王国編第1話 ワイナ王国のその後
ユイレーンが処刑されてから1ヶ月も経たずにワイナ王国の経済状況は悪化の一途を辿っていた。その最たる理由としてユイレーンの存在を失ったことであるのを国民の一部が気づいているのに対して、ユイレーンの婚約者を始めとした貴族達は唯一小さな領地を納めるレンブルンという貴族以外を除いて気づく者は未だにいない。
唯一疑念を持ち、ユイレーンの存在の偉大さに気づいたのがレンブルン家である。このレンブルン家こそが今はまだ小さな領地を統治する程度の微かな力しかないがユイレーンの育った家であり、父親であるマルフィーと母親であるマリアーゼが領地を統治している。力が足りず未だ表立って行動を起こせずにいるのが無念でならないユイレーンの両親だが、現体制に不満を持つ国民たちにとってこのレンブルン家という存在は希望の光である。
ちなみに当時の国民は貴族が優先される身分制度があり、厳しい統制をされていたが唯一の救いは政治に関する情報は一部を除いて、普遍的に公開されており多くの国民がこの国の置かれている状況を知ることができたということである。現状に納得せずに、身分関係なく自由度の高い生活を送ることができる明るい未来に向けて行動を起こそうという野心を持つ人々が多くいた。そしてレンブルン家と多くの国民が手を取り合うきっかけとなる出来事が触発するのであった。