第0話 令嬢としての生涯
私は今檻の中にいる。そして、もう少しの時間で処刑されることが決まっている。私はこの栄えたワイナ王国のユイレーンという名の令嬢、所謂権力者であった。自分で言うのも少々恥ずかしいのだが、令嬢として国の運営に貢献していたと思う。ある日は他国との貿易交渉の成立を裏で支え、そして極めつけは長い間問題になっていた戦争の終結に貢献した。私は自国の民からも評価されていた所謂完璧な令嬢のはずであった。だが、この国の最高権力者である私の婚約者のレシフィルの裏工作により無茶苦茶な罪をでっち上げられ檻に収監されているのがまさに現実だ。ここから私はなんとかしようとは思わない。悔いもない。私の人生を全うしてこの国の明るい未来に貢献できたであろうことに誇りを持って処刑を受け入れようと思う。
②いよいよ、処刑の時がやってきた。最後に言い残すことはあるかと尋ねてきたレシフィルに対して私はこのように言う。
「レシフィルのバーーーーカ!」これには周りの貴族は苦笑い、そして国民はというと、よく言った!という強い意志が垣間見えるような眼差しを私に向けていた。しかし、私は好かれていたであろうはずの自国の民の前に晒しあげられ眩しい光が視界に入ったことに違和感を覚えたまま首を切り落とされ、私の人生に、命に終止符を打ったのであった。