ペルギスの帰還③
アレパスを使用して、非常に長い時間が経過した。ここは大洞窟のようだ。
大洞窟とは世界一大きい活火山があったとされる場所の地下深く、さらにそのまた深くにある大陸プレートの隙間のことだ。深さとしては六千メートルくらいはあるはずだ。なぜこの体がそのような場所にいるかは定かではないが、逆にこの体はそんな環境に適応できる身体であると考えることもできるだろう。
こんな場所にいては何もできることはないのでさっさと大地に戻ることだけを考えよう。
コークォスの大地「エレポ・ヤン」
エレポ・ヤンとはコークォス語で「聖なる大地」を意味するベルギス・カポカが初めに支配した大陸の名前。
そんなエレポ・ヤンに存在するいくつかの国、および人々は震撼した。いままで感じることのなかった恐怖そのものを、存在を実感したのだ。その大地に足を付くものも、空を飛ぶものも、水の中を泳ぐもの、土の中を駆け回るもの、すべてが恐怖した。コークォスの意思を除いて。
『王が帰還した。』
『帰ってきたのだ!』
『ベルギスが帰還した!』
世界は覚えていた。唯一の理解者がいたことを、支配者となった王を。意思はすべてを知っている、忘れることはなくその意思が永遠である、と言わんばかりに。意思に力を貸した王もまた、その意思によりこの世界に君臨したことを知っている。
この二つの存在は、どちらか片方が欠けてしまったら実現しないもの。その二つがそろったとき、またコークォスに平穏が戻る。これが、世界のコークォスの意思なのだから。
この世界の「意思」はある宗教では神という存在として崇められてきた。それもそのはずだ、何もできないといっても、大気も、自然も、海も、動物もすべてこの「意思」によって存在を作られが存在を許された物なのだから、知恵ある者から見れば神以外の何物でもない。
この世界にはその意思を浅くだが知ることができる者がいた。それがシグパグ聖教の教皇にして聖国シグパグの聖王、アイクシ・シグアグである。