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好きだから。  作者: ぽんこつ


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68/68

試して

蓮くん。

ニャコンクールは入賞だった。

お祝いはもちろんしたよ。

スシゴロー。

私の奢りで。

インスタグラムのフォロワーが300人越えたんだって。

そんな蓮くん。

今日は一日バイト。

でも。

夜には家に泊まりに来る。

私は麻耶と冬物のセールに来ている。

ちょっとかわいい服が欲しくて。

もちろん。

蓮くんとのデートのために。

へへ。

文化祭のベストカップルに選ばれたの私たち。

だからね。

ネズミーランドに行けるんだ。

その時に、かわいい格好したいから。

トップスとスカートを探して。

色んなショップを見て歩いてるけど。

いまいちぴんと、こない。

「そうだ。結衣『ナイスクリップ』の服とかどう?」

「あ、いいかも」

『ナイスクリップ』は、女子に人気のファッションブランド。

女の子らしくて。

少し大人っぽいデザインもある。

お値段は、普段着てる服より高いけど。

でも。

せっかくだから。

想定の予算に収まって。

めぼしいのがあったらいいな。

麻耶は私の腕を掴んで引っ張っていく。


『ナイスクリップ』の店内は沢山のお客さんで賑わっていた。

マネキンが着飾るコーディネートも色鮮やかでかわいい。

壁際に並ぶハンガーに吊るされたスカート。

それを、一枚一枚チェックしていく。

しっとりしたベロアの生地に指先が止まって。

そのハンガーを手に取った。

チョコレート色のティアードのミニ。

「ねえ、どうかな?」

ハンガーを持ち上げてかざし見て。

腰の辺りにあてがう。

「いいかも! 試着してみる?」

「うん。あ、でもトップスも見たいから」

「その色なら、明るめのがいいかもね」

「そだね」

私は腕にかけたスカートを抱えて。

店内を見回る。

「ねぇ、これなんかどう?」

麻耶が色々勧めてくる。 

どれも、もう一押し何かが……

ん?

「麻耶、それちょっと貸して」

私は麻耶が持っていたニットを手にとって広げる。

くすみピンクのケーブル編みニット。

肩にボリュームを持たせたパワショル。

首元から胸にかけて散りばめられた、ハート型のパールが光を弾いている。

「うん。これにする。試着する」

「結衣は決めたら早いね相変わらず」

「ぴんと、きたからね」


試着してみて。

想ったより。

スカートの丈が短い。

鏡に向かって。

少し体を揺らしてみる。

ふわりとした裾の広がりが、とってもキュート。

ニットは萌え袖で、やっぱりパールがアクセントになっていて。

うん、

決めた。

蓮くん。

かわいいって想ってくれるかな。

「どうなの?」

あっ。

「うん。ちょっと見てくれる?」

シャーっと。

私はカーテンを開ける。

「わっ! めっちゃいい。似合ってる。私もなんか買おうかな」

麻耶は、私にまとわりつくように。

上から横からなめ回す。

「へへ、ありがとう。そうしなよ麻耶」

「じゃあ、先見てるから」

「うん。会計してくる」

私はカーテンを閉めて着替える。


よし。

予算内だし。

デザインも。

着心地も。

とても気に入ったから。

大満足な私。

早く蓮くんにも見せたいな。

畳んだ服を抱き締めて緩む頬。

試着室を出た時。

「あれ? 結衣さん?」

「あっ。横山くんのお姉さん」

「こんにちは、お買い物?」

「はい」

お姉さんは、私が抱える服に視線を移すと、

「結衣さん、センスあるね。そのニットもスカートも」

「そうですか」

肩をすくめる私。

「お姉さんも買い物ですか?」

「ううん。ここで働いてるの。デザインの勉強しながらね」

「え? そうなんですか!?」

「まあね。あ、そうだ、自己紹介してなかったね。横山奈緒です」

「あっ、橘結衣です」

ぺこりと頭を下げる。

「ねぇ、不躾なんだけど、結衣さんにお願いがあるんだ」

「なんですか?」

「採寸させてもらってもいい?」

「さいすん?」

肩を寄せて。

首を傾げる。

「ああ、今度さ仕立てる服のモデルになってくれないかなって想って。体のサイズ計らせてくれないかな?」

「え!? 私がモデルですか?」

「ううん。そんな大袈裟なものじゃなくて。私の服を着てもらって感想とか聞けたらってね」

「逆に、私で良ければ喜んで」

自然と体かぴょんと跳ねる。

クスクスと笑う奈緒さん。

「あっ、ごめんね結衣さん。その蓮くんから聞いた通り、動きが動物みたいで、かわいいなって」

「ああ……」

ぽりぽりと人差し指で頬をかく私。

「じゃあ、さっそく今測らせて、メジャー持ってくる」

「え? あ、はい」

ぴっと。

背筋が伸びる。


お読み頂きありがとうございます。

感謝しております。

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