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Part of me  作者: 遠藤 敦子
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 時が過ぎて、知哉の卒業式の日がやってきた。卒業式後に知哉とご飯に行くことになり、私は駅前のフラワーショップで花束を購入する。黄色とオレンジを基調とした花で、ガーベラやかすみ草などを混ぜてもらった。アイボリー色で薄手のタートルネックニットに水色と白のギンガムチェックのロングキャミワンピースを合わせ、足元は焦茶色のショートブーツなので、服装もだいぶ気合いが入っているかと思う。

 駅で卒業式終わりの知哉と合流し、そのままレストランに向かった。知哉の手にはたくさんの花束やプレゼントや色紙(「増田先輩 ご卒業おめでとうございます」と書かれた、後輩たちからの寄せ書き)があり、私からのプレゼントを含めると知哉の手が塞がりそうで気が引けたのだ。料理が来るのを待つ間、私は知哉に

「卒業おめでとう! 知哉をイメージした花束作ってもらったよ。すでにいっぱいプレゼントもらってるのに、これで手が塞がったらごめんね」

と言って花束を渡す。知哉は笑って

「ありがとう! 全然大丈夫だよ、俺は優奈からもらえるものならなんでも嬉しいから」

と言ってくれた。そう言ってもらえて救われたような気分だ。



 知哉は大学生になり、私は高校2年生になった。知哉が大学に進学してからは福岡と佐賀で離れてしまったので、会う頻度が以前ほど多くはなくなってしまったのだ。それでも茶道部での活動に専念したり、心結や高校の友達と遊んだりして寂しさを紛らわせていた。知哉とは相変わらず仲良しで、喧嘩などもなく過ごせていたかと思う。私が修学旅行でシンガポールとマレーシアに行った際も、知哉にLINEで現地の写真や動画を共有していた。帰国後の週末にユニバーサル・スタジオ・シンガポールで買ったミニオンのキーホルダーをお土産として知哉に渡すと、すごく喜んでいたのも印象に残っている。

 高校3年生になり、私は相変わらず勉強と部活にのめり込んでいた。茶道部では副部長も務めるほどだ。その片手間に気になる専門学校のオープンキャンパスに行き、入試対策も行う。私が忙しくなったことで知哉とすれ違うこともあったけれど、すぐに話し合って仲直りしていたので別れ話になったことはなかった。私は年内のうちに福岡市内の美容専門学校への進学が決まり、4月から福岡での1人暮らしが決まる。これで知哉と距離が近くなれると思うと嬉しかったのだ。知哉の成人式翌日はカフェでお祝いをし、私の卒業式の際にも知哉がお祝いしてくれることになった。そうこうしているうちに、私の卒業式の日がやってくる。

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