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双子の姉妹とお墓の番人の恋

作者: うずらの卵。

ベルリア王国には双子の美人な姉妹がおりました。

姉のリリアは優しく優秀でしたが、妹のライアは性格が悪く頭も悪かったのです。

しかし、見た目は瓜二つで両親でも区別が付かない程でした。

その頃、ベルリア王国の国王と王妃は悩んでおりました。国王と王妃には一人息子のドリブが居たのですが、身体が弱く殆んど寝たきりの生活をしておりました。

国王は「そろそろドリブも18歳になる、せめて妻をあてがってやりたいものだ」と王妃に相談しました。

「でも、病弱なドリブはいつまで生きられるか解らないのに、妻になった女性は不幸になってしまいます」と言い王妃はため息をついた。

しかし、可愛い一人息子にせめて妻をあてがってやりたいと言う思いから、貴族の美人姉妹で有名な双子の姉のリリアをドリブの妻にする事にしたのだ。

国王からの伝言を聞いた双子の姉妹の両親は、何故か嘆き悲しんだ。

リリアも18歳、そろそろ結婚しても良い年頃だったが、相手が病弱なドリブとなると話しは別問題だった。

しかし、国王には逆らえず両親にリリアは「今まで育ててくれて有難う御座いました、私は喜んでドリブ様の元に嫁ぎます」と言って頭を下げた。

その話を聞いていたのが妹のライアだ。

何故同じ顔なのに私が選ばれなかったのかと不満だったのだ。

ライアは楽して贅沢な暮らしがしたいと日々思っていたのだ。

そして、ある日姉がこそこそ出掛けるのを見て後を付けて行くと、姉は先祖代々王族が眠る墓地の中に入って行った。

ライアが物陰からそっと覗くと、姉が若い男と何か話ながら泣いていたのだ。

もしかして姉の恋人?それにしても着ている服はボロいし身分の低い装いだ。

ライアはこれはチャンスと思い、二人の元に歩いて行った。

「御姉様、その方は誰?御姉様の恋人なの?」

「ライア、あなた何故ここに?私の後を付けて来たのね」

「御姉様はこれから結婚するのでしょ、他の男と逢い引き何かしてばれたらどうなる事やら」

「この方はお墓を守る番人のレイモンド、私はこの方を愛しているの、でも国王の命令には逆らえない」

すると、レイモンドは「俺もリリア様を愛しています、でも私の役目はお墓を守る事です。それに身分も違い過ぎる。しかし今回の結婚の話しは酷すぎます」

ライアは何故酷すぎるのか解らなかった。

「御姉様、この男を愛しているのなら私が御姉様に変わってドリブ様と結婚してあげるわよ」

「何言っているの?ライア、そんな事をしたらあなたは…」と言い泣き崩れてしまった。

「御姉様には色々お世話になったから幸せになって欲しいの」とライアは心にもない事を言った。

「ライア、本当に良いの?ブルド様は病弱なお方、いつまで生きられるか解らないのよ」

「御姉様が幸せになれるなら私は喜んでドリブ様と結婚します」とライアが笑顔で言ったので、

リリアとレイモンドは隣国に駆け落ちをする事にした。

そして「ライア有難う、本当に有難う」と泣きながらライアの手を握り締めた。

「でも、お墓の番人の仕事をする人はどうするの?」とライアがレイモンドに聞くと、

「俺には弟がおります。弟に後を任せます」と言ってリリアを抱き寄せた。

そして、リリアとレイモンドが隣国に駆け落ちし、リリアが居なくなったので、必然的に妹のライアがブルドと結婚する事になった。

ブルドは寝たきりだったので、結婚式はせずにライアは王宮でブルドと同じ部屋での暮らしが始まった。

ブルドは顔色が悪く痩せていて、段々弱って行った。

そんなブルドの世話は使用人に任せライアは贅沢三昧な暮らしをして楽しんでいたのだ。

でも、何故か国王も王妃も文句を言わずライアが欲しいと言うと何でも買ってくれた。

そして、遂にブルドは19歳という若さで亡くなってしまったのだ。

ライアは全く悲しくなかったが、悲しんでいるふりをした。

そしてブルドの葬儀の日、何故か国王を始め王族の者達は黒の衣装を着ていたのにライアが着せられたのは白のドレスだったのだ。

ライアは不思議に思ったが、これが王家の決まり事だと思いそれに従った。

ブルドの眠る棺が王家の墓地に到着した。最後の別れと言う事で棺の蓋が開けられたが、何故か棺は人が二人程入る位の大きさで、ブルドの横に丁度一人分のスペースが空いていたのだ。

そして、国王が私に告げた。

「ブルドの妻ライアよ、ブルドと共に死の国に旅立ちあの世で結婚式をあげるように」

ライアは何を言っているのか解らなかった。

「国王様、何を仰っておるのですか」

「ライアよ、我が王族の掟を知らぬのか?

夫が妻より先に亡くなった時は、妻も夫と共に死の国に旅立つ決まりを」

それで、両親も姉も国王からの伝言が来た時悲しんだのだ。

ブルドは病弱で長く生きられない事を知ってた上で、嫁ぐ事がどんな意味を持っていたのかを。

そして、国王も王妃もライアが贅沢三昧な暮らしをしていても何も文句を言わなかった意味が今更ながら解ったのだ。

この暮らしが長く続かない事を知っていたから。

でも、もう遅いのだ。両腕を兵士に捕まれて無理矢理棺の中に寝かされたのだから。

そして、無情にも棺の蓋が閉められ土の中に埋められた。ライア19歳短い人生に幕を閉じた。

その頃、リリアとレイモンドは隣国で乾杯をしていた。

「本当にライアは我が儘で楽する事しか考えてないお馬鹿さんで助かったわ」

「本当にリリアがブルド様と結婚すると聞いた時は焦ったけどな」

「うふふ、今頃ライアはあの世で悔しがっているでしょうね」

「まぁ、あの世で悔しがってても後の祭りだけどな」

「「アハハハハ」」

しかし、二人は気付かなかった。

リリアの背後に今にも首を絞めようと両腕を伸ばしているライアの悪霊がいた事に。



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