廊下をドタドタと(いか)つい男が大股(おおまた)で歩いている。織田弾(おだだん)正忠信(じょうちゅうのぶ)(ひで)、二十歳。この城の若き主であり、清洲(きよす)(じょう)の織田氏に仕える武将である。


 それに従う数人の男たちもいずれも緊張(きんちょう)した面持(おもも)ちで歩いていた。


美代(みよ)か、通せ」


 若い女が(ふすま)の前に座っていた。女は深々と土下座する。


御屋形(おやかた)(さま)御成(おな)りにございまする」


「美代、通しなさい」


 (ふすま)の奥から()んだ女の声がする。信秀は躊躇(ちゅうちょ)なく、(ふすま)を開ける。


御屋形(おやかた)(さま)男子(おのこ)にございまする」


「おお、でかしたわ。(まん)よ。その方、大儀(たいぎ)であった」


 信秀は顔を(ほころ)ばせる。周りの家臣たちも緊張の糸がほどけたようで、笑いが起きた。万姫はくすくすと花のよう笑う。幼い顔立ちが残るが、美女だ。信秀は美人妻を見ながら、赤子を愛おしそうに見た。


「ふむふむ。これで嫡男(ちゃくなん)と次男、二人が(そろ)ったわ。二人とも城を任せよう。何、俺は清洲三奉行が一人、織田弾(おだだん)(じょう)ぞ。まだ子を産んでもらうぞ。万。この(だん)正忠家(じょうちゅうけ)は身内で固め、()古屋(ごや)の家を守らねばならぬ」


御屋形(おやかた)(さま)、気が早いですよ。まだ生まれたばかりというのに」


 ホホホと万姫は笑う。家臣団もつられて笑った。


「あう。あうあーーっ、あうっ」


「おお。そなたは頼りになるわ。フフフ。応仁の乱より何十年。斯波家(しばけ)も越前を取られ、松王丸様も力がない。この(だん)正忠(じょうのちゅう)御家(おいえ)の大事を乗り切らねばならぬ。そうだ。俺はここでは終わらぬのだ。ハハハッ」


 信秀の高笑いに赤子はあうあうと答える。信秀は(うれ)しそうに、母である万姫は困ったように苦笑いをするのだった。








 そして一年後、享禄(きょうろく)四年。二歳となった織田千代丸は大広間で父・信秀と対していた。


「ふむ。千代丸よ。そなたは利口よの。この城に置いておくのは勿体(もったい)ないわ」


「はっ。勿体(もったい)なきお言葉にございますれば」


 千代丸は頭を下げる。信秀は次男の成長に(うれ)しそうに何度も(うなず)いた。


「フフフ。千代丸のおかげで我ら織田家は豊かに強くなろうとしている。三河の狸どもめ、今に見ておれ。(だん)正忠(じょうのちゅう)はここで終わる男ではないわ! グワハハハ!」


 信秀は高笑いする。千代丸も笑い声を上げる。しかし、表情と別にその(ひとみ)は上機嫌な父をジッと観察していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
嫡男って記述がありますが、嫡男はまだ生まれていない信長さんでは? もしかして、長男(信広さん)のことですか?
織田家は御屋形号を幕府から貰ってないし、さらにこの頃の信秀は清田織田家の家臣でしかないので「御屋形様」とは呼ばれません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ