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Part of me  作者: 遠藤 敦子
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 佐野のくせに、とはどういうことかと思った。けれどそんなひとたちとまともに向き合うのも嫌だったので、私はなるべく気にしないようにした。知哉に心配をかけたくないので誰にも今日のことは言わなかったのだ。

 それからというもの靴に画鋲が入っていたり、「増田知哉と別れろ」「増田知哉を返せ」という手紙が靴箱に入っていたりした。こんなことをするのは彼女たち以外にあり得ないと思っていたので、同じ学年の友達と担任の先生には即座に報告済みだ。さらに「佐野優奈が日曜日に駅前でおじさんと合流してホテルに入っていた」という嘘の噂まで広められ、これは知哉にも報告するべきだと思って相談しておいた。すると咎められるどころか、

「俺は優奈がそんなやつじゃないってわかってるし、何かあったら言ってな」

と言ってくれた。同じ学年の友達も私の味方でいてくれるので心強かったのだ。


 そんな時、下駄箱に手紙が入っているのを見つけた。2年生の男子からで、内容としては「ずっと佐野さんのことが好きでした。返事を聞きたいので体育館裏に来てください」というものだ。知哉がいるのでこの告白は断ろうと思い、体育館裏に行く。すると男子生徒が先に待っていた。

「手紙見ました。ごめんなさい。私、彼氏いるのであなたとは……」

私がそう言いかけた時、知哉のファンクラブのメンバーのうちの1人が

「いいからこいつさっさとやっちゃって」

と男子生徒に指示を出す。彼女の指示に従い、男子生徒が私のお腹をグーで殴る。倒れ込んだ私を彼が蹴ろうとしていた時、知哉が通りかかり

「おいお前ら、人の彼女に何してるんだ!」

と私の前に立ちはだかり、男子生徒の腕を掴む。

「あ、増田先輩。違うんです。これは……」

彼女が言うと、知哉は彼女を睨み付けながら

「何が違うんだ? どうせお前が優奈を殴れってこいつに指示出したんだろ? ファンクラブだか何だか知らないけど、そんな奴は俺のファンでいる資格なんてないし俺も好きにならないから」

と力強く言う。騒ぎを聞きつけた生徒指導の男性教諭と知哉の担任である男性教諭が駆け寄り、担任教諭が知哉に「増田、これどういう状況だ?」と訊く。知哉が状況を説明すると、男性教諭2人が加害者たちを別室に連れて行った。知哉のファンクラブのメンバーの残り2名も状況を撮影していたのでグルと見なされ、全員が連れて行かれたのだ。

「……優奈、大丈夫だった? ごめんな、途中からしか助けに入れなくて」

知哉は私を保健室に連れて行き、謝罪する。

「私も知哉に全部は言えてなくてごめんね」

そう言うと、知哉は

「これからは何かあったら言ってな。俺は優奈の彼氏なんだし」

と言ってくれた。

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